労務 役員報酬

ひとり社長の給料はどう決める?ポイントと注意点を解説!

更新日:2026.06.02

ひとり社長として会社を経営している方の中には、「ひとり社長の給料はいくらにすればいいのか」「ひとり社長の給料を高くすると節税になるのか」「ひとり社長の給料は経費にできるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

ひとり社長の給料は、一般的な会社員の給与とは異なり「役員報酬」として扱われます。そのため、ひとり社長の給料を自由に変更することはできず、税務上のルールに沿って設定しなければなりません。また、ひとり社長の給料の金額によって、法人税や所得税、住民税、社会保険料の負担額が大きく変わるため、適切な給料設定は会社経営において非常に重要なポイントです。

しかし、ひとり社長の給料は高すぎても低すぎても問題が生じる可能性があります。ひとり社長の給料を高くしすぎると社会保険料や所得税の負担が増え、反対にひとり社長の給料を低くしすぎると法人税負担が重くなったり、生活費の確保が難しくなったりすることもあります。

そこで本記事では、ひとり社長の給料の仕組みや役員報酬の決め方、ひとり社長の給料を経費にするための条件、ひとり社長の給料の最適な考え方について詳しく解説します。

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ひとり社長の給料とは?

ひとり社長の給料を決める際は、まず「ひとり社長の給料」がどのような性質を持つのかを理解しておくことが大切です。ひとり社長は個人事業主と混同されることがありますが、法律上の立場や給料の考え方は大きく異なります。

個人事業主には法人格がありませんが、ひとり社長は法人の代表者として会社を経営する立場です。そのため、ひとり社長の給料は個人事業主のように事業資金を自由に引き出す形ではなく、会社から正式な報酬として受け取る必要があります。ひとり社長の給料を適切に設定することは、節税対策や資金繰り、社会保険料の負担にも大きく関わる重要な経営判断の一つです。

ひとり社長の給料は「役員報酬」

ひとり社長の給料として支払われるお金は、税務上および会社法上では「役員報酬」と呼ばれます。

役員報酬とは、社長や取締役など会社の役員に支払われる報酬のことです。会社法では、役員は株主から経営を任されている立場とされており、会社との関係は従業員のような雇用契約ではなく委任契約に基づいています。そのため、ひとり社長の給料は一般的な従業員の給与とは異なり、役員報酬として支給されます。

また、ひとり社長の給料である役員報酬は、原則として株主総会の決議によって決定されます。ひとり社長の場合は自分自身が株主であるケースも多いものの、会社法上の手続きを踏みながら給料を設定する必要があります。

さらに、ひとり社長の給料は毎月一定額で支払うことが原則です。自由に金額を変更できるわけではなく、税務上のルールを踏まえて適切な金額を決定することが求められます。そのため、ひとり社長の給料を決める際は、会社の利益だけでなく、法人税や所得税、住民税、社会保険料なども考慮しながら設計することが重要です。

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一般的な給与とひとり社長の給料(役員報酬)の違い

ひとり社長の給料である役員報酬と、従業員に支払われる給与は、どちらも仕事の対価として支払われる点は共通しています。しかし、税務上の取り扱いや支給ルールには大きな違いがあります。

特にひとり社長の給料は、会社の経費として認められるための条件が定められており、従業員給与よりも厳格なルールのもとで運用されています。

主な違いは以下のとおりです。

項目従業員の給与ひとり社長の給料(役員報酬)
支給対象従業員社長・取締役などの役員
契約形態雇用契約委任契約
金額変更毎月変動可能原則として年度途中の変更不可
決定方法会社が決定株主総会等で決定
雇用保険加入対象原則対象外
社会保険加入対象加入対象
損金算入原則可能一定要件を満たす必要あり

従業員の給与は残業代や評価によって毎月変動しても問題ありませんが、ひとり社長の給料である役員報酬は、原則として毎月同額で支給する必要があります。

IDEMAE編集部

また、従業員給与は基本的に全額を経費として計上できますが、ひとり社長の給料は無条件で経費になるわけではありません。役員報酬として適切な手続きを行い、税法上の要件を満たした場合のみ損金算入が認められます。

そのため、ひとり社長の給料を決める際は、「利益が出たから給料を増やす」「資金が足りないから給料を下げる」といった判断を安易に行うのではなく、事前に計画的に設計することが重要です。

ひとり社長のメリット

ひとり社長として会社を経営する場合、法人化(法人成り)によってさまざまなメリットを得られます。特に、ひとり社長の給料を活用した節税対策や社会的信用の向上は、多くの経営者が法人化を選ぶ大きな理由です。

また、ひとり社長の給料を経費として活用できるようになることに加え、経費計上の範囲が広がることや、事業リスクを限定できることも法人化の大きな魅力といえるでしょう。

ひとり社長のメリット①:税負担を軽減できる可能性がある

ひとり社長が法人化する最大のメリットの一つが、ひとり社長の給料を活用した節税効果です。

個人事業主に課される所得税は累進課税制度が採用されており、所得が増えるほど税率も高くなります。所得税率は最大45%まで上昇するため、事業が順調に成長すると税負担も大きくなります。

一方、法人化したひとり社長の場合は、法人の利益に対して法人税が課されます。資本金1億円以下の中小法人であれば、所得800万円以下の部分について15%の軽減税率が適用されるため、一定以上の利益が出ている場合は法人化した方が税負担を抑えられるケースがあります。

さらに、法人化するとひとり社長の給料を役員報酬として支払えるようになります。ひとり社長の給料は会社側では経費として計上でき、個人側では給与所得として扱われます。その結果、給与所得控除を利用できるため、事業利益をそのまま個人所得として受け取る場合と比べて税負担を軽減できる可能性があります。

ひとり社長の給料設定はここがポイント!

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特に利益が増えてきた段階では、ひとり社長の給料をいくらに設定するかによって法人税と所得税のバランスが大きく変わるため、給料設計が重要になります。

ひとり社長のメリット②:社会的信用が向上しやすくなる

法人化したひとり社長は、個人事業主よりも社会的信用を得やすくなる傾向があります。

法人として事業を運営し、ひとり社長の給料を役員報酬として適切に支給している会社は、事業の継続性や透明性が高いと判断されやすいためです。

特に以下のような場面では、法人であることが有利に働くことがあります。

  • 大企業との取引を行う場合
  • 法人口座を利用する場合
  • 金融機関から融資を受ける場合
  • オフィスや店舗を契約する場合
  • 人材採用を行う場合

また、「株式会社」や「合同会社」として登記されていることで、顧客や取引先からの信頼感が高まるケースも少なくありません。

ひとり社長の給料を安定して支払える経営体制を構築することで、より大きな取引機会につながる可能性があります。

ひとり社長の給料の決め方に関するおすすめ記事:一人社長の給与(役員報酬)はいくらが正解?決め方と注意点を徹底解説

ひとり社長のメリット③:経費として認められる範囲が広がる

法人化すると、ひとり社長の給料だけでなく、さまざまな支出を経費として活用できるようになります。

個人事業主と比較すると、法人の方が税務上認められる制度が多く、結果として節税しやすい環境を整えられます。

代表的なものとしては以下が挙げられます。

  • ひとり社長の給料(役員報酬)
  • 役員退職金
  • 法人契約の生命保険料
  • 社宅制度による家賃の一部負担
  • 出張旅費規程による日当

なかでも、ひとり社長の給料を役員報酬として経費計上できる点は非常に大きなメリットです。

個人事業主の場合、自分自身への給料という概念はありません。しかし法人化したひとり社長は、自分に給料を支払うことで会社の利益を圧縮しながら、給与所得控除も活用できます。

IDEMAE編集部

ひとり社長の給料の決め方についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:合同会社の一人社長が給料(役員報酬)を設定する際のルールと決め方

ひとり社長のメリット④:責任の範囲を限定できる

法人化したひとり社長は、有限責任という仕組みによって事業リスクを限定できます。

株式会社や合同会社では、会社が負う債務について、原則として出資額の範囲内で責任を負うことになります。そのため、万が一事業がうまくいかなかった場合でも、ひとり社長個人がすべての借金を背負うわけではありません。

もちろん、金融機関からの融資で連帯保証人になっている場合などは例外もあります。しかし、個人事業主の無限責任と比較すると、ひとり社長が給料を受け取りながら事業に挑戦しやすい環境を整えられる点は大きなメリットといえるでしょう。

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ひとり社長のメリット⑤:事業承継もしやすくなる

法人化したひとり社長は、将来的な事業承継をスムーズに進めやすくなります。

個人事業主の場合は、事業用資産や契約を一つひとつ引き継ぐ必要がありますが、法人であれば株式を譲渡することで経営権を移転できます。

将来的に家族へ事業を引き継ぎたい場合や、第三者への売却(M&A)を視野に入れている場合も、法人化しておく方が手続きはシンプルです。

また、ひとり社長の給料や役員報酬の履歴が整備されている会社は、経営状況が把握しやすいため、承継先や買い手からの評価も受けやすくなります。

このように、法人化は単にひとり社長の給料を経費にできるだけではありません。ひとり社長の給料を活用した節税、社会的信用の向上、経費の拡大、リスク管理、事業承継など、多くのメリットがあり、事業を長期的に成長させるための有力な選択肢といえるでしょう。

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ひとり社長のデメリット

ひとり社長が法人化すると、ひとり社長の給料を活用した節税や信用力向上など多くのメリットがあります。一方で、ひとり社長の給料の設定方法が複雑になったり、社会保険料の負担が増えたりするなどのデメリットも存在します。

特に、ひとり社長の給料と社会保険料の関係は法人化後の資金繰りに大きく影響するため、メリットだけでなくデメリットも十分に理解したうえで判断することが重要です。

ひとり社長のデメリット①:会社設立費用と手間がかかる

ひとり社長として法人化する場合、まず会社設立のための費用と手間が発生します。

個人事業主であれば開業届を提出するだけで事業を始められますが、ひとり社長として会社を設立する場合は、定款作成や法人登記などの手続きが必要になります。そのため、ひとり社長の給料を役員報酬として受け取れるようになる一方で、設立時のコスト負担は避けられません。

会社形態によって設立費用は異なります。

費用項目株式会社合同会社
定款用収入印紙代(電子定款)0円0円
定款認証手数料約3万~5万円不要
登録免許税最低15万円最低6万円
合計目安約20万円~約6万円~

法人化によってひとり社長の給料を経費計上できるようになりますが、事業規模が小さい段階では設立費用を回収するまでに時間がかかる場合もあります。

そのため、ひとり社長の給料による節税効果と設立コストのバランスを事前にシミュレーションしておくことが大切です。

ひとり社長のデメリット②:ひとり社長の給料に応じて社会保険料の負担が増える

ひとり社長が法人化する際に特に注意したいのが、社会保険への加入義務です。

個人事業主の場合は国民健康保険と国民年金へ加入しますが、ひとり社長として法人を設立すると、社長一人の会社であっても健康保険と厚生年金への加入が義務になります。

さらに、ひとり社長の給料である役員報酬を受け取る場合、その給料額に応じて社会保険料が決まります。

つまり、ひとり社長の給料を高く設定すれば所得税や住民税だけでなく、社会保険料も増加することになります。

例えば、ひとり社長の給料を月20万円にする場合と月50万円にする場合では、社会保険料の負担額にも大きな差が生じます。また、社会保険料は会社と個人で折半するため、実質的には会社と社長の双方が負担することになります。

ひとり社長の給料を増やせば生活資金は確保しやすくなりますが、その分だけ社会保険料も上昇するため、給料設定には慎重な検討が必要です。

ひとり社長のデメリット③:赤字なら法人住民税が発生する

ひとり社長が法人化した場合、たとえ利益が出ていなくても税金の支払い義務が発生します。個人事業主であれば赤字の年は所得税が発生しません。

IDEMAE編集部

しかし法人の場合は、利益がゼロでも法人住民税の均等割を支払わなければなりません。法人住民税の均等割は自治体によって異なりますが、多くの場合は年間約7万円程度が最低負担額となります。

つまり、ひとり社長の給料を抑えていても、会社が赤字であっても、法人である以上は一定の税負担が発生するということです。

特に創業初期で売上が安定していない場合は、ひとり社長の給料だけでなく、こうした固定費も考慮したうえで法人化を検討する必要があります。

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ひとり社長のデメリット④:経理・事務作業が複雑になる

法人化すると、ひとり社長の給料管理や税務処理などの事務負担が大幅に増加します。個人事業主でも確定申告は必要ですが、法人になると決算書の作成や法人税申告、源泉所得税の管理、社会保険手続きなど、対応すべき業務が増えます。

また、ひとり社長の給料である役員報酬を設定した場合は、給与計算や源泉徴収、年末調整などの手続きも必要になります。

さらに、ひとり社長の給料を変更する際には株主総会議事録の作成や税務上のルールへの対応も求められます。そのため、法人化後は税理士と顧問契約を結ぶケースが一般的です。

税理士費用は経費になりますが、毎月の顧問料や決算申告料が発生するため、そのコストも考慮しなければなりません。

ひとり社長の給料の決め方に関するおすすめ記事:1人社長が儲かると言われる理由は?役員報酬を決めるときの注意点と1人社長が抱える悩み・リスク

ひとり社長の給料を経費にする方法

ひとり社長の給料は、法人の経費として計上できる大きなメリットがあります。しかし、ひとり社長の給料を無条件で経費にできるわけではありません。法人税法では、ひとり社長の給料である役員報酬について厳格なルールが設けられており、その要件を満たした場合にのみ損金算入が認められます。

ひとり社長の給料を適切に経費化できれば、法人税の負担を抑えながら効率的な節税が可能になります。ここでは、ひとり社長の給料を経費にするために押さえておきたい重要な条件を解説します。

ひとり社長の給料を経費にする方法①:役員報酬は原則1年間変更しない

ひとり社長の給料を経費として認めてもらうためには、役員報酬を原則として1年間変更しないことが重要です。

ひとり社長の給料である役員報酬は、事業年度開始から3か月以内に決定し、その内容を株主総会議事録などに記録します。一度決定したひとり社長の給料は、原則として事業年度の途中で自由に変更できません。

このルールは、ひとり社長の給料を利用した利益操作を防ぐために設けられています。

IDEMAE編集部

ひとり社長の給料の決め方について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:1人社長の役員報酬完全ガイド|会社設立時の適正額の決め方から手続きまで

例えば、決算前に想定以上の利益が出た場合に、「税金を減らしたいから今月だけひとり社長の給料を増やす」といった対応は認められていません。もし自由に給料を変更できれば、法人税を意図的に調整できてしまうためです。

また、ひとり社長の給料を変更する際には株主総会の決議が必要となるため、簡単に増額や減額を行うことはできません。

そのため、ひとり社長の給料を決定する際は、現在の利益だけでなく、今後1年間の売上予測や資金繰りも踏まえて慎重に判断することが重要です。

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ひとり社長の給料を経費にする方法②:定期同額給与として支払う

ひとり社長の給料を経費として認めてもらうための代表的な条件が、「定期同額給与」であることです。

定期同額給与とは、毎月同じ時期に同じ金額を支払う給与形態を指します。つまり、ひとり社長の給料を月30万円と決めた場合は、原則として1年間にわたり毎月30万円を支給し続ける必要があります。

一般的な従業員の給与であれば、残業代や休日出勤手当などによって毎月の支給額が変動することがあります。しかし、ひとり社長の給料である役員報酬にはそのような仕組みはありません。

たとえひとり社長が休日返上で働いたとしても給料が増えることはなく、逆に病気やケガで働けなかった場合でも原則として給料は変わりません。

ただし、一定の条件を満たした場合には、ひとり社長の給料を変更できるケースもあります。

例えば以下のようなケースです。

  • 社長の役職や職務内容が大きく変わった場合
  • 業績悪化により経営状況が著しく悪化した場合

このような場合には「臨時改定事由」に該当し、ひとり社長の給料の減額や変更が認められることがあります。

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ひとり社長の給料を経費にする方法③:事前確定届出給与のルールを守る

ひとり社長の給料を経費化する方法として、「事前確定届出給与」を活用するケースもあります。

事前確定届出給与とは、あらかじめ支給時期や支給額を税務署へ届け出たうえで支払う役員報酬のことです。毎月のひとり社長の給料とは別に、役員賞与などを支給する際に利用される制度です。

事前確定届出給与を活用することで、一定の条件のもとで役員賞与も経費として計上できる可能性があります。

ただし、この制度は非常に厳格なルールが設けられています。例えば、届け出た支給日や支給額と実際の支給内容が少しでも異なる場合、その年度の事前確定届出給与については損金算入が認められない可能性があります。

そのため、ひとり社長の給料に加えて賞与を活用したい場合は、税理士と相談しながら慎重に手続きを進めることが重要です。

ひとり社長の給料を経費にする方法④:役員退職金やストックオプションを活用する

ひとり社長の給料を経費化する方法は、毎月の役員報酬だけではありません。将来的な節税を考える場合、役員退職金やストックオプションなども活用できます。

役員退職金は、ひとり社長が退任する際に会社から支払われる報酬です。一定の範囲内であれば法人の経費として計上できるだけでなく、個人側でも退職所得控除が適用されるため、高い節税効果が期待できます。

また、自社株を活用したストックオプション制度を導入することで、現金以外の形で報酬を支給することも可能です。

ひとり社長の給料設定はここがポイント!

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ひとり社長の給料を毎月高額に設定すると、所得税や住民税、社会保険料の負担が増える場合があります。そのため、ひとり社長の給料だけで資産形成を行うのではなく、役員退職金やストックオプションなども含めて総合的に報酬設計を行うことが大切です。

ひとり社長の給料の決め方

ひとり社長の給料をいくらに設定すべきか悩む方は少なくありません。ひとり社長の給料は高すぎても低すぎても問題が生じるため、会社の利益や生活費、税金、社会保険料などを総合的に考慮しながら決めることが重要です。

また、ひとり社長の給料は一度決めると原則として1年間変更できないため、感覚で決めるのではなく、根拠を持って設計する必要があります。ここでは、ひとり社長の給料の決め方として代表的な方法を紹介します。

ひとり社長の給料の決め方①:会社の収益予測を基に決める

ひとり社長の給料を決める際に最も重要なのが、会社の収益予測を基準にする方法です。

ひとり社長の給料は会社から毎月支払われる固定費となるため、会社が無理なく支払い続けられる金額で設定しなければなりません。そのため、まずは前年度の売上や利益、経費の状況を確認し、翌年度にどの程度の利益が見込めるのかを予測します。

具体的には、過去の売上実績や契約状況、市場環境などを踏まえて売上予測を立て、そのうえで家賃や人件費、広告費などの必要経費を差し引きます。その結果、会社にどれくらいの利益が残るのかを把握し、その範囲内でひとり社長の給料を設定するのが基本です。

IDEMAE編集部

ひとり社長の給料の決め方について、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

おすすめ記事:合同会社の一人社長は給料をどう決める?役員報酬の基礎と節税対策を解説

また、ひとり社長の給料は法人税や社会保険料とも密接に関係しています。ひとり社長の給料を高く設定すると法人税は減る一方で、所得税や住民税、社会保険料が増える可能性があります。

反対に、ひとり社長の給料を低くしすぎると会社に利益が残りすぎて法人税負担が大きくなる場合もあります。そのため、ひとり社長の給料は「利益が出ているから増やす」「利益が少ないから減らす」と単純に考えるのではなく、税金と社会保険料を含めて総合的に判断することが大切です。

ひとり社長の給料の決め方②:同業他社の水準を参考にする

ひとり社長の給料の適正額がわからない場合は、同業他社の役員報酬水準を参考にする方法もあります。

特に法人設立直後のひとり社長の場合、「自分の給料を月20万円にすべきか、30万円にすべきか、それとも50万円にすべきか」と判断に迷うことも少なくありません。

そのようなときは、同業種・同規模の会社の経営者がどの程度の給料を受け取っているのかを調べてみると参考になります。

ひとり社長の給料の決め方に関するおすすめ記事:ひとり社長の給料はどう決めたらいい?決め方と注意点を解説!

例えば以下のような情報を確認するとよいでしょう。

  • 業界団体が公表している役員報酬データ
  • 中小企業の経営者向け調査レポート
  • 税理士や金融機関が保有する統計データ
  • 経営者コミュニティで得られる情報

ただし、ひとり社長の給料は会社ごとの利益水準や資金繰りによって大きく異なります。

同じ業種であっても売上規模や地域、事業モデルによって適正な給料は変わるため、他社の数字をそのまま真似するのは避けましょう。

あくまでもひとり社長の給料を決める際の参考資料として活用し、自社の状況を優先して判断することが重要です。

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ひとり社長の給料の決め方③:個人の生活費を基準にする

ひとり社長の給料を決めるうえで、個人の生活費を基準にする方法も有効です。

会社経営を続けるためには、まず経営者自身が安定した生活を送れることが前提となります。ひとり社長の給料が少なすぎると生活費が不足し、結果的に事業運営にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、まずは毎月必要な生活費を把握しましょう。

家賃や住宅ローン、食費、水道光熱費、通信費、保険料などを計算し、最低限必要な生活費を算出します。例えば、毎月30万円の生活費が必要な場合は、年間で360万円程度のひとり社長の給料が必要になります。

ひとり社長の給料設定で気をつけておきたい注意点

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ただし、生活費だけを基準にひとり社長の給料を決めるのは危険です。会社の利益が十分に出ていないにもかかわらず高額な給料を設定してしまうと、会社の資金繰りが悪化する可能性があります。

そのため、ひとり社長の給料は生活費と会社の利益状況の両方を考慮しながら決めることが大切です。

ひとり社長の給料の決め方④:税理士などの専門家に相談する

ひとり社長の給料の決め方で迷った場合は、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

ひとり社長の給料は単なる生活費ではありません。給料額によって法人税、所得税、住民税、社会保険料が大きく変動するため、専門的な知識が必要になります。

例えば、ひとり社長の給料を年間600万円にした場合と年間900万円にした場合では、税金や社会保険料の負担額が大きく異なります。

また、ひとり社長の給料を増やすべきか、それとも会社に利益を残すべきかは、会社の成長フェーズによっても変わります。

税理士に相談すれば、以下のような観点から最適な給料額をシミュレーションしてもらえます。

  • 法人税と所得税のバランス
  • 社会保険料の負担額
  • 将来の資金繰り
  • 役員退職金の設計
  • 節税効果の最大化

特に、ひとり社長の給料は一度決めると原則として事業年度中は変更できません。そのため、後から「給料を高くしすぎた」「給料を低く設定しすぎた」と後悔しないためにも、決定前に専門家へ相談する価値は非常に高いといえるでしょう。

ひとり社長の給料の決め方に関するおすすめ記事:一人​社長ガイド|社会保険・​給料(役員報酬)・節税まで​徹底解説

ひとり社長の給料は会社と個人のバランスを見ながら決めることが大切

ひとり社長の給料の決め方に絶対的な正解はありません。会社の利益状況、将来の事業計画、個人の生活費、税金、社会保険料など、さまざまな要素を踏まえて決める必要があります。

そのため、ひとり社長の給料は「生活費だけ」「節税だけ」といった単一の視点で決めるのではなく、会社と個人の両方にとって無理のない金額を設定することが重要です。

適切なひとり社長の給料を設定できれば、資金繰りを安定させながら税負担を最適化し、長期的に健全な会社経営を実現しやすくなるでしょう。

ひとり社長の給料設定における注意点

ひとり社長の給料は、高ければ良いというものでも、低ければ節税になるというものでもありません。ひとり社長の給料の決め方を誤ると、税金や社会保険料の負担が増えたり、会社の資金繰りが悪化したりする可能性があります。

また、ひとり社長の給料は原則として事業年度の途中で自由に変更できないため、事前にリスクを理解したうえで慎重に決定することが重要です。ここでは、ひとり社長の給料の決め方で特に注意したいポイントを解説します。

ひとり社長の給料の決め方における注意点①:給料を高くしすぎると手取りが減る可能性がある

ひとり社長の給料を高く設定すると、生活に余裕ができそうに思えます。しかし、ひとり社長の給料を必要以上に高くすると、かえって会社と個人の手取りが減ってしまうことがあります。なぜなら、ひとり社長の給料が増えるほど、所得税や住民税、社会保険料の負担も増加するためです。

特に所得税は累進課税制度が採用されているため、ひとり社長の給料が高額になるほど税率も高くなります。また、健康保険料や厚生年金保険料も給料額に応じて上昇するため、実際に手元に残る金額が思ったほど増えないケースも少なくありません。

さらに、ひとり社長の給料を高く設定すると、会社から毎月多額の資金が流出することになります。

売上が安定している会社であれば問題ありませんが、創業間もない会社や売上変動が大きい事業の場合は、ひとり社長の給料が資金繰りを圧迫する原因になることもあります。

また、金融機関から融資を受ける際に、利益に対して過度に高額なひとり社長の給料を設定していると、経営の安定性に疑問を持たれる可能性もあります。

そのため、ひとり社長の給料は「できるだけ高く設定する」のではなく、会社の利益と将来の資金繰りを踏まえて適切な水準を見極めることが大切です。

参考:「一人会社の役員報酬(給料)はどう決める?ルールや節税効果を解説

ひとり社長の給料の決め方における注意点②:給料を低くしすぎても節税になるとは限らない

一方で、ひとり社長の給料を低く設定しすぎることにも注意が必要です。

「ひとり社長の給料を少なくすれば社会保険料や所得税を抑えられる」と考える方もいますが、実際には必ずしも得になるわけではありません。

まず、ひとり社長の給料が低すぎると、経営者自身の生活が不安定になります。

生活費が不足すれば、会社からお金を借りたり、個人資金を取り崩したりする必要が生じる場合もあります。その結果、会社と個人のお金の管理が複雑になる可能性があります。

また、ひとり社長の給料を低くすると、その分だけ会社に利益が残ります。

利益が増えれば法人税の負担も増えるため、必ずしも税金が安くなるわけではありません。場合によっては、ひとり社長の給料として適度に利益を移転した方が、法人税と所得税を合わせた税負担を抑えられるケースもあります。

ひとり社長の給料設定で気をつけておきたい注意点

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特に利益が大きく出ている会社では、ひとり社長の給料を低く設定しすぎることで、かえって税金の負担が重くなることもあるため注意が必要です。

そのため、ひとり社長の給料は「低いほど良い」という考え方ではなく、会社と個人の税負担を総合的に見ながら決めることが重要です。

ひとり社長の給料の決め方における注意点③:給料ゼロという選択肢にはリスクもある

ひとり社長の給料をゼロに設定することは、法律上は可能です。

実際に、法人設立直後で利益が見込めない場合や、副業として会社を運営している場合などでは、ひとり社長の給料をゼロに設定するケースもあります。ひとり社長の給料をゼロにする最大のメリットは、役員報酬に対する社会保険料の負担を抑えられることです。

しかし、ひとり社長の給料をゼロにすることにはデメリットもあります。

まず、給料を受け取らない場合は厚生年金や健康保険の対象外となる可能性があり、自身で国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。また、ひとり社長の給料をゼロにしたとしても、会社に利益が残れば法人税は発生します。そのため、給料ゼロが必ずしも節税につながるわけではありません。

さらに、金融機関の融資審査においては、ひとり社長の給料がゼロであることがマイナス評価になる場合があります。

金融機関は経営者個人の返済能力や生活基盤も確認するため、給料ゼロの状態が長期間続いていると、「安定した収入がない」と判断される可能性があるためです。

ひとり社長の給料の決め方における注意点④:節税だけを目的に給料を決めない

ひとり社長の給料の決め方で最も避けたいのが、「節税だけ」を目的に給料を設定することです。

IDEMAE編集部

確かに、ひとり社長の給料は法人税や所得税、住民税、社会保険料に大きく影響します。しかし、税金だけを基準に給料を決めると、生活費が不足したり、会社の資金繰りが悪化したりする可能性があります。

ひとり社長の給料を決める際は、以下のような視点を総合的に考えることが重要です。

  • 会社の利益予測
  • 将来の資金繰り
  • 個人の生活費
  • 法人税と所得税のバランス
  • 社会保険料の負担
  • 金融機関からの評価

ひとり社長の給料は、単なる生活費でも節税手段でもありません。会社経営と個人の生活を両立させるための重要な経営判断の一つです。

だからこそ、ひとり社長の給料は「高すぎず、低すぎず」を意識しながら、会社と個人の双方にとって無理のない金額を設定することが大切です。

まとめ

ひとり社長の給料は、単なる生活費ではなく、法人税や所得税、住民税、社会保険料、さらには会社の資金繰りにも影響を与える重要な経営判断です。そのため、ひとり社長の給料は「いくら欲しいか」だけで決めるのではなく、会社の利益状況や将来の事業計画も踏まえて慎重に設計する必要があります。

また、ひとり社長の給料である役員報酬は、一度決定すると原則として事業年度中の変更が難しく、経費として認められるためには定期同額給与などの要件を満たさなければなりません。ひとり社長の給料を適切に設定できれば、法人税と所得税のバランスを最適化しながら、会社と個人の手残りを増やせる可能性があります。

一方で、ひとり社長の給料を高くしすぎると社会保険料や税負担が増え、低すぎると法人税負担や生活面での問題が生じることがあります。だからこそ、ひとり社長の給料は節税だけを目的に決めるのではなく、会社経営の安定性と個人の生活の両方を考慮して決定することが大切です。

ひとり社長の給料の決め方に迷った場合は、税理士などの専門家に相談しながら、自社にとって最適な給料水準を見つけることをおすすめします。

ひとり社長の給料の決め方に関するおすすめ記事:ひとり社長の給料は自由にできる?知っておかないとまずいルールや決め方を解説します

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