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本店移転をするには定款変更が必要?やり方とポイントについて解説

公開日:2024.01.20

更新日:2024.01.30

この記事では、本店移転を行なう際に必要な定款変更のやり方や、定款変更を行なう際のポイントについて解説していきます。

管轄内」の本店移転か「管轄外」の本店移転によっても、定款変更が必要かどうかは異なります。これから本店移転を行なう方は、本記事を参考にしながら本店移転に伴う定款変更について理解を深めていただければと思います。

定款変更の前に本店移転について解説します

本店移転に伴って行う定款変更を解説する前に、まずは本店移転とはどのようなものかについて解説を行います。

 

本店移転とは本店所在地(会社住所)を変更することを指します。すべての会社は本店所在地(会社住所)や商号(会社名)などが、登記事項として一般に公開される仕組みとなっています。本記事で解説を行う本店移転をはじめ、登記事項の変更を行う際には、法務局にて変更登記手続きを行う必要があります。

 

以下の記事では、本店移転登記の手続きやそのやり方について解説を行っています。本店移転登記の手続きをこれから控えている方や、これからはじめて本店移転登記を行うという方は、ぜひ参考にしてください。

 

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本店移転には管轄内移転と管轄外移転がある

前述の通り、本店所在地(会社住所)を変更することを「本店移転」と呼びますが、本店移転には管轄内」の本店移転と「管轄外」の本店移転の2つの種類があります

 

法務局はそれぞれの地域に対応した「管轄」があり、会社の所在地によって管轄の法務局が決まります。登記申請など登記に関する手続きについては、この管轄の法務局で行います。

 

本店移転を行う際には、この管轄の法務局が変更になる場合とならない場合があり、管轄の法務局が変更しない本店移転を「管轄内移転」、管轄の法務局が変更となる本店移転は「管轄外移転」と呼ばれています。

 

それぞれの本店移転の詳細については、こちらの記事(本店移転における「管轄内移転」と「管轄外移転」の違いを詳しく解説)でも解説を行っています。管轄内と管轄外への本店移転の違いについてよく分からない方は、あわせて参考にしてください。

管轄内の本店移転には定款の変更が必要な場合と不要な場合がある

前述の通り、本店移転には管轄内と管轄外の移転がありますが、管轄外の本店移転の場合には、必ず定款変更を行わなければなりません。

本店所在地は、定款に必ず記載を行う「絶対的記載事項」とされており、定款に記載している事項に変更が生じた場合には、株主総会決議をもって、定款の変更を行う必要があります

 

なお、定款に記載を行う本店所在地は「最小行政区画」までの記載が必須とされており、「〇〇市」まで記載されている場合や、「〇〇市◯丁目◯番地」のように番地までの正確な住所まで記載をしている場合があります。

定款への記載が「〇〇市」と最小行政区画までの場合には、本店移転を行っても定款の変更が発生しない場合もあります

 

本店移転にともなって定款変更が必要なケースにあたるかどうかについては、こちらの記事(本店移転をしたら定款変更が必要?確認すべきポイントを解説)でも解説されています。あわせて、参考にしてください。

 

では、管轄内の本店移転に伴って定款の変更が必要となる場合と、不要な場合について、それぞれ詳しく解説していきます。

管轄内の本店移転時に定款の変更が必要となる場合

管轄内で本店移転を行なう際に定款変更が必要となる場合は、定款に記載されている住所が「〇〇市◯丁目◯番地」のように、所在地が番地まで詳しく記載されている場合です。

 

管轄内の本店移転であっても、本店移転を行なう際には番地などは必ず変更となるため、定款の変更もあわせて行う必要があります。

管轄内の本店移転時に定款の変更が不要な場合

一方で、〇〇市」のように最小行政区画(市町村・東京23区)までの記載の場合には、管轄内の本店移転であれば、定款に記載されている住所が変更となることはありません。そのため、本店移転に伴う定款の変更は不要となります。

 

管轄内の本店移転における定款変更の必要有無については、こちらの記事(管轄内の本店移転をする際の定款変更について)でも解説されています。あわせて、参考にしてください。

管轄外の本店移転時には定款の変更が必要

管轄内の本店移転の場合には、定款変更が必要かどうかは定款への住所の記載方法によって異なりますが、管轄外の本店移転の場合には定款に記載されている住所が「最小行政区画」まででも必ず住所が変更となるため、本店移転の際には定款の変更を行う必要があります

 

管轄外への本店移転における、定款変更と本店移転登記の手続きについては、こちらの記事(管轄外へ本店移転をする際に必要な、定款変更と本店移転登記を解説)でも詳しく解説されています。あわせてご覧ください。

本店移転における定款変更時に必要な手続きのやり方

本店移転を行なう際に定款の変更が必要となった際には、定款変更に伴って必ず株主総会」の開催および決議が必要となります。

この記事で解説している本店移転に限らず、定款の変更を行う際には株主総会を開催し、決議を取る必要があります。株主総会を開催せず、取締役会の一存などで定款変更を行うことはできないので注意してください。

 

本店移転に伴って必要な手続きについては、以下の記事でも解説されています。あわせて、参考にしてください。

 

参考記事

本店移転をする場合、どのような手続きが必要か

法人の本店移転マニュアル|法務局へ提出する書類や費用などを解説

本店移転における定款変更時に必要な書類

本店移転に伴って定款変更を行う際には、以下の書類を作成する必要があります。

 
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 定款
 

定款変更時に必要なそれぞれの書類について、詳しく解説していきます。

定款変更時に必要な書類① 株主総会議事録

前述の通り、定款変更を行なう際には「株主総会」を開催する必要があります。株主総会議事録はその名前の通り、株主総会の内容を記載した議事録のことで、株主総会を開催した際には、「株主総会議事録」を必ず作成する必要があります。

 

実際に株主総会議事録を作成する際には、以下の記載例を参考に記入を進めていきましょう。また、こちらの記事(株主総会議事録の書き方や記載すべき事項について)でも株主総会議事録の書き方について解説されているので、あわせて参考にしてください。

 

株主総会議事録の記載例

定款変更時に必要な書類② 株主リスト

定款変更を行なう際に開催する株主総会では、特別決議に基づいて決議されます。特別決議で決議する際には、株主の過半数の出席や出席した株主の議決権の3分の2以上の同意が必要となります。

 

そのため、開催した株主総会において特別決議の条件を満たしていることを証明するために、株主総会議事録とあわせて「株主リスト」も提出します。

 

株主が10名以内であれば株主全員分を記載しますが、10名を超える場合には、株主リストに記載されている議決権の数が議決権の総数の3分の2に達していれば、すべての株主を記載する必要はありません

 

定款変更にあわせて株主リストを作成する際には、以下の記載例を参考に記入を進めてください。また、こちらの記事(本店移転登記で必要な「株主リスト」の書き方)でも株主リストの書き方が解説されているので、あわせて参考にしてください。

 

株主リストの記載例

定款変更時に必要な書類③ 定款

定款の変更を行うため、すでに保管している定款の記載内容を書き換える必要があります。本店移転登記を行なう際に、変更後の定款を法務局へ提出する必要はありませんが、本店移転登記手続き後に他の役所への届出を行う際に必要となる場合があります

 

すでに保管していた定款の記載内容を変更して、最新版の定款をデータで保存しておきましょう。本店移転に伴って定款変更を行う際は、「本店所在地」の欄の変更を行います。実際に定款の変更を行う際は、以下の記載例を参考にしてください。

 

定款の記載例

定款変更時のポイント:変更後の定款の本店所在地を最小行政区画にする

実際に定款に記載されている本店所在地を変更する際には、本店所在地を最小行政区画にしておくと便利です。本記事でも解説しましたが、管轄内の本店移転を行なう場合には定款への本店所在地の記載が「最小行政区画」までであれば、定款変更を行う必要がありません

 

定款変更が不要であれば、株主総会決議も不要となり、本店移転登記の手続きを最低限の工数で進めることが可能です。今後、本店移転が発生した際の手間を軽減するためにも、定款には「最低行政区画までの本店所在地」を記載しておくことをおすすめします。

本店移転登記手続きのやり方

本店移転を行う際には、本店移転登記の手続きも忘れないように行うようにしましょう。記事冒頭でも触れましたが、本店移転登記手続きは管轄の法務局にて行う必要があります。本店移転登記の手続きには期限が定められており、本店移転から2週間以内に手続きを済ませる必要があります

 

期限を過ぎてから本店移転登記手続きを行った場合には、「登記懈怠」とみなされ、過料を科される可能性があります。無駄な出費を避けるためにも、本店移転をする際には余裕をもって本店移転登記の手続きを進めていきましょう。

 

本店移転登記手続きを行う際の必要書類の書き方については、こちらの記事(本店移転登記手続きに必要な書類の書き方を記載例とあわせて解説)でも解説しています。また、本店移転登記手続きの全体の流れについては、こちらの記事(会社の本店移転をする際の必要な登記手続きについて)でも解説されています。

 

また、以下の記事では本店移転登記手続きの費用や自分で行うメリット・デメリットについて、解説しています。あわせて、ご覧ください。

 

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本店移転登記の手続きを自分で行うメリットとデメリットについて解説します

法人の本店移転登記で発生する費用(登録免許税)について分かりやすく解説」 

本店移転の定款変更に関するまとめ

この記事では、本店移転にともなって行う定款変更について解説を行いました。記事内で解説した通り、本店移転の状況によって定款変更を行うかどうかが異なります。

本店移転を行なう際には、自社の本店移転が「管轄内」か「管轄外」か、定款にはどのような形で本店所在地が記載されているかなどをチェックして、定款変更が必要かどうかを判断しましょう。

 

前述の通り、本店移転を行なう際には本店移転登記の手続きを行う必要があります。本店移転登記手続きも忘れずに手続きを進めていきましょう。

 

本店移転登記の手続きを行った後にも、様々な手続きが必要となります。本店移転登記後に必要な手続きについては、こちらの記事(本店移転登記の申請後に必要な手続きとそのやり方を解説)もあわせて参考にしてください。

提出必要書類の一覧

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 定款

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