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妻(配偶者)を役員にするべき?役員報酬はいくらが得か・節税や扶養の注意点を解説
更新日:2026.07.21
妻(配偶者)が会社の経理や事務、資金繰り、採用、取引先対応などを手伝っている場合、「妻を役員にして役員報酬を支払った方が節税になるのではないか」と考える経営者は少なくありません。妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払えば、夫に集中していた所得を夫婦に分散できるため、所得税や住民税を抑えられる可能性があります。
ただし、妻(配偶者)を役員にすれば、必ず世帯全体の手取りが増えるわけではありません。妻の所得税や住民税だけでなく、健康保険・厚生年金の保険料や会社負担が増えることもあるためです。また、妻の役員報酬を会社の経費として認めてもらうためには、定期同額給与などの要件を満たし、妻が実際に経営へ関与していることを説明できなければなりません。
妻(配偶者)の役員報酬を「月8万円」「年収123万円以下」などの金額だけで決めるのも危険です。所得税上の配偶者控除と社会保険上の扶養は別の制度であり、役員として社会保険の加入対象になれば、役員報酬が年収130万円未満でも夫の扶養から外れる可能性があります。
本記事では、妻(配偶者)を役員にするべきか、妻の役員報酬はいくらが得なのかを詳しく解説します。妻を役員にするメリット・デメリット、役員と従業員の違い、扶養や社会保険の注意点、税務調査で確認されやすいポイントまで整理するため、家族を役員にするか迷っている経営者は参考にしてください。
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妻(配偶者)を役員にするべき?結論と判断基準

結論からいえば、妻(配偶者)が会社の重要な意思決定に継続的に参加している場合は、妻を役員にして役員報酬を支払うことが選択肢になります。
一方、妻が会社の指示を受けて、経理入力や請求書作成、電話対応といった補助的な業務を行っているだけであれば、役員よりも従業員として雇用する方が実態に合っている可能性があります。
IDEMAE編集部
妻を役員にするべきかは、節税額だけで決めるのではなく、妻の職務内容、経営への関与度、会社の利益、資金繰り、社会保険料、将来の経営体制まで含めて判断することが重要です。
妻や配偶者を会社の役員にすることは可能
妻や配偶者を会社の役員にすること自体に問題はありません。株式会社であれば、株主総会などで妻を取締役に選任し、本人が就任を承諾したうえで、役員変更登記を行うことになります。
妻を一般の取締役にするだけでなく、妻を代表取締役にすることも可能です。ただし、妻を代表取締役にする場合は、金融機関との取引、契約の締結、従業員の管理、行政手続きなど、会社を代表する権限と責任を実際に担うことになります。
IDEMAE編集部
「節税をしたいから」という理由だけで、妻を名義上の役員にする方法は適切ではありません。妻が取締役になれば、会社から経営を任された立場として、会社のために適切な判断を行う責任を負います。
また、登記上は役員でなくても、実質的に会社の経営へ従事している場合は、法人税法上の「みなし役員」と判断される可能性があります。相談役や顧問といった肩書きでも、実際の地位や職務から他の役員と同様に経営へ関与していれば、税務上は役員として扱われることがあります。
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妻を役員にするのが向いているケース
妻(配偶者)を役員にするのが向いているのは、妻が単に作業を手伝うのではなく、継続的に経営判断を行っているケースです。
たとえば、妻が資金繰り表を作成するだけでなく、借入額や返済計画を検討している場合や、単に求人票を作成するだけでなく、採用人数や賃金水準を決めている場合は、経営への関与度が高いと考えられます。
妻を役員にするのが向いている代表的なケースは、次のとおりです。
- 会社の予算や資金繰りを夫と一緒に決めている
- 取引先との契約条件や価格を決めている
- 従業員の採用、配置、給与などの方針を決めている
- 新規事業や設備投資の判断に参加している
- 経理・財務部門の責任者として決裁権を持っている
- 夫が不在の場合に会社の経営判断を代行している
- 将来の事業承継や経営分担を見据えている
これらの業務を日常的に行っている妻(配偶者)であれば、役員としての職務と役員報酬の関係を説明しやすくなります。
妻(配偶者)を役員にする際の役員報酬に関するおすすめ記事
妻(配偶者)を役員にすることで、役割や責任の所在も明確になります。夫婦で経営しているにもかかわらず、夫だけが役員で妻は無給という状態より、妻の貢献に見合った役員報酬を正式に支払う方が、会社の管理体制として自然なケースもあります。
妻を役員にしない方がよいケース
妻が会社の業務にほとんど関与していない場合は、妻を役員にしない方がよいでしょう。
妻が年に数回だけ書類を整理している、決算前だけ領収書をまとめている、名義だけを貸しているといった状況で役員報酬を支払うと、税務調査で勤務実態や報酬の妥当性を問われる可能性があります。
また、妻が会社からの指示に従って決められた作業を行うだけで、経営上の意思決定に参加していない場合は、役員ではなく従業員として雇用する方が適切です。従業員であれば、業務量や会社の業績に応じて給与を見直しやすく、一定の要件を満たせば雇用保険にも加入できます。
気をつけておきたい注意点
創業直後で毎月の売上が安定していない会社も、妻をすぐに役員にするか慎重に検討すべきです。妻の役員報酬を毎月の固定費として支払うことになるため、売上が減少しても簡単には役員報酬を減額できません。
妻を役員にしない方がよい主なケースは、次のとおりです。
- 妻が実際には会社で働いていない
- 妻の担当業務を具体的に説明できない
- 妻が経営判断に参加していない
- 会社の利益や資金繰りが安定していない
- 扶養を維持することを最優先したい
- 報酬額を業務量に応じて柔軟に変えたい
- 従業員との公平性を確保しにくい
妻(配偶者)を役員にするかは、「妻へお金を移せるか」ではなく、「妻が役員として会社に何を提供しているか」を基準に判断しましょう。
妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払うメリット・デメリット

妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払うと、所得分散による節税効果が期待できます。一方で、社会保険料の増加や役員報酬の変更制限など、新たな負担も発生します。
妻を役員にするメリットだけでなく、妻の役員報酬を支払った後に増える税金・社会保険料・固定費まで比較することが重要です。
妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払うメリット①:所得を夫婦に分散して世帯全体の税負担を抑えられる
妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払う最大のメリットは、夫に集中していた所得を夫婦に分散できることです。
日本の所得税は、所得が高くなるほど税率も高くなる超過累進税率を採用しています。夫が高額な役員報酬を一人で受け取るよりも、夫の役員報酬を一定額減らし、妻へ役員報酬を支払う方が、夫婦それぞれに低い税率が適用される可能性があります。
IDEMAE編集部
妻(配偶者)を役員にする際の役員報酬について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
また、夫婦それぞれが給与所得控除や基礎控除などを利用できる点も、所得分散による節税効果が生じる理由です。
たとえば、夫が月額100万円の役員報酬を受け取っている会社で、夫の役員報酬を月額80万円に減らし、妻の役員報酬を月額20万円にするケースを考えます。この場合、世帯に支払われる役員報酬の合計は月額100万円で変わりませんが、所得が夫婦に分かれるため、所得税や住民税の合計が下がる可能性があります。
ただし、単純に夫の役員報酬を妻へ移せばよいわけではありません。夫の役員報酬を減額できる時期には制限があり、妻の役員報酬も職務内容に見合った金額でなければなりません。
さらに、妻が社会保険に加入すれば、妻本人が負担する健康保険料・厚生年金保険料だけでなく、会社にも同程度の社会保険料負担が発生します。所得税の減少額より社会保険料の増加額が大きければ、妻を役員にして役員報酬を分散しても、会社と世帯を合算した手取りが減ることがあります。
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妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払うメリット②:妻の働きに対して会社から正式に報酬を支払える
夫婦で会社を経営している中小企業では、妻が経理、労務、総務、資金繰りなどを実質的に担当しているにもかかわらず、妻に報酬を支払っていないケースがあります。
妻(配偶者)が会社の経営に継続的に貢献しているのであれば、妻を役員にして役員報酬を支払うことで、妻の働きを会社の費用として適切に反映できます。
定期同額給与などの要件を満たした妻の役員報酬は、原則として会社の損金に算入できます。損金に算入された役員報酬は会社の課税所得を減らすため、法人税等の負担を抑えられる可能性があります。
気をつけておきたい注意点
ただし、妻へ支払った役員報酬が損金になる一方、妻個人には給与所得として所得税・住民税がかかります。会社から見た節税額だけでなく、妻個人の税負担まで含めて確認しなければなりません。
妻への役員報酬は、妻本人が自由に管理できる銀行口座へ実際に振り込むことも重要です。帳簿上だけ妻への役員報酬を計上し、実際には支払っていない場合や、妻名義の口座を夫が一方的に管理している場合は、支給の実態について疑問を持たれる可能性があります。
妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払うメリット③:役員退職金や将来の厚生年金につなげられる
妻(配偶者)を役員にすると、将来退任する際に、会社から妻へ役員退職金を支給できる可能性があります。
役員退職金は、役員としての在任期間、退任理由、役員報酬、会社への貢献度などを考慮して決定します。適正な役員退職金であれば会社の損金となり、妻側では退職所得として給与所得とは異なる計算が行われるため、長期的な資産形成に利用できる可能性があります。
ただし、妻を形式的に役員にしただけでは、役員退職金の妥当性を説明できません。妻がどのような業務を担当し、どのような経営上の成果を上げたかを記録しておく必要があります。
IDEMAE編集部
また、妻が健康保険・厚生年金の被保険者になれば、妻自身の厚生年金加入期間が増え、将来受け取る老齢厚生年金の増加につながります。
社会保険料は現在の手取りを減らす要因ですが、単なる税金とは異なり、将来の年金や健康保険の給付につながる負担です。そのため、妻の役員報酬を考える際は、「社会保険料が高いから損」と一律に考えず、現在の手取りと将来の保障を分けて判断する必要があります。
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妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払うデメリット①:社会保険料や会社負担が増える可能性がある
妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払う場合、特に注意したいのが社会保険です。
すべての法人事業所は、事業主のみの会社を含め、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。妻が会社の経営に継続的に参加し、その対価として役員報酬を定期的に受け取る場合は、健康保険・厚生年金の被保険者になる可能性があります。
役員の社会保険加入は、役員報酬が年収130万円を超えたかだけで判断されるわけではありません。日本年金機構は、法人の経営への参画を内容とする経常的な労務を提供し、その対価として経常的に報酬を受けているかなどを総合的に判断するとしています。
定期的に出勤していないことだけで、役員が社会保険の対象外になるわけでもありません。役員は会社以外の場所でも、連絡、指示、承認、経営判断などを行えるためです。
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また、役員報酬が低いことだけで社会保険の被保険者資格がなくなるとも限りません。日本年金機構の疑義照会では、役員報酬について一律の最低金額を設定して判断するのではなく、報酬決定の経緯、職務内容、常用的な使用関係などを総合的に確認する考え方が示されています。
そのため、「妻の役員報酬を月8万円にすれば年収96万円なので扶養に入れる」とは断定できません。妻自身が社会保険の被保険者になる場合は、年収130万円未満でも夫の健康保険の被扶養者ではなくなります。
健康保険・厚生年金の保険料は、原則として妻本人と会社が分担します。妻の手取りだけを見れば社会保険料の本人負担が増え、会社側にも新たな法定福利費が発生します。
妻(配偶者)へ役員報酬を支払う前には、少なくとも次の金額を比較しましょう。
- 夫の所得税・住民税がいくら減るか
- 妻の所得税・住民税がいくら増えるか
- 妻本人の社会保険料がいくら増えるか
- 会社の社会保険料負担がいくら増えるか
- 会社の法人税等がいくら減るか
- 会社と世帯を合算した最終的な手取りがいくらになるか
妻の役員報酬の最適額は、所得税だけを見ても判断できません。
IDEMAE編集部
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妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払うデメリット②:役員報酬を期中に変更しにくく資金繰りに影響する
妻(配偶者)を役員にすると、妻へ支払う役員報酬は、従業員の給与ほど柔軟には変更できません。
会社が役員報酬を損金に算入するためには、原則として定期同額給与、事前確定届出給与、一定の業績連動給与のいずれかに該当する必要があります。中小企業が妻へ毎月支払う役員報酬では、定期同額給与を利用するケースが一般的です。
定期同額給与とは、原則として1か月以下の一定期間ごとに支給し、各支給時期の金額が同額である給与です。通常の役員報酬改定は、原則として事業年度開始から3か月以内に行います。
たとえば3月決算の会社であれば、4月から始まる事業年度の役員報酬を、原則として6月末までに決めます。会社の定時株主総会の時期によっては、事業年度開始から定時株主総会までは従来の役員報酬を支払い、定時株主総会後に改定した金額を支払う方法もあります。
IDEMAE編集部
事業年度の途中で妻の役員報酬を自由に増減すると、変更後または変更前の役員報酬の一部が損金に算入されない可能性があります。
妻の役割が大きく変わった場合などの臨時改定事由や、会社の経営状況が著しく悪化した場合の業績悪化改定事由に該当すれば、期中に変更できることもあります。ただし、一時的に資金繰りが苦しくなった、計画した利益に届かなかった、予想より売上が少なかったという理由だけでは、原則として業績悪化改定事由に該当しません。
創業直後や売上の変動が大きい会社では、妻の役員報酬を高く設定しすぎると、会社の資金繰りを圧迫します。妻(配偶者)の役員報酬はいくらが得かを考える際は、節税額だけでなく、売上が計画を下回っても1年間継続して支払える金額かを確認しましょう。
妻の役員報酬はいくらが得?適正額の決め方

妻(配偶者)の役員報酬に、すべての会社へ共通する最適額はありません。
「月8万円が得」「年収123万円以下が得」「社長の役員報酬の6割が相場」といった情報だけで決めるのは危険です。妻の役員報酬はいくらが得かは、妻の職務内容、会社利益、夫の役員報酬、社会保険の加入状況、扶養、他の所得などによって変わります。
妻の役員報酬は、次の順番で決めることが重要です。
- 妻の職務に対する適正額を確認する
- 会社が継続して支払える金額を確認する
- 夫婦と会社の税金・社会保険料を試算する
- 複数の役員報酬パターンを比較する
- 株主総会議事録などに決定過程を残す
妻の役員報酬を決める5つの判断基準
妻(配偶者)の役員報酬を決める際は、最初に妻の職務の対価として妥当な金額を考えます。節税効果から逆算して役員報酬を決めても、妻の実際の働きに比べて高すぎれば、税務上の問題が生じるためです。
妻の役員報酬を決める主な判断基準は、次の5つです。
会計事務所SoVaでは、記帳業務や給与計算だけではなく、社会保険などの役所手続き、さらには助成金・補助金や節税アドバイスを 29,800円〜丸ごとお任せいただくことが可能 です。バックオフィス業務が面倒だと感じている方は、ぜひ会計事務所SoVaにお任せください!
妻の職務内容
妻がどのような業務を担当するかを明確にします。
経理入力や書類整理だけを担当する妻と、資金調達、予算編成、契約承認、採用判断まで担当する妻では、役員としての職務や責任が異なります。
「経理全般」などの抽象的な表現だけでなく、妻が決定する事項、承認できる金額、担当する会議、管理する従業員などを具体的に決めることが重要です。
妻の勤務頻度と業務量
妻が常勤役員として週5日勤務するのか、非常勤役員として月数回の会議に参加するのかによって、役員報酬の適正額は変わります。
ただし、役員は従業員のように勤務時間だけで報酬を決めるものではありません。会社への出勤時間が短くても、重要な意思決定や責任を担っていれば、一定の役員報酬が合理的な場合があります。
反対に、勤務時間が長くても、指示された事務作業だけを行っている場合は、役員よりも従業員としての給与が適切なことがあります。
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妻が負う経営責任と権限
役員報酬は、作業量だけでなく、妻が負う責任や権限も考慮して決めます。
たとえば、妻が経理を担当していても、支払いの最終決裁をすべて夫が行っている場合と、妻が一定額まで支出を承認できる場合では、経営への関与度が異なります。
妻が金融機関との面談、税理士との決算協議、従業員の採用面接、重要な契約の確認などを担当していれば、その責任も役員報酬へ反映しやすくなります。
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役員報酬はいくらが得?税金・社会保険・手取りから最適額の決め方を解説
この記事では、役員報酬はいくらが得なのかを、税金・社会保険・手取り・資金繰りの観点から分かりやすく解説します。
会社の利益と資金繰り
妻の役員報酬が職務に見合っていても、会社に支払う余力がなければ継続できません。
役員報酬を決める際は、通常の売上予測だけでなく、売上が計画より20%程度減少した場合でも支払えるかを確認しておくとよいでしょう。
IDEMAE編集部
妻の役員報酬を高くしすぎて会社に資金が残らなくなると、納税、借入返済、設備投資、従業員給与の支払いに影響します。役員報酬による節税で税金が減っても、会社の現預金まで不足しては意味がありません。
同業他社や従業員給与とのバランス
妻の役員報酬が適正かを確認する際は、同じ業種・規模の会社における役員報酬や、自社の従業員給与との比較も重要です。
同程度の職務を担当する従業員の給与が月額25万円であるにもかかわらず、妻へ月額80万円の役員報酬を支払っている場合は、その差を説明できる根拠が必要です。
妻が取締役として会社全体の財務、採用、法務、経営計画まで担当しているのであれば、従業員より高い役員報酬にも合理性があります。一方、業務内容が従業員とほぼ同じなら、著しく高い妻の役員報酬は適正額と認められない可能性があります。
103万円・123万円・130万円・160万円の違い
妻(配偶者)の役員報酬を考える際は、「年収の壁」と呼ばれる金額の意味を分けて理解する必要があります。
| 金額 | 主な意味 | 妻の役員報酬を考える際の注意点 |
|---|---|---|
| 103万円 | 2024年分以前に使われていた所得税上の代表的な基準 | 現在の配偶者控除の給与収入基準とは異なる |
| 123万円 | 2025年分以降、給与収入だけの場合に配偶者控除を受けられる妻の収入目安 | 夫の合計所得金額による制限がある |
| 130万円 | 健康保険の被扶養者認定で一般的に用いられる年間収入基準 | 妻自身が社会保険加入対象なら130万円未満でも扶養から外れる |
| 160万円 | 一定の場合に配偶者特別控除の最大額を受けられる給与収入の目安 | 社会保険の扶養基準ではない |
2025年分以降、妻の所得が給与所得だけの場合、給与収入が123万円以下であれば、給与所得控除65万円を差し引いた合計所得金額が58万円以下となるため、原則として夫は配偶者控除を受けられます。ただし、夫の合計所得金額が1,000万円を超える年は配偶者控除を受けられません。
妻の給与収入が123万円を超えても、直ちに夫の所得控除がゼロになるわけではありません。一定の要件を満たせば、配偶者特別控除を受けられます。
夫の合計所得金額が900万円以下で、妻の所得が給与所得だけの場合、妻の給与収入が概ね160万円以下であれば、最大38万円の配偶者特別控除を受けられる可能性があります。妻の合計所得金額が95万円を超えると、配偶者特別控除額は段階的に減少します。
一方、130万円は所得税の配偶者控除ではなく、健康保険の被扶養者認定に関する基準です。一般に、認定対象者の年間収入が130万円未満で、かつ被保険者の年間収入の半分未満であることなどが確認されます。
気をつけておきたい注意点
ただし、妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払う場合は、「130万円未満だから扶養に入れる」とは限りません。妻自身が自社の健康保険・厚生年金へ加入する対象になれば、収入額にかかわらず夫の被扶養者ではなくなります。
したがって、妻の役員報酬を決める際は、税法上の123万円や160万円だけでなく、妻が社会保険の被保険者に該当するかを先に確認する必要があります。
扶養を優先する場合の役員報酬
妻が子育てや介護などを優先し、会社への関与も限定的である場合は、夫の扶養を維持しながら働く方法を検討することがあります。
ただし、妻を役員にして役員報酬を支払う場合、報酬を年収130万円未満に抑えるだけでは不十分です。妻が経常的に経営へ参加し、その対価として役員報酬を受けている場合は、自社の社会保険に加入する可能性があるためです。
扶養を優先したい場合は、妻を役員にする前に、次の事項を確認しましょう。
- 妻は実際にどの程度経営へ参加するのか
- 妻は常勤役員か非常勤役員か
- 役員報酬は労務の対価といえる金額か
- 妻は他社でも社会保険に加入しているか
- 夫が加入する健康保険組合の被扶養者認定基準は何か
- 妻を従業員とした場合の社会保険加入条件はどうなるか
妻の会社への関与が年に数回の会議参加だけで、役員報酬も実費弁償程度である場合などは、社会保険の被保険者にならない可能性があります。しかし、役員の社会保険加入は個別の勤務実態をもとに判断されるため、自己判断で処理しないことが重要です。
なお、妻を従業員として雇用する場合は、短時間労働者の社会保険加入要件も確認します。2026年7月時点では、一定規模以上の企業で週20時間以上、月額賃金8万8,000円以上などの要件を満たす短時間労働者が加入対象となりますが、賃金要件や企業規模要件は今後段階的に見直される予定です。
世帯の手取りを増やしたい場合の役員報酬
妻(配偶者)の役員報酬で世帯の手取りを増やしたい場合は、扶養内に収めることだけを目標にしない方がよいことがあります。
妻の役員報酬が増えれば、社会保険料や税金も増えますが、妻が受け取る手取り自体は増加します。また、夫の高い所得税率が適用される役員報酬を妻へ移すことにより、夫婦全体の所得税・住民税が減る場合があります。
IDEMAE編集部
重要なのは、「妻の税金をゼロにすること」ではなく、「会社と夫婦に最終的に残る金額を増やすこと」です。
たとえば、次の3パターンを比較します。
- 夫に役員報酬を集中させ、妻は無報酬にする
- 夫の役員報酬を減らし、妻へ扶養を意識した役員報酬を支払う
- 夫婦とも社会保険に加入し、妻へ職務に見合った役員報酬を支払う
比較する際は、夫婦の所得税・住民税だけでなく、会社の法人税、会社負担の社会保険料、妻本人の社会保険料まで反映します。
妻の役員報酬が月額10万円の場合と月額20万円の場合を比較すると、月額10万円の方が社会保険料を含む負担が少なく見えることがあります。しかし、妻がどちらの金額でも社会保険加入対象になるのであれば、低い役員報酬にしたことで、保険料負担に対して手取りが十分に増えないこともあります。
反対に、妻が会社の経営に大きく貢献しているにもかかわらず、扶養だけを意識して不自然に低い役員報酬を設定すると、妻の職務と報酬が対応しなくなります。
妻(配偶者)の役員報酬はいくらが得かを判断するには、少なくとも3~5パターン程度の報酬配分をシミュレーションするのが有効です。
常勤役員として経営に参加する場合の役員報酬
妻が常勤役員として会社経営に参加する場合は、扶養内の金額に抑えることよりも、妻の職務と責任に見合った役員報酬を設定することが重要です。
常勤役員である妻が経理・財務部門を統括し、資金繰り、銀行対応、予算管理、給与決定、決算対応などを担当するのであれば、一般的な補助事務の給与より高い役員報酬に合理性があります。
ただし、「妻の役員報酬は社長の6割から8割が相場」と一律に判断することはできません。
夫が営業、商品開発、資金調達、人事、経営戦略のすべてを担い、妻は経理部門のみを担当する場合、夫と妻の役員報酬が同程度であることを説明しにくいことがあります。一方、妻が夫と同程度の権限と責任を持ち、会社全体を共同で経営しているのであれば、夫婦の役員報酬が近い金額でも不自然とは限りません。
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役員報酬で節税するには?税金対策になる決め方・損しない金額・注意点を解説
この記事では、役員報酬で節税する仕組み、役員報酬が税金対策になる理由、役員報酬の損しない決め方、役員報酬を損金算入するためのルール、役員報酬以外も含めた具体的な節税方法、税務調査で否認されやすい注意点について詳しく解説します。
常勤役員として妻の役員報酬を決める際は、夫の役員報酬に対する割合ではなく、次の順番で考えましょう。
妻の担当職務を明確にする
→ 妻の決裁権と責任範囲を確認する
→ 同業他社や従業員給与と比較する
→ 会社利益と資金繰りを確認する
→ 税金・社会保険料をシミュレーションする
高すぎる役員報酬は損金算入を否認される可能性がある
妻(配偶者)の役員報酬が定期同額給与の要件を満たしていても、不相当に高額な部分は会社の損金に算入できません。
国税庁は、定期同額給与などに該当する役員給与であっても、不相当に高額な部分は損金不算入になるとしています。妻の役員報酬が不相当に高額かを判断する際は、妻の職務内容、会社の収益、従業員給与、同業・同規模法人の役員報酬などが考慮されます。
IDEMAE編集部
たとえば、妻が月に数回だけ書類確認を行っているにもかかわらず、月額100万円の役員報酬を支払っている場合は、その妥当性を説明するのが難しくなります。
税務調査で妻の役員報酬が否認されると、会社側では法人税等の追加負担が生じる可能性があります。さらに、過少申告加算税や延滞税が発生することもあります。
妻の役員報酬を決める際は、金額を決めた根拠を文書に残しておきましょう。職務分掌表、同業他社の報酬資料、従業員との給与比較、妻の担当業務、会社の利益計画などをまとめておくと、役員報酬の妥当性を説明しやすくなります。
妻は役員と従業員のどちらがよい?違いを比較

妻(配偶者)に会社の業務を手伝ってもらう場合、必ず役員にしなければならないわけではありません。妻の仕事内容によっては、従業員として雇用する方が適切です。
妻を役員にするか従業員にするかは、節税効果だけでなく、実際の指揮命令関係や経営への関与度を基準に判断します。
妻を役員にする場合と従業員にする場合の比較表
| 比較項目 | 妻を役員にする場合 | 妻を従業員にする場合 |
|---|---|---|
| 主な立場 | 会社経営を担う | 会社の指揮命令を受けて働く |
| 受け取るお金 | 役員報酬 | 給与 |
| 金額変更 | 原則として期中変更に制限がある | 業務や人事制度に応じて変更しやすい |
| 賞与 | 原則として事前確定届出給与などの要件が必要 | 就業規則等に基づき支給しやすい |
| 登記 | 取締役等は登記が必要 | 登記不要 |
| 雇用保険 | 原則として対象外 | 要件を満たせば対象 |
| 労働法の保護 | 原則として労働者ではない | 原則として労働者として保護される |
| 主な税務リスク | 定期同額給与、過大役員給与 | 架空人件費、不相当に高い給与 |
| 向いている業務 | 経営判断、決裁、管理・監督 | 経理入力、事務、電話対応、現場作業 |
妻の業務に経営判断が含まれるなら役員、夫や上司の指示に従って作業を行うなら従業員という整理が基本です。
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経営判断に参加するなら役員が適している
妻(配偶者)が会社の予算、採用、契約、設備投資、借入、事業計画などの意思決定に参加する場合は、役員としての実態に近くなります。
たとえば妻が経理を担当していても、会計ソフトへ入力するだけなら従業員的な業務です。一方、月次決算を分析し、経費削減、資金調達、役員報酬、設備投資の判断まで行うのであれば、役員としての役割を持っていると考えやすくなります。
妻を役員にする場合は、妻が何を決定できるかを明確にしましょう。
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「経理担当役員」とするのであれば、次のような権限を具体化できます。
- 一定金額までの経費支出を承認する
- 資金繰り計画を作成・決定する
- 金融機関との面談に参加する
- 税理士と決算方針を協議する
- 経理担当者を管理・監督する
- 予算と実績の差異を分析し改善を指示する
こうした役割があれば、妻へ役員報酬を支払う理由を説明しやすくなります。
経理や事務を担当するなら従業員が適している場合もある
妻が夫や経理責任者の指示を受けて、決められた手順どおりに作業している場合は、従業員として雇用する方が自然です。
従業員であれば、勤務時間や担当業務に応じて給与を設定し、業務量が増減した場合には給与を見直しやすくなります。会社の業績や本人の評価に応じて賞与を支給することも、役員より柔軟です。
妻が従業員であれば、一定の要件を満たすことで雇用保険へ加入できます。一方、法人の取締役、監査役などは原則として雇用保険の被保険者にはなりません。従業員としての身分も併せ持ち、労働者としての性格が強い使用人兼務役員については、例外的に雇用保険へ加入できる場合があります。
ここがポイント!
妻を役員にすると節税できそうだからという理由だけで役員を選ぶのではなく、妻の実際の働き方に合った立場を選びましょう。
登記していなくてもみなし役員になるケースがある
妻を登記上の役員にせず、従業員として給与や賞与を支給すれば、役員報酬の制限を回避できるとは限りません。
登記上は従業員であっても、実際には会社の経営に従事し、同族会社における持株関係など一定の要件を満たす場合は、税務上のみなし役員になる可能性があります。
IDEMAE編集部
みなし役員に該当すると、妻へ支払う給与は役員給与として扱われます。その結果、毎月の給与を自由に変更したり、届出をせずに賞与を支給したりした場合、会社の損金に算入できない可能性があります。
判断では、妻の肩書きだけでなく、次のような実態が確認されます。
- 経営方針の決定に参加しているか
- 従業員の採用・解雇・給与決定に関与しているか
- 資金調達や重要な支出を決定しているか
- 重要な契約の承認権限があるか
- 会社の株式を保有する夫との関係はどうか
- 他の役員と同様の権限を持っているか
「妻を社員扱いにしておけば問題ない」と形式だけで判断しないようにしましょう。
使用人兼務役員にできるケースとできないケース
使用人兼務役員とは、役員でありながら、部長や課長など従業員としての職制上の地位も持ち、常時従業員としての職務に従事する人をいいます。
使用人兼務役員については、役員としての職務に対する役員報酬と、従業員としての職務に対する給与を分けて取り扱うことがあります。
IDEMAE編集部
ただし、同族会社で夫が株式の大半を保有している場合、妻を使用人兼務役員にできない可能性があります。
国税庁の事例では、代表取締役である夫が会社の株式を50%超保有し、その妻が取締役経理部長である場合、妻自身が株式を持っていなくても、夫婦の所有割合などから妻は使用人兼務役員になれないとされています。
そのため、家族経営の会社で「妻を取締役経理部長にして、役員報酬とは別に従業員賞与を支給する」という方法が必ず認められるわけではありません。
代表取締役、副社長、専務、常務、一定の同族会社役員なども、原則として使用人兼務役員にはなれません。妻を役員と従業員の両方として扱う場合は、持株関係、職制、業務内容を個別に確認する必要があります。
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妻を役員にする手続きと税務調査対策

妻(配偶者)を役員にして役員報酬を支払う場合は、妻の名前を登記するだけでは不十分です。
会社法上の役員選任・変更登記に加えて、役員報酬の決議、社会保険、源泉徴収、給与計算、年末調整などの手続きが発生します。妻の勤務実態や役員報酬の妥当性を証明できる資料も保存しておかなければなりません。
妻を役員に選任して変更登記を行う
株式会社で妻を取締役にする場合は、原則として株主総会で妻を取締役に選任します。妻本人の就任承諾を得たうえで、法務局へ役員変更登記を申請します。
株式会社の役員変更登記は、原則として登記の事由が発生してから本店所在地で2週間以内に行う必要があります。期限内に登記を行わなかった場合は、過料の対象になる可能性があります。
必要書類は会社の機関設計や選任方法によって異なりますが、一般的には次のような書類を準備します。
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 本人確認証明書
- 委任状
妻(配偶者)を役員にする際の役員報酬に関するおすすめ記事
妻を合同会社の業務執行社員や代表社員にする場合は、株式会社とは手続きや役員の考え方が異なります。会社形態に合った手続きを確認しましょう。
役員報酬を決議して議事録を作成する
妻を役員に選任した後は、妻へ支払う役員報酬を正式に決定します。
会社法上、取締役の報酬は、定款に定めがない場合、株主総会の決議によって決めるのが原則です。株主総会で役員全体の報酬総額を決め、個別の配分を取締役会や代表取締役に一任するケースもあります。
中小企業では、妻の役員報酬月額を明記した株主総会議事録を作成しておくと、決定内容を説明しやすくなります。
議事録には、単に「妻の役員報酬を月額30万円とする」と記録するだけでなく、必要に応じて次の内容も残しておくとよいでしょう。
- 妻の役職
- 妻の担当業務
- 妻の役員報酬月額
- 支給開始日
- 支給日
- 役員報酬を決めた理由
- 他の役員との報酬バランス
- 会社の利益・資金繰りとの関係
妻の役員報酬を定期同額給与として損金に算入する場合、毎月決められた日に同じ金額を支給します。
気をつけておきたい注意点
源泉徴収・社会保険などの手続きを行う
妻へ支払う役員報酬は、所得税上の給与として扱われます。会社は、妻の役員報酬から所得税や復興特別所得税を源泉徴収し、原則として期限までに納付します。
2026年分の役員報酬については、2026年分の源泉徴収税額表を使用します。2025年度の税制改正により基礎控除や給与所得控除が見直されているため、古い源泉徴収税額表を使わないよう注意が必要です。
妻が社会保険の加入対象になる場合は、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届なども提出します。
妻がすでに別の会社で社会保険に加入しており、自社でも加入要件を満たす場合は、二以上事業所勤務の手続きが必要になる可能性があります。複数の事業所で受け取る報酬を合算して標準報酬月額が決まり、それぞれの会社が報酬額に応じて社会保険料を負担します。
そのほか、会社では次の実務が継続的に発生します。
- 毎月の給与計算
- 源泉所得税の納付
- 社会保険料の控除・納付
- 住民税の特別徴収
- 年末調整
- 給与支払報告書の提出
- 源泉徴収票の交付
- 法定調書合計表の作成
妻を役員にする際は、登記だけでなく、就任後の税務・労務・経理事務まで考えておくことが重要です。
妻の勤務実態を証明できる資料を保存する
税務調査では、妻(配偶者)が実際に役員として働いているか、妻の役員報酬が職務に見合っているかを確認される可能性があります。
妻が会社へ毎日出勤していれば、それだけで役員報酬が認められるわけではありません。反対に、在宅勤務が多いことだけで勤務実態がないと判断されるわけでもありません。
IDEMAE編集部
重要なのは、妻が会社のためにどのような判断や業務を行ったかを説明できることです。
妻の勤務実態を示す資料として、次のようなものが考えられます。
- 株主総会・取締役会・経営会議の議事録
- 妻の職務分掌表
- 予算書や資金繰り表
- 妻が作成した経営資料
- 銀行や税理士との打ち合わせ記録
- 稟議書や決裁記録
- 妻が送受信した業務メールやチャット
- 取引先との契約交渉記録
- 採用面接や人事評価の記録
- 妻名義の口座への役員報酬振込記録
- 出勤簿や業務日報
- 妻が管理する業務アカウントの利用履歴
業務日報だけを後からまとめて作るのではなく、日常の経営活動から自然に残る資料を保存することが重要です。
たとえば、妻が資金繰り担当役員であれば、妻が更新した資金繰り表、借入条件の比較表、銀行とのメール、支払い承認記録などが有効です。
妻が採用担当役員であれば、採用計画、求人条件の決定資料、面接記録、採否判断、給与案などを残しておきます。
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税務調査では役員報酬の適正額も確認される
税務調査では、妻が働いているかだけでなく、妻の役員報酬が高すぎないかも確認されます。
妻の役員報酬が適正であることを説明するためには、次のような資料が有効です。
- 妻の役員報酬を決めた計算過程
- 妻の職務と責任の一覧
- 夫や他の役員との職務比較
- 同業他社の役員報酬データ
- 自社の従業員給与との比較
- 妻が担当する部門の売上や利益
- 妻の勤務頻度や決裁権限
- 会社の利益・資金繰り計画
- 過去の役員報酬の推移
IDEMAE編集部
妻(配偶者)を役員にする際の役員報酬について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
「妻だから月額30万円にした」「扶養を外れない金額にした」という説明だけでは、職務の対価としての根拠になりません。
妻(配偶者)の役員報酬はいくらが得かを検討する際は、税金のシミュレーションと同時に、税務調査で説明できる金額かを確認しましょう。
税理士・社労士・司法書士に依頼する業務を整理する
妻(配偶者)を役員にする手続きには、税務、社会保険、登記が関係します。そのため、一人の専門家だけですべての手続きに対応できるとは限りません。
主な専門家の役割は次のとおりです。
税理士は、夫婦の役員報酬シミュレーション、法人税・所得税・住民税の試算、定期同額給与の確認、源泉所得税、税務調査対策などを担当します。
社会保険労務士は、妻の社会保険加入の要否、被扶養者の扱い、資格取得届、標準報酬月額、二以上事業所勤務、雇用保険などを確認します。
司法書士は、妻を取締役に選任した場合の役員変更登記などを担当します。
IDEMAE編集部
ただし、妻の役員報酬を決めた後も、給与計算、源泉徴収、社会保険料、住民税、年末調整、会計処理などの実務は継続します。
専門家へ相談する際は、顧問料の安さだけでなく、次の点を比較するとよいでしょう。
- 役員報酬の税額シミュレーションに対応できるか
- 社会保険料まで含めて比較できるか
- 税理士と社労士が連携しているか
- 給与計算や経理にも対応できるか
- 妻の勤務実態を示す資料の整備を支援できるか
- 税務調査まで見据えた助言が受けられるか
- 税務・労務・経理を一つの窓口で相談できるか
妻(配偶者)の役員報酬は、税金だけを見て決めると、社会保険料や手続きで想定外の負担が発生する可能性があります。税務・労務・経理をまとめて確認できる体制を整えることが重要です。
まとめ|妻を役員にする前に税金と社会保険を比較しよう

妻(配偶者)が会社の経営に継続的に参加している場合は、妻を役員にして役員報酬を支払うことが選択肢になります。妻へ役員報酬を支払えば、夫に集中していた所得を夫婦に分散できるため、所得税や住民税を抑えられる可能性があります。
IDEMAE編集部
ただし、妻(配偶者)を役員にすれば、必ず世帯全体の手取りが増えるわけではありません。妻本人の所得税・住民税、健康保険料、厚生年金保険料に加えて、会社負担の社会保険料も増える可能性があります。
妻の役員報酬はいくらが得かを判断する際は、123万円や130万円といった基準だけで決めないことが重要です。123万円は所得税の配偶者控除に関する給与収入の目安、130万円は健康保険の被扶養者認定に関する一般的な目安であり、それぞれ別の制度です。妻が役員として自社の社会保険加入対象になる場合は、役員報酬が130万円未満でも夫の扶養から外れる可能性があります。
また、妻の役員報酬を会社の損金に算入するには、原則として定期同額給与などの要件を満たす必要があります。妻の役員報酬が実際の職務に比べて高すぎる場合や、妻の勤務実態を説明できない場合は、税務調査で損金算入を否認される可能性もあります。
妻を役員にするか、従業員として雇用するかは、妻の仕事内容から判断しましょう。資金繰り、契約、採用、投資などの経営判断に参加するなら役員が適しています。
IDEMAE編集部
一方、夫や上司の指示を受けて経理入力や事務作業を行う場合は、従業員の方が実態に合っていることがあります。
妻(配偶者)の役員報酬を決める際は、夫婦の税金だけでなく、法人税、社会保険料、会社の資金繰りを含め、複数の役員報酬パターンを比較することが大切です。役員報酬のシミュレーションから社会保険、給与計算、経理処理まで一体的に確認することで、妻を役員にした後の想定外の負担を防ぎやすくなります。
顧問先を選ぶ場合も、顧問料の安さだけで判断せず、税務・労務・経理を一つの窓口で対応できるか、妻の役員報酬を会社と世帯の両方からシミュレーションできるかを比較しましょう。
妻(配偶者)を役員にする際の役員報酬に関するおすすめ記事:妻(配偶者)を代表や役員にするのは可能?メリット・デメリット
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