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雇用保険

雇用保険の加入条件や手続きのやり方、必要書類を解説!

公開日:2023.09.20

更新日:2024.01.24

会社の経営を行っていると、規模の拡大とあわせて従業員を新たに雇う場面も出てきます。
雇用保険の対象となる従業員を雇った際には、会社としての手続きと新たに雇用した従業員に対する手続きを行う必要があります。
この記事では、雇用保険に加入する際の条件や手続きや必要書類について解説していきます。雇用保険に加入する条件については、「正社員」「アルバイト」など、雇用形態別で解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

雇用保険とは

雇用保険とは、労働者が失業して所得を失った場合や子どもを育てるために休業する場合など、生活や雇用の安定、就職の促進のために「失業等給付」や「育児休業給付」を支給する保険です。
雇用保険があることで、会社の都合で仕事を失った人でも、失業給付と呼ばれる給付金を一定の期間受け取ることができるため、経済的な不安を感じることなく転職活動を進めることができます。
雇用保険の詳細については雇用保険制度の概要|ハローワーク雇用保険の加入条件や申請について解説しているサイトも参考にしてみてください。

雇用保険制度といっても、様々な種類の雇用保険があります。それぞれの雇用保険制度の詳細については、厚生労働省が公開している雇用保険制度について|厚生労働省雇用保険や失業手当の給付条件について解説している記事でも紹介されています。
 

雇用保険の加入条件は基本的に3つ!



労働者を一人でも雇っていれば、労働者を必ず雇用保険に加入させる必要があると思われるかもしれません。
しかし、雇用しているすべての労働者に、雇用保険への加入資格があるわけではなく、加入のための一定条件を満たす必要があります。

雇用保険に加入するためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
・勤務開始から最低31日以上雇用されることが見込まれている
・1週間あたりの所定労働時間が20時間以上
・学生ではないこと


雇用保険の加入条件について、それぞれ詳しく解説していきます。

①勤務開始から最低31日以上雇用されることが見込まれること


1つ目は、最低31日以上の雇用が見込まれていることです。「勤務開始から最低31日以上の雇用が見込まれること」とは、どのような場合を指すのでしょうか。
具体的には以下に該当する場合は、この条件に当てはまります。

・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新をする旨が規定されており、31日未満で解雇するという明示がない場合
・上記の更新をする旨が規定されてはいないが、雇用された労働者が31日以上雇用された実績がすでにある場合


これらに該当する場合は、「勤務開始から最低31日以上雇用されることが見込まれる」という条件に当てはまることになります。

②1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること


2つ目は、1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であることです。
所定労働時間とは、労働者が契約上働くこととなっている時間を指し、多くは就業規則や雇用契約書で規定されています。
上記の書類では、始業時間と終業時間が記載されており、所定労働時間はそこから休憩時間を差し引いた時間のことをいいます。
ここでいう「所定労働時間が20時間以上」というのは、あくまで就業規則や雇用契約書で規定されている労働時間のことを指すので、一時的に20時間以上の労働時間があった場合でも、規定されている所定労働時間が1週間あたり20時間未満であれば、加入条件としては成立しないということになります。
所定労働時間に関して詳しく解説している記事も参考になるかと思います。

③学生ではないこと

3つ目は、学生ではないこと。原則として、学生は雇用保険に加入することはできず、雇用している労働者が学生の場合は雇用保険に加入する必要はありません。
一方で例外もあり、
・卒業見込証明書をもっていて、卒業前から雇用しており卒業後もこれまで通り働く場合
・夜間や定時制の学校、通信教育を受けている学生

などは、①と②の条件を満たしていれば、雇用保険の加入が必要となります。
学生であれば雇用保険に加入しなくていいというわけではなく、学生の状況によっても雇用保険へ加入するかどうかは異なるので、学生を雇用している事業者の方は注意しておきましょう。

雇用している労働者が雇用保険に加入するためには、ご紹介した3つの条件をすべて満たす必要があります。
<雇用保険に加入する3つの条件>
・勤務開始から最低31日以上雇用されることが見込まれている
・1週間あたりの所定労働時間が20時間以上
・学生ではないこと


労働者を雇用している事業者の方は、労働者の中で誰が雇用保険に加入する必要があるかを事前に把握して、雇用保険への加入が必要な場合は手続きを進めていきましょう。

厚生労働省の公式サイト「雇用保険の趣旨や加入条件、被保険者の範囲について|厚生労働省」雇用保険の趣旨や加入条件について詳しく解説している記事も参考になるかと思います。

雇用形態別で注意したい、雇用保険の加入条件

雇用保険への加入条件を3つご紹介しましたが、次に正社員やアルバイト・パートといった、雇用形態別での雇用保険に関する注意点をご紹介していきます。

正社員

正社員を雇用する場合には、先ほど紹介した雇用保険に加入するための3つの条件を基本的に満たすことになります。
したがって、正社員を雇用する場合には基本的に雇用保険の加入手続きが発生することになりますので、忘れずに加入手続きを行うようにしましょう。

<雇用保険に加入する3つの条件>
・勤務開始から最低31日以上雇用されることが見込まれている
・1週間あたりの所定労働時間が20時間以上
・学生ではないこと

パート・アルバイト・派遣社員

アルバイトやパート、派遣社員といった「非正規雇用」と呼ばれる雇用形態の場合は、
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・最低31日以上雇用されることが見込まれること
上記に当てはまる場合、雇用保険に加入する必要があります。
1つ目の「1週間の所定労働時間が20時間以上」という条件は、雇用保険の加入条件の2つ目でも解説したように、あくまで就業規則や雇用契約書などで交わした契約上の労働時間を指しているので注意しておきましょう。

65歳以上の労働者

65歳以上の労働者の場合でも、加入条件を満たす場合には「高年齢被保険者」として雇用保険への加入が必要となります。
加入条件はパートやアルバイト、派遣社員と同様、
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・最低31日以上雇用されることが見込まれること
上記に当てはまる場合は、雇用保険に加入する必要があります。

季節労働者

1年間のうち、ある特定の季節のみ働く季節労働者は、
・4ヶ月を超える期間を定めて雇用されること
・1週間の所定労働時間が30時間以上であること
上記2つの条件に該当する場合は、雇用保険に加入する必要があります。

ちなみに、季節労働者が雇用保険に加入する場合は、正社員やアルバイト・パートが加入する「一般被保険者」ではなく「短期雇用特例被保険者」という分類で、雇用保険に加入することになります。
短期雇用特例被保険者が失業した場合には、一般的に失業手当と呼ばれるものではなく「特例一時金」という手当が支給されます。

日雇労働者

一日単位で雇用されたり、30日以内の期間を定めて雇用される労働者のことを「日雇労働者」といい、日雇労働者の場合は特別な雇用保険が用意されています。
日雇労働者の方は「日雇労働被保険者」という分類で雇用保険に加入し、以下の条件で加入が認められています。

・適用区域内に居住し、適用事業に雇用される者
・適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
・上記以外の者であってハローワーク(公共職業安定所長)の認可を受けた者

上記3つのいずれかに当てはまれば、日雇労働被保険者として労働保険の加入対象者となります。
日雇労働者として働いているものの、2ヶ月連続で18日以上同じ事業者のもとで働いている場合や、同じ事業者に31日以上雇用された場合は一般被保険者か短期雇用特例被保険者として扱われる場合があるので、日雇労働者を雇用している事業者はあらかじめ把握しておきましょう。
日雇労働者の雇用保険については、厚生労働省が資料にまとめているのであわせてご覧ください。
日雇労働者の雇用保険(日雇労働被保険者)について|厚生労働省

雇用形態別での雇用保険の加入条件については雇用形態別での雇用保険の加入条件について詳しく解説されているサイトもあります。

雇用保険の加入に必要な書類


雇用保険の加入条件を把握したところで、雇用保険に加入するために必要な書類についてご紹介していきます。
雇用保険に加入する場合には、以下の書類を準備する必要があります。
・労働保険関係成立届
・労働保険概算保険料申告書
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険の加入に必要な書類を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

労働保険関係成立届

雇用保険に加入する場合であって、労災保険にまだ会社が加入していない場合には「労働保険関係成立届」を、所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。
提出期限は、労働者を雇用した日(従業員の入社日)から11日以内となっています。

記入書類は専用の複写式用紙なので、労働基準監督署から取り寄せる必要があります。
管轄の労働基準監督署は、こちらのツールを活用してご確認ください。

添付書類として、90日以内に発行された登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が必要です。事前に準備をしておきましょう。
労働保険関係成立届を提出することで「労働保険関係成立届の事業主控え」が返ってきます。この書類は、後々ハローワークに提出する必要があるため、大切に保管しておきましょう。

労働保険関係成立届の記載例

労働保険関係成立届を記入する際は、以下の記載例を参考に記入を進めていきましょう。

 

労働保険概算保険料申告書

労働保険概算保険料申告書とは、会社が労働保険の適用事業所となった年度分の労働保険料(概算)を申告するための書類です。労働者を雇用した日から、その年度の末日までに労働者へ支払う賃金の見込額に対して、保険料率をかけて算出した概算保険料の申告・納付を行います。
こちらの書類も、労働基準監督署から取り寄せを行うことができるので、管轄の労働基準監督署へ問い合わせを行いましょう。
この書類の提出期限は、入社日の翌日から起算して50日以内とされていますが、労働保険関係成立届と同じタイミングで、労働基準監督署へ提出することをおすすめします。

労働保険概算保険料申告書の記載例

労働保険概算保険料申告書の記入は、以下の記載例を見ながら進めていきましょう。

雇用保険適用事業所設置届

雇用保険適用事業所設置届は、初めて雇用保険の対象者が入社した際には必ず提出を行わなければならない書類です、会社として雇用保険の適用事業所となったことを示すためにこの書類の提出が必要となります。
提出期限は労働者を雇用した日(従業員の入社日)から11日以内となっており、管轄のハローワークへ提出を行います。
添付書類として、90日以内に発行された登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と労働保険関係成立届の控えが必要です。事前に準備をしておきましょう。
書類のテンプレートは、以下のハローワーク公式サイトよりダウンロードが可能です。
雇用保険適用事業所設置届|ハローワーク

雇用保険適用事業所設置届の記載例

雇用保険適用事業所設置届の記入は、以下の記載例を見ながら進めていきましょう。

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格取得届は、雇用保険の加入対象となる従業員を雇うたびに、提出が必要となる書類です。最初だけではなく、今後も雇用保険の加入対象となる従業員が入社するタイミングで随時提出が必要です。
提出期限は労働者を雇用した日(従業員の入社日)から11日以内となっています。
1つ前にご紹介した、雇用保険適用事業所設置届と同様にハローワークへの提出なので、まとめて提出を行うようにしましょう。
雇用保険被保険者資格取得度届の記入用紙も、ハローワークの公式サイトよりダウンロードが可能です。以下のページより、ダウンロードを行ってください。
雇用保険被保険者資格取得届|ハローワーク

雇用保険被保険者資格取得届の記載例

雇用保険の加入手続きの流れ



雇用保険への加入手続きを行う際は、以下の流れを参考に手続きを進めていきましょう。
  1. 労働基準監督署へ、「労働保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」の取り寄せを行う
  2. 取り寄せた2つの書類の記入を行い、登記簿謄本とあわせて労働基準監督へ提出する(労働保険関係成立届の控えを受け取る)
  3. 「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」の記入を行い、登記簿謄本と労働保険関係成立届の控えとあわせて、ハローワークへ提出する
  4. 雇用保険の加入手続きは以上で終了。その後は、加入対象の従業員が入社するタイミングで、「雇用保険被保険者資格取得届」の提出を行う
雇用保険への加入手続きの詳細について解説している記事やサイトも参考になるかと思います。

書類の提出方法

書類を郵送で提出する際は、以下の点に注意しましょう。
労働基準監督署へ、「労働保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」を送付する際には、送付状と返信用の封筒を入れて、提出を行いましょう。
返信用の封筒の書き方や、送付状については以下の画像を参考に準備を進めましょう。

<返信用の封筒の書き方>


<送付状の例>

 

電子申請も可能


今回ご紹介した雇用保険の手続きは、電子申請でも行うことが可能です。e-Gov(イーガブ)という行政のサービスを利用することで、365日24時間いつでも申請を行うことができます。
e-Govポータル
雇用保険の電子申請について解説された資料があるので、インターネットで雇用保険の手続きを終えたいという方は、ぜひ一度チェックしてみてください。
雇用保険関係手続き 電子申請のご案内|厚生労働省

雇用形態が変わった場合には注意が必要


会社の経営を進めていると、すでに働いている従業員の契約や雇用形態の変更が発生する可能性もあります。
雇用形態が変更となり、従業員が雇用保険の加入対象となった場合や加入対象から外れた場合についても解説していきます。

雇用保険の加入対象となった場合

労働時間の増加により、雇用保険の加入対象となった場合は、通常通りの手順で手続きを進めていきます。
対象の従業員の雇用保険被保険者資格取得届を作成し、管轄のハローワークへ提出を行いましょう。入社月の翌月10日までと期限が決まっているので注意しましょう

雇用保険の加入対象から外れた場合

雇用保険の加入対象から外れた場合は、対象の従業員は離職したものとして扱います。雇用を続ける場合でも離職票が交付され、雇用保険から外れる(被保険者資格の喪失)ことになります。
事業者は「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出することで、対象の従業員が雇用保険から抜ける手続きを行うことができます。
実際に提出する書類はハローワークの公式サイトからダウンロードできるので、手続きが必要な方は、以下のページをご覧ください。
雇用保険被保険者資格喪失届|ハローワーク

雇用保険被保険者資格喪失届を提出する際には、あわせて提出する添付書類が必要です。役所のホームページや必要な添付書類や手続きを行う上での注意点を解説している記事を参考に手続きを進めるようにしましょう。

提出必要書類の一覧

  • 労働保険関係成立届
  • 労働保険概算保険料申告書
  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

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