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労務
役員入社

正社員から役員に変更した場合の、変更点および手続きについて解説!

公開日:2023.11.27

更新日:2024.01.24

会社に新たに役員が就任した場合は登記事項が変更されるため、役員変更の登記申請を行う必要があります。

会社に役員が入社する際には、新たに外部から役員が就任する場合と、すでに正社員として働いている社員が役員に就任する場合の2通りがあります。

 

この記事では、正社員から役員に変更した場合の変更点と、必要な手続きについて解説していきます。

 

現在働いている正社員を役員に就任しようと検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

役員とは?

こちらの記事(役員とはどのような仕事?会社役員の種類と役割)でも解説されていますが、そもそも役員とは、会社における取締役」「会計参与」「監査役」という役職を指します。よく「執行役員」という名前を聞いたことがある方もいるかと思いますが、執行役員はあくまで事業運営を行うための責任者という立場のため、会社法においては執行役員は「役員」には含まれません

参考記事:「役員(取締役・監査役等)とは?種類や変更登記について解説

参考記事:「役員(取締役や監査役)の任期は10年?変更や登記についても解説!

社員から役員にした場合の変更点

では、実際に社員から役員に就任した場合には、どのような変更点があるのでしょうか。社員から役員に就任した場合には、以下の3点が変更点として挙げられます。

 
  1. 会社との契約形態が異なる
  2. 役員報酬に係る税務上の制限
  3. 社会保険(健康保険と厚生年金保険、雇用保険と労災保険)の加入
 

社員と役員のそれぞれの変更点について解説していきましょう。

変更点①:会社との契約形態が異なる

役員と正社員とでは会社との契約形態が異なります

正社員の契約形態

社員は会社では「雇用契約」を結んでおり、労働基準法が適用される契約形態となっています。雇用契約を締結しているということは、労働者という扱いになるため雇用保険や労災保険といった保険の加入対象となります。

役員の契約形態

一方で、役員の契約形態は「委任契約」を結んでいるため、労働者としての扱いにはならず、労働基準法をはじめ、雇用保険や労災保険の対象にはなりません

 

正社員と役員の雇用形態の違いについては、以下の記事も参考にしてください。

参考記事:「「役員」と「社員」の違い

変更点②:役員報酬に係る税務上の制限

正社員から役員に就任する際の変更点の2つ目は、報酬の税務上の制限です。

社員の給与の税務上の取り扱い

正社員は労働の対価として「給与」という形で支払われます。会社として社員の給与を支払った場合には、支払ったものを全額損金として計上して、会社の経費として処理を行うことが可能です。

役員の報酬の税務上の取り扱い

役員に支払われる報酬は「役員報酬」と呼ばれており、社員の給与と違い、条件によって会社の経費として処理ができない場合があります

 

以下の条件であれば、役員報酬は経費として処理を行うことが可能です。

  • 定期同額給与であること
  • 事前確定届出を提出済みであること
  • 業績連動給与の場合は有価証券報告書へ記載されていること
 

役員報酬の税務上の制限については、以下の2つの記事を参考にしましょう。

 

参考記事:「従業員から役員に就任すると何が変わる?税務上の制限について

参考記事:「役員報酬を損金扱いにするための3つの注意点

 

変更点③:社会保険(健康保険と厚生年金保険、雇用保険と労災保険)の加入

正社員から役員へ就任した場合の変更点の3つ目は、社会保険の加入についてです。正社員と役員では、前述のとおり会社との契約形態が異なります。そのため、役員に就任した際に加入が外れてしまう保険もあるため注意してください。

正社員の場合の社会保険

通常であれば、すべての正社員は社会保険の加入を行います。会社との契約形態は雇用契約となっているため、労働者として扱われます。そのため雇用保険や労災保険にも加入しなければなりません。

正社員の社会保険の加入条件について詳しく知りたい方はこちらも参考になるかと思います。

役員の場合の社会保険

前述の通り、役員と会社とでは雇用契約は結ばれておらず、委任契約が結ばれています。健康保険と厚生年金保険は、役員も加入しなければなりませんが、雇用保険と労災保険については、被保険者ではなくなってしまいます

 

そのため正社員から役員へ就任した場合は、健康保険と厚生年金保険の手続きは必要なく、雇用保険と労災保険の資格を喪失するための手続きを行う必要があります

 

役員の社会保険の加入条件については、以下の記事でも解説されています。あわせてご覧ください。

 

役員の社会保険は義務?役員の社会保険への加入条件を解説

社員から役員に変更した場合の登記変更手続き

社員から役員に変更した場合には、登記変更手続きと呼ばれるものが必要となります。会社役員の情報は登記事項の1つとして定められているため、役員が新たに加わった際には登記事項の変更を行う必要があります。

 

登記事項における役員の情報を変更する手続きを「役員変更登記」と呼び、登記申請書という書類を通じて役員の変更があった旨を法務局へ伝える必要があります

この役員変更登記の手続きは、役員が新たに就任してから2週間以内に行う必要があることに注意してください。

 

役員変更登記には、登記申請書をはじめ「株主総会議事録」や「就任承諾書」といった様々な書類が必要です。役員の就任が決まったら、期限内に必要書類の提出を行いましょう。

 

役員が就任した際の登記手続きの詳細は、こちらの記事(役員に就任したらどうなる?役員変更登記のやり方や必要な書類について徹底解説)でも解説しています。参考にしてみてください。

正社員から役員に変更した場合の労務変更手続き

上記の役員変更登記を行うことで、会社の登記上は役員の変更が完了します。ただ、役員に就任した際には登記申請だけではなく、役員の労務についての手続きも行う必要があります。

労務変更手続きに必要な書類

社員から役員に就任した際には、労務変更手続きとして以下の2つの書類を作成する必要があります。

 
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 月額変更届

それぞれの書類について、詳しく解説していきます。

労務変更手続き書類①:雇用保険被保険者資格喪失届

前述の通り、正社員から役員に就任した場合は、原則雇用保険の対象から外れます(雇用保険の被保険者ではなくなります)。そのため、雇用保険の被保険者資格を喪失したことを失ったことを「雇用保険被保険者資格喪失届」という書類を通じて、伝える必要があります。

 

雇用保険被保険者資格喪失届の作成は会社が行い、作成した書類は自社の管轄のハローワークへ提出を行います。

雇用保険被保険者資格喪失届の書類は、こちらのページ(雇用保険被保険者資格喪失届|ハローワーク)からダウンロードすることが可能です。自社の管轄のハローワーク調べ方は、こちらの記事(管轄のハローワークの調べ方)を参考にしてみてください。

 

以下の記事では、雇用保険被保険者資格喪失届の記入項目についても解説されているので、あわせてご覧ください。

参考記事:「社員から役員に就任した際に必要な雇用保険の手続き

労務変更手続き書類②:月額変更届(状況に応じて)

月額変更届とは、健康保険厚生年金保険の手続きに必要な書類で、正社員から役員に就任した際に、ある条件を満たすと提出が必要となります。

 

正社員から役員に就任するにあたって、支払われる報酬が大幅に変わったときに、この月額変更届という書類を提出します。

健康保険や厚生年金保険の保険料を支払う際には、4月〜6月の給与・報酬額をもとに「標準報酬月額」というものが決められ、支払うべき保険料が算出されます。

 

この標準報酬月額は基本的に1年に1回ごとに定められるわけですが、役員への就任を機に報酬が大幅に変わった場合(昇給も降給も含みます)には、次回の標準報酬月額を定める時期を待たずに、月額変更届という書類を通じて、標準報酬月額を変更します

 

社員から役員に就任するにあたって報酬の変更がなければ、この書類の提出は必要ありません。月額変更届を提出する条件については、以下の記事を参考にしてください。

 

参考記事:「社会保険料の月額変更届の基礎知識。提出する要件とは?

 

月額変更届の提出を行う際は、こちらのページ(月額変更届|日本年金機構)から書類のダウンロードを行うことが可能です。

 

また、役員報酬はいつでも自由に変えることはできないことに注意が必要です。
役員報酬の設定についてはこの記事では割愛しますが、詳しく知りたい方は以下の記事が参考になるかと思います。

参考記事:「 役員報酬を変更するには?覚えておきたいポイントまとめ

兼務役員は例外的に雇用保険の被保険者となる

前述の通り、役員は会社と雇用契約を締結しておらず、労働者として扱われないため雇用保険の加入対象とはなりません

しかし、役員であり従業員としても労働する場合(兼務役員と呼ばれます)には、労働者という扱いになるため雇用保険の加入対象となります。

そのため、兼務役員の場合には「兼務役員雇用実態証明書」という書類を管轄のハローワークへ提出する必要があります。

自社の役員が兼務役員に該当するかどうかは、以下の表を参考に判定を行いましょう。次のすべての条件を満たした場合は、兼務役員に該当します。

 
役員が兼務役員に該当するかどうか
条件 内容
業務執行権・代表権をもっていない 業務執行権や代表権を持っている場合は、あくまで従業員を雇う側として判断されるため、会社の労働者として扱われません。また、肩書ではなく実態で判断されます。
就業規則が適用される 通常の役員であれば会社との雇用関係はないため就業規則は適用されません。兼務役員として認められるためには、他の従業員と同様に、就業規則が適用されている必要があります。
業務に拘束性がある 就業規則と同様に、労働者として会社側に管理されたうえで業務を遂行する必要があります。そのため出勤の有無や仕事の進め方など、あくまで会社の指揮下のもと業務を進めていく必要があります。
役員報酬より労働者としての給与が高い 兼務役員に対しては、役員報酬と労働者としての給与の2つが支払われています。役員報酬のほうが高い=会社として役員として認められることになってしまうため、兼務役員は労働者としての給与の方が高い必要があります。

まとめ

この記事では、社員から役員に変更した場合の、変更点と必要な手続きについて解説しました。これから社員を役員に就任させようと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。

 

会社を運営するうえで、役員と社員は何が違うのか、それぞれどういった手続きが必要なのかをしっかりと把握しておきましょう。

提出必要書類の一覧

  • 登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 就任承諾書
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 月額変更届
  • 兼務役員雇用実態証明書

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