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本店移転における管轄内移転と管轄外移転の違いについてを解説

公開日:2023.09.14

更新日:2024.01.30

本店移転における管轄内移転・管轄外移転とは?

「本店の移転」とは、登記簿に記載された会社の本店住所を変更することをいいます。会社の本店所在地は法的な住所であり、会社が登記されている場所です。本店移転が必要になる場合は、例えば、新しい事務所に本社を移す、別の地域に本社を設立する、または法人の所在地に変更が必要な場合等があります。個人で引っ越した際に住民票の変更を役所に届け出るように、本店を移転した際には登記上の本店所在地を変更する手続きが必要となります。登記申請は、移転後や移転前の所在地によって、必要な書類が異なったり、費用が異なったりすることをご存知でしょうか。
法務局には「管轄」という制度があります。会社の所在地によって管轄する法務局が決まっており、登記申請はその法務局に対して行います。本店移転登記の手続きは、会社の本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。この管轄は、例えば本店が千代田区内なら、東京法務局(本局)、渋谷区内であれば渋谷出張所のように分けられていますので、自社の本店住所がどこの管轄なのか、適切に調べる必要があります。本店登記の手続きは、移転前の管轄と、移転後の管轄が同じかそうでないかによって、本店移転の種類は、「管轄内移転」と「管轄外移転」に分けられます。
出典:法務省:商業・法人登記 Q&A 「会社の本店を移転するにはどこに登記申請をすればよいのですか?」

法人の本店移転登記(住所変更)については、こちらの記事(本店移転登記とは?手続きや必要書類、やり方について解説します)でも解説を行っています。より理解を深めたい方は、ぜひあわせてご覧ください。合同会社の方は、こちらの記事(合同会社の本店移転登記のやり方について、分かりやすく解説します)をご覧ください。

「管轄内移転」に該当するか「管轄外移転」に該当するかで必要な書類と費用が変わってきますので、本店移転登記申請の必要書類や費用を調べる前に、移転先住所を管轄している法務局を調べ、自身の会社の本店移転が、「管轄内移転」に該当するのか、「管轄外移転」に該当するのかについて、確認するようにしましょう。会社の本店所在地の管轄している法務局を調べるには、法務局のホームページ、もしくは、株式会社SoVaの会社移転の管轄判定ツールを用いましょう。
出典:法務局「管轄のご案内」
出典:株式会社SoVa「会社移転の管轄判定」
 

管轄内へ本店移転する場合

管轄内移転とは、移転前の会社を管轄していた法務局の管轄エリア内で移転を行う場合の本店移転のことをいいます。例えば元のオフィスが渋谷で新オフィスも渋谷の場合、元のオフィスと新オフィスを管轄する法務局は同じ(渋谷=東京法務局渋谷出張所)となるので、このような場合は管轄内移転となります。

管轄内へ本店移転する場合には、定款の変更が必要な場合と不要な場合がある

管轄内本店移転時には、定款の変更が不要な場合と必要な場合があります。
というのも、会社法上、会社の本店所在地は定款の絶対的記載事項とされており、定款の変更をともなう決定は原則として株主総会の決議に従う必要があります。定款は、基本的な会社のルールのため、その内容は取締役(取締役会)の一存で変更はできないこととされています。
なお定款に記載する、本店所在地は最小行政区画(市町村・東京23区)までが必須とされています。そのため、管轄内移転の場合は、定款に記載している本店所在地がどこまで記載されているかで、定款の変更が必要か不要かが決まります。あなたの会社の定款の記載方法がどうなっているかについて、ご確認いただきながら読み進めてみてください。

管轄内へ本店移転する場合に定款の変更が必要となるケース

管轄内移転の場合、市町村までは、移転前と移転後で同じであっても、定款の記載元が「東京都渋谷区神南1丁目1番1号」のように、町名や番地まで具体的に記載されている場合は、必ず定款の変更が必要となり、株主総会で議決を行います。定款を変更した場合は、本店移転登記申請時に、定款変更をした株主総会議事録が必要となります。

管轄内へ本店移転する場合に定款の変更が不要となるケース

本店の所在地が「東京都渋谷区」などのように、最小行政区画(市町村・東京23区)までしか定款に記載されていない場合は、管轄内移転だと、「最小行政区内」での移転となりますので、定款の変更は不要となります。

管轄内へ本店移転する場合に必要となる書類


管轄内本店移転と管轄外本店移転では本店移転登記申請に必要な書類が異なります。管轄内移転の場合、所轄の法務局が変更にはならないため、管轄外移転の場合と比較して提出書類も少なく、かかる費用も少なくなります。
足りない書類があると二度手間になってしまいますので事前にチェックをしておきましょう。
 
管轄内移転時の各書類の提出先一覧
書類名 詳細
本店移転登記申請書 本店移転登記申請書とは、法務局への本店移転の登記申請の際に必要となる書類
取締役会議事録又は取締役決定書 取締役会議事録又は取締役決定書とは、社内の内部資料で、本店移転を決定する際の、取締役会会議における議事録
株主総会議事録(定款変更がある場合) 株主総会議事録とは、会社内部の書類で、定款変更を決定する際の、株主総会会議における議事録
株主リスト(株主総会議事録を添付する場合) 特別決議の決議条件が満たされているかを確認するために、添付する資料
委任状(代理人に手続きを依頼する場合) 委任状とは、代理人に本店移転の手続きを委任する場合に法務局に提出しなければならない書類
参考:<本店移転登記申請書の記載例>  


管轄外へ本店移転する場合


管轄外移転とは、移転前の会社を管轄していた法務局の管轄エリア外への移転を行う場合の本店移転のことをいいます。例えば、元のオフィスが渋谷で新オフィスが池袋の場合、元のオフィスと新オフィスを管轄する法務局が異なる(渋谷=東京法務局渋谷出張所、池袋=東京法務局豊島出張所)ので、このような場合は管轄外移転となります。

管轄外への本店移転の場合に注意すべきこと


管轄外への本店移転の場合に気をつけることが3つあります。
①登記申請書が2通必要になる
管轄外への本店移転の場合、移転前と移転後の双方の管轄法務局に登記申請が必要になるため登記申請書が2通必要になります。そのため、登記申請書類の作成を司法書士に依頼したりオンラインのサービスで行う場合は管轄内外で専門家報酬が異なる場合があります。
しかし、申請は移転前の管轄法務局に対して2通合わせて書類を提出することができるため、移転前、移転後両方の法務局に別々に書類を提出する必要はありません。
②登録免許税が2回分必要になる
管轄内であれば登記申請に必要な登録免許税は30,000円のみです。
管轄外の場合は、移転前と移転後の双方の管轄法務局に対して登記申請をするため、登録免許税が合計60,000円必要になります。
③会社実印の届出を行う必要がある
会社を設立する場合、会社実印の届出が現時点においては義務付けられていますが、この会社実印は法務局の管轄ごとに届出を行う必要があります。
そのため、管轄外への本店移転を行う場合、移転後の管轄法務局に対して、会社実印の届出をし直す必要があります。移転後の管轄法務局に申請しなければなりませんが、移転前の管轄法務局に登記申請書類を提出する際に、一緒に会社実印に関する「印鑑届出書」を同封することができるため、こちらの書類に関しても、別で移転後の管轄法務局に書類を送付する必要はない場合が多いです。

管轄外の本店移転の登記手続きに必要となる「印鑑届出書」については、以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:「本店移転の登記手続きで印鑑届出書が必要となる場合について

このように、管轄外移転の場合は、ほとんど管轄内移転の時と、用意すべき書類や手続きの流れは同じですが、管轄内移転よりも、準備すべき書類が少し多かったり、費用が増えてしまったりします。

管轄外へ本店移転する場合には定款の変更が必要


管轄外本店移転時には定款の変更が必ず必要となります。
というのは、上記で解説済みですが、定款に記載する必要のある本店所在地は最小行政区画(市町村・東京23区)までが必須とされています。そのため、管轄外移転の場合は、現在の定款での記載が、「東京都渋谷区神南1丁目1番1号」であったとしても、「東京都渋谷区」であったとしても、「豊島区」に移転したのだから、定款記載の住所を必ず変更しなければならないのです。

管轄外へ本店移転する場合に必要となる書類

管轄外移転は、定款の変更が必ず必要であったり、旧管轄と新管轄の登記所双方へ申請を行う必要があったりと、管轄内移転より、準備するべき書類や費用が増えます。ただし、旧管轄と新管轄の登記所双方へ申請を行う必要がありますが、双方へ申請を行う必要があるといってもそれぞれに出向く必要はなく、それぞれの本店移転登記申請書を作成し、便宜上、旧管轄へ提出し審査を受ければよいこととなっています。
管轄外移転時の各書類の提出先一覧
書類名 詳細
本店移転登記申請書(旧法務局管轄分) 本店移転登記申請書とは、法務局への本店移転の登記申請の際に必要となる書類
本店移転登記申請書(新法務局管轄分) 同上
取締役会議事録又は取締役決定書 取締役会議事録又は取締役決定書とは、社内の内部資料で、本店移転を決定する際の、取締役会会議における議事録
株主総会議事録(定款変更がある場合) 株主総会議事録とは、会社内部の書類で、定款変更を決定する際の、株主総会会議における議事録
株主リスト(株主総会議事録を添付する場合) 特別決議の決議条件が満たされているかを確認するために、添付する資料
委任状(旧法務局管轄分)
(代理人に手続きを依頼する場合)
委任状とは、代理人に本店移転の手続きを委任する場合に法務局に提出しなければならない書類
委任状(新法務局管轄分)
(代理人に手続きを依頼する場合)
同上
印鑑届書 新しく管轄となる法務局に改めて会社の印を届け出るための書類
印鑑カード交付申請書 新たに本店所在地の管轄法務局から印鑑カードの交付を受けるための申請書類
本店移転登記に関する書類や書き方については以下の記事も参考になるかと思います。

変更後の定款の本店所在地は「最小行政区画」までを定めておくと便利


上記で解説したように、管轄外移転の場合は、必ず定款変更の手続きをしなければなりませんが、管轄内移転であれば、定款の本店所在地を「最小行政区画」までで定めておくと、株主総会を開いて決議を取る必要がなくなります。そのため、本店移転時の手間を省くためにも、今後、定款の本店所在地を変更する場合は最小行政区画までで定めておくと、その後の移転が最小行政区画内への移転であれば定款の本店所在地を変更する必要がなくなり、手間を省くことができるのでおすすめです。

本店移転の登記申請に必要な書類や書類の書き方については、こちらの記事(本店移転の登記に必要な書類と書類の書き方を徹底解説)でも解説しております。本店移転の登記申請を行う際には、あわせて参考にしてください。

また、法人の本店移転(住所変更)を行なう際には本店移転の登記申請だけではなく、その他にも様々な役所へ本店移転を行なった旨を届け出る必要があります。本店移転の登記申請後に必要な手続きについては、以下の記事にて解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

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本店移転の登記申請後に必要な、社会保険などの労務手続きについて解説
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まとめ

会社の本店移転登記手続きは、期限が決まっており、2週間以内に登記手続きを行わなければなりません。しかし、本店移転により様々な事務処理も発生しますから、登記手続きに時間や手間をかけていられない場合も多いかと思います。また、代表取締役の住所変更と同時に本店移転が発生する場合もあるかと思います。このように、手続きが多岐にわたる場合もあるため、司法書士に依頼することも1つの手段ですが、自分で登記申請を行うよりもコストがかかってしまいます。
ひとつ一つの書類の作成や手続きは決して難しいものではありませんので、抜けや漏れがないよう確認しながら準備していけば滞りなく進められる業務です。
法務局へ相談することもできるので、コストをかけずに手続きをしたい人はぜひ自分で準備・申請を進めてみましょう。

本店移転を自分で行うメリットやデメリットについては、こちらの記事(本店移転の登記申請を自分で行うメリット・デメリットを解説)で解説しているので、自分で本店移転の登記申請を行おうと思っている方は、ぜひあわせてご覧ください。

提出必要書類の一覧

  • 本店移転登記申請書
  • 取締役会議事録又は取締役決定書
  • 株主総会議事録(定款変更がある場合)
  • 株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
  • 委任状(代理人に手続きを依頼する場合)
  • 印鑑届書(管轄外移転の場合)
  • 印鑑カード交付申請書(管轄外移転の場合)

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