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【会社設立後の社会保険の手続き】やるべき手続きと必要書類について解説
公開日:2023.11.23
更新日:2024.08.09
この記事では、会社設立後に必要な社会保険の手続きについて解説を行います。
こちらの記事でも解説されている通り、社会保険と言っても「広義」の意味での社会保険と「狭義」の意味での社会保険があります。
この記事では、健康保険や厚生年金保険といった「狭義」の意味での社会保険について解説を行います。
会社設立後にはどのような会社であっても、社会保険(健康保険や厚生年金保険)の手続きを行う必要があります。また、社会保険の手続きに必要な書類は事実発生(会社設立)から5日以内に提出を行う必要があります。この記事でご紹介する書類の記載例を参考にしながら、会社設立後に行う社会保険の手続きを進めていきましょう。
本記事では、株式会社を設立した際の必要な手続きや必要書類について解説していますが、以下の記事では個人事業主が法人化をした場合の社会保険手続きについて解説しています。現在は、個人事業主として働いており、いつかは法人化も視野に入れているという方は、ぜひ以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
個人事業主から法人化した際の参考記事:個人事業主から法人化した際の社会保険の手続きとは?個人事業主が法人化するメリットも解説!
会社設立後に行う広義の意味での社会保険の手続きや、会社設立後に行うべき手続きは以下の記事でも解説しています。会社設立後の手続きを知りたい方は、あわせて参考にしてください。
参考記事
「会社設立後にやるべき手続きの流れや準備すべき書類について詳しく解説します」
「会社設立時は社会保険への加入が必須です。社会保険の手続きと提出書類について詳しく解説」
まずは会社設立登記を完了させましょう
会社設立後の社会保険の手続きを進める際には、まずは会社設立の登記申請手続きを完了させましょう。この記事では、会社設立後に行うべき社会保険の手続きについて解説を行いますが、会社設立後には社会保険以外にも様々な手続きを行う必要があります。
会社設立後に提出を行う書類によっては、添付書類として「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」の提出が必要となります。
この登記簿謄本は、会社設立登記が終わってからでないと取得をすることはできないので、まずは会社設立の登記申請の手続きを行う必要があります。
会社設立の登記申請を行う際に必要な提出書類については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
参考記事:「会社設立の登記申請に必要な書類10種について詳しく解説します」
また、会社設立の登記申請手続きを行う際の流れや申請方法については、以下の記事で理解を深めることができると思います。
参考記事
「会社設立登記とは?会社設立の流れや申請方法について」
「会社設立はどんな流れ?株式会社を設立する際の手続きと提出書類について」
「会社設立にかかる費用はどのくらい?株式会社と合同会社の会社設立時にかかる費用をそれぞれ解説」
会社設立手続きは登記だけではない!
前述の通り、会社設立の手続きは会社設立登記を行なった後にも、様々な手続きを行う必要があります。会社設立の登記申請を行なった後に必要な手続きについては、以下の表にまとめているので全体感を把握するために参考にしてください。
提出先 | 提出書類 | 提出期限 | 添付書類 |
---|---|---|---|
税務署 |
法人設立届出書 | 会社設立から2ヶ月以内 | ・定款の写し |
青色申告の承認申請書 | 会社設立から3ヶ月以内(または事業年度終了日のいずれか早い方の前日) | - | |
給与支払事務所等の開設届出書 | 会社設立から1ヶ月以内 | - | |
源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書 | なし | - | |
都道府県税事務所 | 法人設立届出書 | 都道府県によって異なる | ・定款の写し ・登記事項証明書 |
市町村 | 法人設立届出書 | 市町村によって異なる | ・定款の写し ・登記事項証明書 |
年金事務所 |
健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 会社設立から5日以内 | ・登記簿謄本(90日以内に交付された原本) ・法人番号指定通知書のコピー |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 従業員の入社日から5日以内 | 原則必要なし | |
健康保険被扶養者(異動)届 | 従業員の入社から5日以内 | ・戸籍謄本や住民票の写し ・収入を証明するための書類 |
|
労働基準監督署 |
労働保険 保険関係成立届 | 従業員の入社の翌日から10日以内 | ・登記簿謄本 |
労働保険概算保険料申告書 | 従業員の入社から50日以内 | - | |
就業規則(変更)届 | 従業員が10人を超えたら速やかに | ・労働者の意見書 ・就業規則 |
|
適用事業所報告書 | 従業員の入社から速やかに | - | |
ハローワーク |
雇用保険適用事業所設置届 | 従業員の入社の翌日から10日以内 | ・登記事項証明書 ・雇用契約書 ・労働保険 保険関係成立届の事業主控え |
雇用保険被保険者資格取得届 | 従業員の入社の翌日から10日以内 | - |
この記事では、上記の表の中でも「日本年金機構の事務センター」へ行う手続きについて詳しく解説していきます。
会社設立後に必要な社会保険の手続きの全体像を解説しているサイトや必要書類について解説しているサイトも参考になるかと思います。
会社設立後の社会保険の手続き:日本年金機構の事務センターへの届出
会社設立後に行う社会保険の手続きでは、日本年金機構の事務センターへ以下の3つの書類を提出する必要があります。
- 健康保険 厚生年金保険 新規適用届
- 健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届
- 健康保険 被扶養者(異動)届
会社設立後に行う社会保険で提出する書類について、記載例を交えながら詳しく解説していきます。
提出書類①:健康保険 厚生年金保険 新規適用届
「健康保険 厚生年金保険 新規適用届」は、事業所(会社)が、健康保険・厚生年金保険に適用されることになった場合に、提出が必要となる書類です。
雇用保険(労働保険・労災保険)の加入については条件があるため会社設立時に届出を行わない場合もありますが、社会保険(健康保険・厚生年金保険)については、一人会社や役員だけの会社であったとしても、必ず加入を行う必要があります。
そのためこちらの書類は、会社設立とあわせて必ず提出を行う必要があるため、忘れずに書類の提出を行いましょう。
「健康保険 厚生年金保険 新規適用届」には、
- 事業の種類
- 現物給与の種類
- 昇給月
- 賞与支払予定日
- 法人番号
といった項目の記載を行う必要があります。
「健康保険 厚生年金保険 新規適用届」は、こちらのページ(新規適用届|日本年金機構)からダウンロードを行うことが可能です。以下に掲載している記載例を参考に、書類の作成を進めていきましょう。
健康保険 厚生年金保険 新規適用届の記載例
新規適用届の記載方法については以下のサイトも参考になるかと思います。
参考サイト:
事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき
会社設立時に必要な社会保険・労働保険の手続きは?基礎から解説
添付書類
「健康保険 厚生年金保険 新規適用届」を提出する際には、以下の2つの添付書類を提出する必要があります。
- 登記簿謄本のコピー(90日以内に発行されたもの)
- 「国税庁法人番号公表サイト」もしくは、「法人番号指定通知書」のコピー
2つ目の添付書類についてですが、「法人番号指定通知書」をお持ちの場合はそのコピーを提出すれば問題ありません。もし法人番号指定通知書がお手元にない場合は、こちらのページ(法人番号公表サイト|国税庁)で必要情報を入力することで、自社の情報を表示することができるので、表示されたページを印刷して添付書類として提出する形で問題ありません。
「健康保険 厚生年金保険 新規適用届」を提出する際には、こちらのページ(社会保険の新規適用の手続き|日本年金機構)でも提出書類や添付書類について詳しくご覧いただけます。あわせて参考にしてください。
提出書類②:健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届
上記の「新規適用届」が会社として届出を行う書類に対して、この「健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届」は、会社として雇用している従業員ごとに提出が必要となる書類です。
「新規適用届」は会社として届出を行う書類のため、会社設立時に1度だけ提出すれば問題ありません。一方でこの「被保険者資格取得届」は、会社設立の際だけではなく、従業員を雇用するタイミングでその都度提出が必要となります。
「健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届」は、こちらのページ(健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届|日本年金機構)からダウンロードを行うことができます。以下の記載例を参考にしながら、書類の作成を進めていきましょう。
健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届の記載例
注意事項①:「報酬の範囲」
被保険者資格取得届の中には、「報酬月額」を記入する項目があります。ここに記載する報酬には対象となるものと対象外のものがあります。「報酬月額」を記入する際には、以下の画像を参考に報酬の範囲に注意しながら、書類の記入を行いましょう。
注意事項②:添付書類が必要なる場合
資格取得届を提出する際には、原則として添付書類を提出する必要はありませんが、以下に当てはまる場合には添付書類が必要となります。
- 60歳以上の方が、退職後1日の間もなく再雇用された場合
- 国民健康保険組合に引き続き加入して、一定の要件に該当する場合など
添付書類が必要な場合については、こちらのページ(資格取得届に添付書類が必要な場合|日本年金機構)でも詳しく解説されています。あわせてご覧ください。
提出書類③:健康保険 被扶養者(異動)届
被保険者資格取得届と同様に、この「健康保険 被扶養者(異動)届」も雇用している役員や従業員ごとに提出が必要となる書類です。
この書類はすべての従業員が提出する必要はなく、雇用する従業員や役員に「被扶養者」がいる場合に提出が必要となります。
被扶養者とは、被保険者(従業員)の家族や親族など、被保険者に生計を維持されている人を指します。(参考記事:被扶養者とは?被扶養者の範囲などを解説)
健康保険 被扶養者(異動)届には、
- 従業員のマイナンバー
- 取得年月日、年収
- 配偶者である被扶養者
- 被扶養者になった日
- 事業主確認
などの記載を行います。
「被扶養者(異動)届」は、以下のページからダウンロードが可能です。
以下の記載例を参考にしながら、提出書類の作成を進めていきましょう。
健康保険 被扶養者(異動)届の記載例
添付書類
被扶養者(異動)届を提出する際には、
- 続柄を確認するための書類(被扶養者の戸籍謄本や住民票の写し)
- 収入要件を確認するための書類
を添付書類として提出する必要があります。
また、以下の状況に当てはまる場合には、追加で添付書類を提出する必要があります。
- 別居している被扶養者がいる場合
- 内縁関係にある被扶養者がいる場合
追加で添付書類が必要になる場合については、こちらのページ(被扶養者異動届に添付書類が追加で必要となる場合|日本年金機構)で詳しく解説されています。上記の条件に当てはまる方は、一度確認しておきましょう。
社会保険の扶養親族に該当するかの判定
被扶養者かどうかについては、対象の方の収入や続柄などをもとに判定を行います。
雇用する従業員の親族が社会保険の扶養親族(被扶養者)に該当するかどうかは、以下の画像を参考に判定を行なってください。
こちらで扶養対象外となった場合には、この「健康保険 被扶養者(異動)届」の提出は不要となります。
会社設立後の社会保険手続きのまとめ
この記事では、会社設立後に行う社会保険の手続きや提出書類について解説を行いました。会社設立後に社会保険に関する手続きを行う際には、「日本年金機構の事務センター」に対して、以下の3つの書類を提出する必要があります。
- 健康保険 厚生年金保険 新規適用届
- 健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届
- 健康保険 被扶養者(異動)届
社会保険の手続きは、役員だけの会社や一人会社だったとしても、基本的には届出を行う必要があります。また、社会保険の手続きに必要な書類は、事実発生(会社設立)から5日以内に提出する必要があります。期限を過ぎないように、余裕をもって手続きを進めていきましょう。
この記事では株式会社を前提として記載例を紹介しましたが、合同会社の場合について解説している記事もあります。
また、個人事業主が法人化した場合について解説している記事もあります。
該当する方はぜひご覧ください。
新たに従業員を雇用した際にも、その都度「健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届」を提出する必要がありますので、従業員を新しく雇用する場合にも、忘れずに社会保険の手続きを行いましょう。
この記事では、会社設立後に行う社会保険の手続きを解説しましたが、以下の記事では会社設立後に行う「税務手続き」や「労働保険の手続き」について解説しています。
会社設立後には様々な手続きが必要となるので、会社設立前の方も事前に読んでおきましょう。
関連記事
「会社設立を行った後にやるべき税務手続きについて提出書類とあわせて解説」
「会社設立後に必要な労働保険の手続きと書類について分かりやすく解説します」
提出必要書類の一覧
- 健康保険 厚生年金保険 新規適用届
- 健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届
- 健康保険 被扶養者(異動)届
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