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役員報酬の未払計上はできる?未払金の仕訳や税務上のリスクについて解説!
更新日:2026.04.09
役員報酬が払えない状況になると、「役員報酬は未払計上してもよいのか」「未払金で処理すれば定期同額給与は維持できるのか」「役員報酬の未払いが続くと税務上どのようなリスクがあるのか」と悩む会社は少なくありません。特に、資金繰りが厳しい時期には、役員報酬を予定どおり支払えない一方で、会計処理や税務処理を誤ると、損金算入が認められないおそれもあるため注意が必要です。
役員報酬の未払い計上自体は、一定の考え方のもとで行われることがあります。しかし、役員報酬を未払計上したからといって、必ずしも税務上安全とは限りません。
IDEMAE編集部
未払金として処理する場合でも、定期同額給与との関係、源泉所得税の扱い、社会保険料の負担、長期の未払いによる否認リスクなど、確認すべき論点は多くあります。
この記事では、役員報酬が払えないときの未払計上の考え方、未払金の仕訳、役員借入金との違い、税務上のリスク、定期同額給与との関係まで、実務で迷いやすいポイントを深く整理します。役員報酬の未払い計上を検討している会社が、単に仕訳を知るだけでなく、どの処理が自社に合っているか判断しやすいように解説していきます。
役員報酬が払えないときの未払計上とは?まず結論を整理
役員報酬が払えないときでも、会計上は役員報酬を未払計上し、未払金として処理することはあります。つまり、支給日に実際の現金支払いができなかったとしても、会社が役員に対して支払う義務を負っている以上、役員報酬を費用計上し、その相手勘定として未払金を計上する考え方です。
ただし、ここで重要なのは、役員報酬の未払い計上ができることと、税務上そのまま問題なく損金算入できることは同じではないという点です。役員報酬は、一般の給与とは異なり、法人税法上で厳しくルールが定められています。特に、定期同額給与として損金算入するためには、毎月同額で継続して支給されていることが重要になるため、役員報酬の未払計上が長期化したり、実際には支払う見込みが乏しかったりすると、税務上リスクが高まります。
そのため、役員報酬が払えないときの未払計上は、「一時的な資金繰りの都合による短期の未払いなのか」「継続的に払えない状況なのか」で評価が変わります。短期的な未払いで、後日きちんと支払う予定と実態がある場合と、何か月も未払金だけが積み上がり実際に払えていない場合では、税務署からの見られ方も大きく異なります。
このため、役員報酬が払えない場面では、単に未払計上の仕訳を入れて終わりにするのではなく、未払金として処理するのが妥当なのか、役員借入金による対応のほうがよいのか、あるいは役員報酬そのものの見直しを検討すべきなのかまで含めて判断する必要があります。
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役員報酬の未払い計上が問題になりやすい理由
役員報酬の未払い計上は、資金繰りが苦しい会社にとって一時的な対応策として検討されやすい一方で、通常の未払金とは違い、税務上も実務上も慎重に扱う必要があります。特に役員報酬は、定期同額給与として損金算入できるかどうかが重要になるため、単に未払い計上をして未払金に振り替えれば済む話ではありません。
この段落では、なぜ役員報酬の未払い計上が問題になりやすいのかを、定期同額給与との関係、未払金の長期化によるリスク、源泉所得税や社会保険料の扱いまで含めて整理し、注意すべきポイントを分かりやすく解説します。
役員報酬の未払い計上が問題になりやすい理由①
定期同額給与は「毎月同額」が前提になるため
役員報酬の税務上の基本は、定期同額給与に該当するかどうかです。定期同額給与とは、簡単にいえば、事業年度開始から一定期間内に定めた役員報酬を、その後毎月同じ金額で支給し続ける形の給与を指します。
IDEMAE編集部
役員報酬を損金算入するには、この定期同額給与の要件を満たしていることが極めて重要です。
ここで注意したいのは、役員報酬が未払いであっても、帳簿上だけ毎月同額を未払計上していれば十分とは限らない点です。会社として実際に支払う意思があるのか、支払能力がどの程度あるのか、未払金が後日どのように解消されるのかなど、実態も見られます。つまり、形式上は毎月同額の未払計上をしていても、実態として役員報酬の支払いがほとんど行われていない場合には、税務上疑義が生じやすくなります。
役員報酬の未払い計上が問題になりやすい理由②
役員報酬の未払いが長期化すると「本当に支払うのか」が問われるため
役員報酬の未払金が1か月、2か月程度の短期間で解消されるのであれば、資金繰りの一時的な都合として説明しやすい場合があります。しかし、未払金が何か月も積み上がり、期末をまたいでも役員報酬の未払いが残り続けると、「実際には支払う予定のない役員報酬を費用計上しているのではないか」と見られるおそれがあります。
役員報酬の未払い計上に関する注意点
特に、役員報酬の未払い計上が常態化している会社では、税務上の否認リスクが高まります。役員報酬は法人税の計算に大きく影響するため、未払計上によって利益を圧縮しているように見えると、税務調査で重点的に確認されることもあります。
役員報酬の未払い計上が問題になりやすい理由③
社会保険料は未払いでも原則として負担が続くため
役員報酬が払えない場合でも、社会保険料の負担が自動的になくなるわけではありません。役員報酬の額に基づいて社会保険料が決まっている以上、現実に会社の資金繰りが厳しくても、役員報酬の未払いを理由に社会保険料を止められるわけではないのです。
そのため、役員報酬を未払計上している会社では、「現金で役員報酬は払えないのに、社会保険料の負担は発生し続ける」という状況が起こりやすくなります。これは資金繰りをさらに圧迫する原因になりやすく、未払金の問題をより深刻にします。
役員報酬の未払い計上に関するおすすめ記事
役員報酬を未払い計上にしていいのか、未払いにする場合の仕訳方法などは以下の記事も是非ご覧ください。
役員報酬の未払い計上に関する参考記事:「役員報酬の未払いは経費にできる?リスクと正しい会計処理を税理士が徹底解説」
役員報酬の未払い計上が問題になりやすい理由④
源泉所得税の扱いを誤解しやすいため
役員報酬の未払い計上に関連して混乱しやすいのが、源泉所得税の取り扱いです。役員報酬を未払計上した時点で、すぐに源泉所得税を納付しなければならないと思っているケースもありますが、実務では「いつ支払ったといえるのか」という点が重要になります。
未払い計上の段階と、実際の支払いの段階を混同すると、帳簿処理や納付管理が複雑になります。役員報酬の未払計上を行うときは、未払金の仕訳だけでなく、源泉所得税の納付タイミングもあわせて整理しておくことが大切です。
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役員報酬が払えないときに未払金で処理する考え方
役員報酬が払えないとき、最も一般的に検討されるのが未払金による処理です。これは、支給日に支払うべき役員報酬を実際には支払えなかったため、会社の負債として未払金を計上する考え方です。勘定科目は「未払金」でも「未払役員報酬」でも処理されることがありますが、内容が明確に分かるようにしておくことが重要です。
未払金で処理するメリットは、役員報酬が未払いである実態をそのまま帳簿に反映しやすいことです。会社としては、役員報酬を支給すべき義務がありながら、現時点で払えていないことが明確になります。税務調査などで確認された場合も、「いつ、いくら、なぜ未払いとなったのか」を説明しやすい点は利点です。
一方で、未払金による役員報酬の未払計上は、長期化するとデメリットが出ます。未払金残高が大きく膨らんでいるのに、解消の動きが見られないと、帳簿上だけ役員報酬を計上して損金算入しているように見えることがあるからです。
IDEMAE編集部
未払金で処理するのであれば、役員報酬の未払いを一時的なものにとどめ、いつ支払うのか、どのように解消するのかまで考えておく必要があります。
つまり、未払金での処理は、役員報酬が払えないときの応急的な会計処理としては有効ですが、万能ではありません。未払計上を続ければ続けるほど、税務上のリスクは高まりやすくなるため、放置しないことが大前提です。
役員報酬の未払金計上と役員借入金の違い
役員報酬が払えないときに、未払金ではなく役員借入金で処理する方法が語られることがあります。ここは混同しやすい部分ですが、両者は意味が異なります。
未払金は、会社が役員に支払うべき役員報酬をまだ払っていない状態を表します。つまり、「役員報酬の未払い」がそのまま負債になっているイメージです。一方、役員借入金は、役員が会社にお金を貸している状態を表します。
役員報酬の未払い計上に関するポイント!
たとえば、会社の資金繰りが厳しいため、役員が個人資金で会社を支え、その資金をもとに会社が役員報酬を支払うような流れをとると、役員借入金が発生することがあります。
この違いは、実態の説明に大きく関わります。未払金は「払っていない」という事実をそのまま示しますが、役員借入金は「役員から会社への資金供給があった」ことを示します。したがって、単に役員報酬が払えないだけなのに、実態として借入がないにもかかわらず安易に役員借入金で処理すると、逆に不自然な帳簿になるおそれがあります。
一方で、役員が会社に資金を入れてでも役員報酬の支払いを実行し、定期同額給与としての支給実態をより明確にしたい場合には、役員借入金の考え方が有効なこともあります。つまり、未払金が適しているのは「一時的に役員報酬を払えない」ケースであり、役員借入金が検討対象になるのは「役員が会社に資金を入れてでも支払いを成立させる」ケースです。
役員報酬の未払計上と役員借入金のどちらがよいかは、税務だけではなく、会社の資金繰り、役員個人の資金状況、今後の支払い見込みまで踏まえて判断する必要があります。
役員報酬の未払い計上に関するおすすめ記事
役員報酬を未払い計上にしていいのか、未払いにする場合の仕訳方法などは以下の記事も是非ご覧ください。
「役員報酬の未払い計上は違法?役員報酬の未払金計上するときの仕訳も解説!」
役員報酬の未払計上の仕訳は?未払金で処理する場合

役員報酬の未払い計上で最も気になるのが、具体的な仕訳です。ここでは、独自の数値を使って未払金で処理する場合の仕訳を整理します。
たとえば、月額の役員報酬が42万円で、支給日に資金不足のため支払えなかったとします。この場合、役員報酬を費用として計上しつつ、未払金を計上する形になります。
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支給日に役員報酬を未払計上する仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 役員報酬 | 420,000円 | 未払金(未払役員報酬) | 420,000円 |
この仕訳により、当月分の役員報酬を帳簿に計上しつつ、まだ支払っていない金額を未払金として負債計上できます。役員報酬の未払い計上とは、まさにこのような処理を指すことが多いです。
後日、未払いだった役員報酬を支払ったときの仕訳
その後、資金繰りが改善し、未払いだった42万円を普通預金から支払った場合は、未払金を取り崩します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 420,000円 | 普通預金 | 420,000円 |
このように、未払計上した役員報酬は、支払い時に未払金を消し込む流れになります。
IDEMAE編集部
未払金の残高が月ごとにどう増減したかが分かるよう、補助科目や管理表を用意しておくと実務上は便利です。
数か月にわたって役員報酬の未払いが続く場合
仮に、42万円の役員報酬が3か月連続で払えなかった場合、未払金残高は126万円まで積み上がります。帳簿上は処理できていても、この未払金残高が大きくなるほど税務上の説明は難しくなります。未払いの役員報酬が何か月分あるのか、いつ支払う予定なのか、解消原資はあるのかまで整理しておかないと、未払計上の妥当性が弱くなりやすいです。
役員借入金で処理する場合の仕訳
役員が会社に資金を入れ、その資金で役員報酬の支払いを成立させる考え方をとる場合、役員借入金が使われることがあります。たとえば、役員がいったん会社に42万円を貸し付け、その資金をもとに会社が役員報酬を支払うイメージです。
実務上は処理の組み方に複数のパターンがありますが、考え方としては、会社が役員に対して報酬支払いを行い、その結果として会社には役員からの借入が残る形になります。
役員借入金で処理するイメージの仕訳
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 役員報酬 | 420,000円 | 役員借入金 | 420,000円 |
この仕訳だけを見ると、未払金との違いが分かりにくいかもしれません。しかし、意味合いは大きく異なります。未払金は役員報酬そのものが未払いである状態ですが、役員借入金は会社が役員から資金提供を受けている状態です。したがって、役員借入金を使うのであれば、実際に役員が会社に資金を入れた事実や、その経済的な流れが説明できることが重要です。
IDEMAE編集部
役員報酬が払えないからといって、どの会社でも役員借入金が最適とは限りません。
役員借入金は、未払い計上による不自然さを避けやすい面がある一方で、役員個人に資金余力がなければ現実的ではありません。また、資金の流れを適当に作ってしまうと、かえって帳簿の整合性を損なうこともあります。
役員報酬の未払い計上における税務上のリスク
役員報酬の未払い計上は、資金繰りが厳しい場面で行われることがありますが、会計上処理できるからといって、そのまま税務上も安全とは限りません。特に、役員報酬の未払い計上は、未払金として処理した後の実態や、定期同額給与の要件を満たしているかどうかによって、損金算入の可否や税務調査での見られ方が変わりやすい論点です。この段落では、役員報酬の未払い計上を行った場合に生じやすい税務上のリスクを整理し、未払金の長期化、損金不算入、定期同額給与への影響など、特に注意したいポイントを分かりやすく解説します。
役員報酬の未払い計上に関するおすすめ記事
役員報酬を未払い計上にしていいのか、未払いにする場合の仕訳方法などは以下の記事も是非ご覧ください。
役員報酬の未払い計上に関する参考記事:「役員報酬の未払計上は否認されるのか?」
役員報酬の未払い計上における税務上のリスク①
長期の未払金は損金算入が否認されるおそれがある
役員報酬の未払い計上における最大の税務上リスクは、損金算入が否認されることです。役員報酬はもともと税務上の制約が強いため、未払金として計上しただけでは安心できません。未払計上した役員報酬が長期間支払われずに放置されていると、「実質的には支払いのない役員報酬ではないか」と判断される余地が出てきます。
役員報酬の未払いが短期間で解消されるならまだ説明しやすいですが、決算をまたいでも未払金が大きく残り続けている場合は、税務調査で説明を求められる可能性が高まります。
IDEMAE編集部
特に、利益調整のために役員報酬を未払計上しているように見える状態は避けなければなりません。
役員報酬の未払い計上における税務上のリスク②
定期同額給与としての実態が弱いと不利になる
役員報酬が定期同額給与として扱われるには、毎月同額で継続して支給することが前提です。未払計上によって帳簿上は毎月同額になっていても、実際の支払いが伴っていない状態が長く続くと、定期同額給与の実態が弱いと見られやすくなります。
つまり、役員報酬の未払い計上で重要なのは、仕訳のきれいさではなく、会社として本当に支払う意思と現実的な支払い計画があるかどうかです。未払金という勘定科目があるから安全なのではなく、その未払金が近いうちに解消される見込みがあるかが問われます。
役員報酬の未払い計上における税務上のリスク③
未払計上と利益調整を疑われることがある
役員報酬は、会社の利益を左右しやすい科目です。そのため、業績が厳しい期や利益を圧縮したい期にだけ役員報酬を未払計上し、その後の支払い実態が乏しいようなケースでは、利益調整を疑われやすくなります。
役員報酬の未払い計上が税務上危険なのは、単に未払いという事実そのものよりも、「その未払いがどのような意図で行われ、どう解消されるのか」が不透明になりやすいからです。
役員報酬の未払い計上に関する注意点
未払金を帳簿上に残すだけで、何も動かない状態は最も避けたい事象です。
役員報酬を未払計上したときの源泉徴収の扱い方
役員報酬が払えないために未払計上を行う場合、迷いやすいのが源泉徴収をいつ処理するかです。結論からいうと、源泉徴収による所得税の納税義務は「支払の時」に成立するため、原則論としては、役員報酬を未払金として計上した時点ではなく、実際に役員報酬を支払った時点で源泉徴収を行う考え方になります。国税通則法第15条第2項第2号でも、源泉徴収による所得税は「給与、報酬、料金その他源泉徴収をすべきものとされている所得の支払の時」に成立するとされています。
原則は役員報酬を実際に支払った時に源泉徴収する
そのため、役員報酬を未払計上しただけの段階では、一般的にはまだ源泉徴収税額を預り金として計上せず、まずは役員報酬と未払金だけを処理する形になります。つまり、未払金で計上した時点では「会社が役員報酬をまだ支払っていない」状態なので、源泉徴収も実際の支払いに合わせて処理する、という流れです。
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たとえば、月額の役員報酬を 38万円、実際に支払う際の源泉徴収税額を 12,000円 とする例で考えてみましょう。
支給日に資金繰りの都合で払えず、役員報酬を未払計上した場合の仕訳は次のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 役員報酬 | 380,000円 | 未払金 | 380,000円 |
その後、資金繰りが改善して役員報酬を実際に支払った時点で、未払金を取り崩し、現金預金と預り金に振り替えます。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 380,000円 | 普通預金 | 368,000円 |
| 預り金 | 12,000円 |
IDEMAE編集部
この形であれば、役員報酬の未払計上と、支払い時の源泉徴収の流れを切り分けて管理できます。
未払金の段階では役員報酬の未払いを示し、実際の支給時に源泉徴収を反映するため、原則的な考え方に沿った処理として理解しやすい形です。
実務では未払計上時に預り金まで計上するケースもある
一方で、実務では役員報酬を未払計上した時点で、あわせて源泉徴収額も預り金として計上する処理が使われることがあります。これは法令上の原則をそのまま書き写した処理というより、月次の帳簿管理を分かりやすくしたい場合や、役員報酬の未払計上をしていても源泉所得税の管理を先に整理しておきたい場合に採られる実務対応です。源泉徴収事務そのものは事業主が行う必要があり、納付管理まで含めてミスを防ぎたい場面では、このような処理が選ばれることがあります。
同じく、月額役員報酬 38万円、源泉徴収税額 12,000円 の例で、未払計上時に預り金まで計上する場合は次のようになります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 役員報酬 | 380,000円 | 未払金 | 368,000円 |
| 預り金 | 12,000円 |
そして、後日実際に役員へ支払うときは、未払金だけを消し込む形になります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 368,000円 | 普通預金 | 368,000円 |
この方法では、未払計上した時点で役員報酬の総額、未払金として残る差引支給額、源泉徴収額がすでに帳簿上分かれるため、月次の管理はしやすくなります。
役員報酬の未払い計上に関するポイント!
どちらの処理を採るかは、会社の経理ルールや税理士の方針も影響するため、役員報酬の未払計上が継続している会社ほど、処理方法を毎月ぶらさないことが大切です。
どちらの処理でも大切なのは継続性と説明可能性
役員報酬の未払計上における源泉徴収は、単に仕訳が合っていれば十分というわけではありません。原則は「支払の時」に源泉徴収を行う考え方ですが、実務上は未払計上時に預り金まで立てる処理も見られます。重要なのは、役員報酬の未払いが発生した理由、未払金の解消見込み、源泉徴収税額の管理方法が帳簿上きちんとつながっていることです。
特に、役員報酬の未払いが1か月ではなく数か月続く場合は、どの月の役員報酬に対して、いくら未払計上し、いくら源泉徴収の対象になるのかが見えにくくなりやすいです。そのため、未払金の補助元帳や月別の管理表を用意し、役員報酬、未払金、預り金の対応関係がすぐ追える状態にしておくと、後からの説明がしやすくなります。源泉所得税の納付事務は事業主が行う必要があるため、処理の一貫性はかなり重要です。
役員報酬の未払い計上に関するおすすめ記事
役員報酬を未払い計上にしていいのか、未払いにする場合の仕訳方法などは以下の記事も是非ご覧ください。
「マイクロ法人の役員報酬はどう決める?社会保険料・所得税・0円設定の可否まで解説」
未払計上が長引く場合は源泉徴収だけでなく税務全体で考える
役員報酬の未払計上では、源泉徴収のタイミングだけに目が向きがちですが、実務上はそれだけでは足りません。未払金が長期化すると、役員報酬の損金算入や定期同額給与としての扱いまで論点が広がります。つまり、源泉徴収の仕訳だけ整えても、役員報酬の未払いが常態化していれば、税務上のリスクが消えるわけではありません。
そのため、役員報酬が払えない状態で未払計上をしている場合は、「源泉徴収をいつ処理するか」だけでなく、「未払金をいつ解消するか」「今後も同額の役員報酬を維持できるか」まで含めて整理することが重要です。源泉徴収の具体例は仕訳の入口としては大切ですが、本当に重要なのは、役員報酬の未払い計上が一時的なものなのか、それとも役員報酬の見直しが必要な状態なのかを見極めることです。
役員報酬を払えない場合でも社会保険料は発生する?
役員報酬が払えない場合でも、社会保険料の問題は別です。役員報酬を未払計上しているからといって、社会保険料の負担が自動的になくなるわけではありません。社会保険は、設定されている報酬月額を前提に計算されるため、現実に役員報酬を払えない月があっても、原則として保険料負担は続きます。
この点は、役員報酬の未払い計上を検討する会社にとって見落としやすいポイントです。役員報酬を払えないほど資金繰りが苦しいのに、社会保険料の納付義務まで残るため、会社のキャッシュはさらに厳しくなります。つまり、役員報酬の未払計上は、会計上の処理としては成立しても、資金繰りの問題を根本から解決するものではありません。
IDEMAE編集部
そのため、役員報酬が払えない状態が続く見込みなら、単に未払金として積み上げるだけでは不十分です。役員報酬の額そのものを見直す必要があるのか、早めに検討すべき場面もあります。
役員報酬が払えないときは未払計上を続けるべきか
役員報酬が一時的に払えないだけであれば、未払計上は一定の合理性があります。売上の入金時期のズレや、一時的な資金不足が原因で、来月や再来月には支払える見込みがあるなら、未払金で処理して後日解消する流れは実務上あり得ます。
しかし、役員報酬が払えない状況が継続しそうなら、未払計上を続けるべきかは慎重に考える必要があります。未払金残高が増えるほど、税務上の説明は難しくなり、社会保険料の負担も残ります。さらに、役員個人の生活資金にも影響が出るため、会社と役員の双方に無理が生じやすくなります。
そのため、役員報酬が払えない状況が短期では終わらないなら、次のような視点で判断することが重要です。
未払計上を続ける前に確認したいポイント
- 未払いの役員報酬をいつまでに支払える見込みがあるか
- 未払金が何か月分まで膨らむ可能性があるか
- 社会保険料の負担を継続しても資金繰りが持つか
- 役員個人が会社を資金面で支えられるか
- 役員報酬の減額改定を検討すべき状況ではないか
役員報酬の未払い計上は、便利な会計処理に見えても、使い続けるほど負担やリスクが蓄積しやすい処理です。短期の対応なのか、中長期の見直しが必要なのかを分けて考えることが大切です。

役員報酬の減額改定を検討したほうがよいケース
役員報酬が払えない状態が続く会社では、未払金計上を繰り返すよりも、役員報酬の減額改定を検討したほうがよい場合があります。もちろん、役員報酬は自由にいつでも変更できるわけではなく、税務上のルールがあります。しかし、業績悪化や資金繰りの著しい変化がある場合には、役員報酬の見直しを検討すべき場面があります。
役員報酬の未払い計上に関する参考記事:「役員報酬の未払金は損金算入できる?源泉徴収の扱い方も解説」
ここで重要なのは、未払計上を続けて見かけ上の定期同額給与を維持することが、必ずしも最善ではないということです。会社の実態として、役員報酬の水準自体が重すぎるのであれば、未払金として積み上げるより、実態に合った役員報酬へ調整したほうが、会計・税務・資金繰りの整合性が取りやすくなります。
特に、次のような場合は見直しの必要性が高まります。
- 役員報酬の未払いが数か月単位で続いている
- 未払金残高の解消見込みが立っていない
- 社会保険料の負担が重く、会社の資金繰りを圧迫している
- 今後も同額の役員報酬を継続して支払うのが難しい
役員報酬が払えないのに、定期同額給与の形だけを守ろうとして未払計上を重ねると、かえって税務上も実務上も不自然になりやすいです。
IDEMAE編集部
未払金の処理だけで乗り切るのか、役員報酬そのものを見直すのかは、早い段階で判断する必要があります。
役員報酬の未払い計上を放置すると起こりやすい問題
役員報酬の未払い計上で最も避けたいのは、未払金をそのまま放置することです。未払金は一時的な経過勘定として使う分にはまだしも、何も考えずに毎月積み上げていくと、次のような問題が起きやすくなります。
- 役員報酬の損金算入について税務上の説明が難しくなる
- 定期同額給与としての実態が弱く見える
- 未払い分の源泉所得税管理が複雑になる
- 社会保険料の負担だけが続いて資金繰りが悪化する
- 決算書の未払金残高が大きくなり、金融機関や第三者から見た印象も悪くなりやすい
特に、役員報酬の未払金が多額になっている会社は、決算書上の見え方にも注意が必要です。未払金が膨らんでいるということは、会社が役員に対する支払債務を果たせていない状態であり、資金繰りの厳しさを示すシグナルにもなります。
そのため、役員報酬の未払い計上をした場合は、単なる仕訳入力で終わらせず、未払金解消までのスケジュールを作ることが重要です。いつ支払うのか、分割で払うのか、役員借入金に切り替えるのか、役員報酬の見直しをするのかまで含めて考える必要があります。
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税理士に確認したい実務上のポイント
役員報酬が払えないときの未払計上は、経理だけの問題ではありません。税務、労務、資金繰りが同時に絡むため、判断を誤ると後で修正が大きくなることがあります。特に次の3点は、税理士などの専門家に確認しておきたいポイントです。
1. この未払計上は短期処理として妥当か
役員報酬の未払いが一時的なものなのか、継続的な問題なのかで、未払金で処理してよいかの判断は変わります。短期で解消する見込みがあるなら未払計上でも説明しやすいですが、長期化するなら別の対応を考える必要があります。
2. 定期同額給与との関係で問題が出ないか
役員報酬は定期同額給与の扱いが極めて重要です。未払計上の継続が、実態としてどのように見られるかは慎重に確認したいところです。
役員報酬の未払い計上に関するおすすめ記事
役員報酬を未払い計上にしていいのか、未払いにする場合の仕訳方法などは以下の記事も是非ご覧ください。
役員報酬の未払い計上に関する参考記事:「役員報酬の未払金、放置は危険?税務上の論点と解消法を解説」
3. 社会保険料や源泉所得税を含めて処理が整合しているか
役員報酬の未払い計上では、会計だけ整っていても足りません。社会保険料の負担や源泉所得税の処理がちぐはぐだと、後から手戻りが生じやすくなります。
IDEMAE編集部
税務・労務・経理を一体で確認できる体制があるかも重要です。
役員報酬の未払いは、顧問料の安さだけで対応先を選ぶと判断がばらつきやすい論点でもあります。役員報酬、未払金、定期同額給与、社会保険料までまとめて見られる体制かどうかは、相談先選びでも重視したい部分です。
役員報酬の未払い計上に関するよくある質問(FAQ)
Q. 役員報酬が未払いの場合、未払金で計上しても問題ありませんか?
役員報酬が未払いの場合、未払金として未払計上すること自体はあります。ただし、役員報酬の未払い計上が長期化すると、税務上は損金算入や定期同額給与との関係でリスクが高まるため、未払金で処理した後の解消見込みまで重要です。
Q. 役員報酬の未払計上の仕訳はどうなりますか?
役員報酬の未払計上では、支給日に「借方:役員報酬/貸方:未払金」とするのが基本です。その後、実際に支払った時点で「借方:未払金/貸方:普通預金」などの仕訳を行います。役員報酬、未払金、未払計上の関係が分かるよう、月別で管理するのが望ましいです。
Q. 役員報酬を払えない場合でも定期同額給与の要件は満たせますか?
帳簿上毎月同額を未払計上していても、実際の支払い実態が弱いと、定期同額給与としての評価に不安が残ることがあります。役員報酬の未払いが短期で解消されるのか、未払金が長期化するのかによって、税務上の見え方は変わります。
Q. 未払いの役員報酬は源泉徴収されますか?
役員報酬の未払い計上では、実際の支払い時点と源泉所得税の扱いを整理することが重要です。未払計上の段階と支払い段階を混同すると処理が煩雑になるため、役員報酬の支払い時期とあわせて管理する必要があります。
Q. 役員報酬を払えない場合は社会保険料は発生しますか?
役員報酬が払えない場合でも、社会保険料の負担が自動的になくなるわけではありません。役員報酬の未払い計上をしていても、設定された報酬月額に基づいて社会保険料の負担が続くため、資金繰りへの影響を軽く見ないことが大切です。
役員報酬の未払い計上に関する参考記事:「役員報酬を未払いで計上できる?」
Q. 役員賞与は未払金計上できますか?
役員賞与を未払いで計上し、損金算入を目指すこと自体は一応可能ですが、実務上はかなりハードルが高い対応です。役員賞与を未払い処理して損金算入するためには、事前確定届出給与の届出を期限内に提出したうえで、届出内容どおりの役員賞与を、決算期末の翌日から1か月以内など定められたタイミングで正確に支払う必要があります。つまり、役員賞与の未払い、損金算入、事前確定届出給与はセットで考える必要があり、少しでも条件を外すと、役員賞与の損金算入は認められません。
特に注意したいのは、役員賞与の未払い処理をしたものの、事前確定届出給与の要件を満たしていなかった場合です。この場合、役員賞与は損金不算入となり、法人側では費用として認められず、個人側では受け取った役員賞与として課税されるため、結果として二重課税に近い重い負担が生じるおそれがあります。
IDEMAE編集部
役員賞与(事前確定届出給与)を未払いにする時点で届け出内容から逸脱するので、損金不算入になります。
役員賞与で節税を考えるなら、未払い処理や損金算入の可否をその場の判断で決めるのではなく、事前確定届出給与の届出期限、支給日、支給額まで含めて、計画的に管理することが重要です。
参考:国税庁「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」
Q. 役員報酬の未払金を放置するとどうなりますか?
役員報酬の未払金を放置すると、未払いの金額が膨らみ、損金算入の否認リスク、定期同額給与の実態への疑義、社会保険料負担の継続など、複数の問題が重なりやすくなります。未払計上はあくまで一時的な対応と考え、解消の道筋を早めに作ることが重要です。
まとめ
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役員報酬が払えないときでも、会計上は役員報酬を未払計上し、未払金として処理することがあります。未払金の仕訳自体は比較的シンプルですが、役員報酬の未払い計上は、単なる会計処理で終わる話ではありません。定期同額給与として損金算入できるか、未払金が長期化して否認リスクが高まらないか、源泉所得税や社会保険料をどう扱うかまで整理する必要があります。
特に、役員報酬の未払いが一時的な資金不足によるものなのか、それとも今後も払えない状況が続くのかで、適切な対応は変わります。
IDEMAE編集部
短期なら未払金での未払計上が選択肢になりますが、長期化するなら役員借入金や役員報酬の見直しまで検討したほうが安全です。
役員報酬の未払い計上は可能でも、未払金を放置すると税務上のリスク、資金繰りの悪化、社会保険料負担の継続といった問題が重なりやすくなります。役員報酬が払えないときは、仕訳だけで終わらせず、未払いをどう解消するかまで含めて判断することが大切です。
役員報酬の未払い計上に関するおすすめ記事
役員報酬を未払い計上にしていいのか、未払いにする場合の仕訳方法などは以下の記事も是非ご覧ください。
「 役員報酬(役員賞与)はいつまでに決める?役員報酬額(役員賞与)を変更しても損金算入するためのポイントも紹介 」
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