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本店移転の登記申請後に必要な税務署への書類提出について解説

公開日:2023.09.09

更新日:2024.01.30

本店移転(会社住所変更・法人住所移転・会社の引っ越し)をした場合は、法務局にて、本店移転登記が必要となりますが、それで本店移転に関わる手続きが全て終わるわけではなく、その後、本店移転が完了したことを各公的機関に書類で届け出る必要があります。本記事では、本店移転登記後の税務署への届出について詳しく解説していきます。
税務署への届出以外の手続き(本店移転登記手続きのやり方など)は関連記事「会社・法人の本店移転登記(住所変更)とは?手続きや書類、自分で申請する方法を紹介」や「本店移転の手続き完全ガイド|失敗しないコツと申請方法を徹底解説」で解説されています。

本店移転登記をまず完了させましょう

「本店移転」とは、登記簿に記載された会社の本店住所を変更することをいいます。会社の本店所在地は法的な住所であり、会社が登記されている場所です。本店移転が必要になる場合は、例えば、新しいオフィスに本社を移す、別の地域に本社を設立する、または法人の所在地に変更が必要な場合等があります。
本店移転後には、様々な手続きが必要となりますが、まずは、法務局にて本店移転登記手続きを完了させましょう。なぜ最初にやるべきかといいますと、その他の公的機関への本店移転手続きの際に、「登記簿謄本(登記事項証明書のうち、履歴事項全部証明書)」の提出が必要となることが多いからです。「登記簿謄本(登記事項証明書のうち、履歴事項全部証明書)」とは、会社の商号や本店の所在地や資本金など、会社の基本情報が主に記載されている書類です。「登記簿謄本(登記事項証明書のうち、履歴事項全部証明書)」に記載されている本店の所在地が、新住所に変更されていることを持って、各公的機関に住所が変更したという証明をすることができます。ですから、最初に本店移転登記を済ませ、登記簿謄本(登記事項証明書のうち履歴事項全部証明書)を準備しておくことにより、税務署への手続きなど、その他の手続きをスムーズに進めることができます。

本店移転登記については、こちらの記事(法人の住所変更を行う際に必要な、本店移転登記の手続きや必要書類を解説します。)でも分かりやすく解説しています。まずは、本店移転登記について理解を深めていきましょう。合同会社の本店移転登記の手続きについては、こちらの記事(合同会社の本店移転登記の手続きについて、やり方や必要書類を解説)で解説しています。合同会社の方は、こちらの記事をご覧ください。

本店移転登記に必要な書類

法務局で行う本店移転登記に必要な書類は以下の通りです。
管轄内移転の場合の書類の一覧>
・本店移転登記申請書
・取締役会議事録又は取締役決定書
・株主総会議事録(定款変更がある場合)
・株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
・委任状(代理人に手続きを依頼する場合)
本店移転登記の手続きは、会社の本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。「管轄内移転」に該当するか「管轄外移転」に該当するかで必要な書類と費用が変わってきますので、本店移転登記申請の必要資料や費用を調べる前に、移転先住所を管轄している法務局を調べ、自身の会社の本店移転が、「管轄内移転」に該当するのか、「管轄外移転」に該当するのかについて、確認するようにしましょう。
本店移転登記の手続きのやり方については関連記事「【記載例まで解説!】本店移転登記に必要な書類の書き方について解説」やこちらの記事で紹介しております。
「管轄内移転」と「管轄外移転」の詳しい違いについては関連記事「本店移転における管轄内移転と管轄外移転の違いについてを解説」やこちらの記事でわかりやすく解説されています。
関連記事では以下のような記載例を用いながら書類の書き方を説明しております。
参考:<登記申請書の記載例>




本店移転登記の期限

会社法上、登記事項に変更が生じた場合は2週間以内に登記をしなければなりません(会社法第911条1項)。会社の登記事項に変更が生じたにも関わらず登記をせずに放置していると、代表者個人に対し100万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される場合があります。期限後でも手続きは受付してくれるため、期限が過ぎたら即罰則というわけではありません。ただし、期限経過時間が長引くほど罰則を受ける可能性が高くなります
本店移転登記は、準備を含めると数日かかる可能性があるため、オフィス引越し後はすぐに本店移転登記を済ませると覚えておきましょう。

本店移転登記を自分で行おうと思っている方は、以下の記事も事前にご覧ください。以下の記事では、本店移転の手続きを自分で行うメリットやデメリットについて、分かりやすく解説しています。
関連記事:「法人の本店移転登記を自分で行うメリット・デメリット

本店移転の登記後に必要な役所への届出

上記でお話したように、本店移転登記後は、各公的機関に本店移転実施した旨の届出を実施する必要があります。以下、必要な書類とその提出先です。
 
各書類の提出先一覧
提出先 書類
税務署 ・異動届出書
・給与支払事務所等の開設・移転廃止届出書
日本年金機構の事務センター (年金事務所) ・適用事業所名称所在地変更届
労働基準監督署 ・労働保険名称所在地等変更届
ハローワーク ・雇用保険事業主事業所各種変更届
都道府県税事務所 ・異動届出書(都道府県税事務所)
市町村 ・異動届

税務署への提出が必要な書類


今回は上記の届出のうち、本店移転登記後の「税務署への届出」について詳しく説明します。本店移転登記後の税務署への手続きには「異動事項に関する届出」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」の提出が必要です。
会社には法人税がかかるほか、会社から給料が払われる役員や従業員には所得税がかかります。そのため、会社の本店を移転したときには、「税務署」へ届け出なければなりません。
税務署では「異動事項に関する届出」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」を行います。
それぞれの必要書類の記載内容、提出先、期限について解説します。

【必須】異動届出書

異動届出書とは、法人が決算期を変更したり、資本金の額が異動したり、会社名の変更や代表者、納税地の変更等、すでに所轄税務署へ届出している内容に変更が生じた場合に提出する書類です。
このうち、本店移転は、納税地の変更に当たり、納税地とは、所轄税務署のことをいうのではなく、本店住所のことをいうため、本店移転の際は、必ず本書類を提出する必要があります。
必要書類の提出先は、本店移転前の管轄の税務署であり、期限は明確に設けられているわけではありませんが、「異動等後速やかに」手続きを進める旨が記載されています。
参照:国税庁「[手続名]異動事項に関する届出」
会社の本店所在地の管轄している税務局を調べるには、国税庁のホームページを用いましょう。
出典:国税庁「税務署の所在地などを知りたい方」
また、書類のフォーマットは国税庁のHPからダウンロードできます。
書類の中に、異動年月日を書く欄がありますが、ここは、本店移転について決議した会議体の決定事項に基づいて記載しましょう。


<取締役会及び取締役が、本店移転の異動日を決定した場合>


<株主総会で、本店移転の異動日を決定した場合>

 

【必須】給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」とは、給与の支払者が、国内において給与等の支払事務を取り扱う事務所等を開設、移転又は廃止した場合に、その旨を管轄の税務署長に対して届け出るための書類です。書類のフォーマットは国税庁のHPからダウンロードできます。
書類の提出先は、本店移転前の管轄税務署であり、期限は「開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内」と記載されてはいますが、提出先は上記の「異動届出書」と同様であるため、手間を省くためにも同時に準備して提出するようにしましょう。
以上の書類の書き方解説を踏まえて、税務署への提出書類についてまとめると以下のようになります。税務署への書類についてこちらの記事でもわかりやすく解説されていますので、参考になるかと思います。

<取締役会及び取締役が、本店移転の異動日を決定した場合>


<株主総会で、本店移転の異動日を決定した場合>


 
税務署への提出書類一覧
提出書類 提出先 提出期限 添付書類
異動届出書 異動前の納税地の所轄税務署長 異動等後速やかに 不要
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出 移転前の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署 開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内 不要


税務署以外に提出が必要な書類


続いて、本店移転の際に、税務署以外に提出が必要な書類について、それぞれの提出先・書類名・期限についてまとめました。詳細な各書類についての記載例は、別の記事にて紹介しています。
これらの書類の多くには、添付資料として、「本店移転が反映された登記簿謄本(登記事項証明書のうち、履歴事項全部証明書)」もしくは、本店移転登記の反映が未了の場合は、本店住所についての「賃貸借契約書」等を添付する必要があります。本店移転登記の反映には、1〜2週間かかると言われていますので、本店移転登記の反映が未了の場合は、「賃貸借契約書」で代用可能であることを覚えておきましょう。

登記簿謄本の取得については、こちらの記事(本店移転登記に必要な登記簿謄本の取得手続きについて解説)で解説しています。あわせて参考にしてください。
各書類の提出先と期限
提出先 書類名 期限
日本年金機構の事務センター (年金事務所) ・適用事業所名称所在地変更届 登記終了後、速やかに
労働基準監督署 ・労働保険名称所在地等変更届 登記終了後、速やかに
ハローワーク ・雇用保険事業主事業所各種変更届 登記終了後、速やかに
都道府県税事務所 ・異動届出書(都道府県税事務所) 登記終了後、速やかに
市町村 ・異動届 登記終了後、速やかに


本店移転登記を行った後に必要な手続きについては、以下の記事でも解説しています。本店移転の登記申請後に行うべき、社会保険や法人地方税に関する手続きについては、以下の記事をご覧ください。

関連記事
本店移転の登記申請後に必要な、社会保険などの労務手続きを解説
本店移転登記を行なった後に必要な法人地方税に関する手続きについて解説
  

税務署へ書類を提出する場合にかかる費用


今までは、本店移転登記後、税務署へ提出する書類について、なぜその書類を提出しなければならないのか、及び書類の書き方について解説してきました。続いて、税務署へ書類を提出する場合にかかる費用について解説していきます。

自分で税務署への書類を作成する場合

最初にお伝えすると、税務署への書類には、登録免許税などはかかりません。また、添付書類等も必要とならないため、登記簿謄本の取得の必要性もありません。(他の公的機関の提出資料の中には登記簿謄本の添付を求められるものもあります。)
そのため、自分で税務署への書類を作成する場合は、基本お金はかからず、書類を提出する際の、現地までの交通費、または、郵送費のみとなります。

専門家に税務署への書類作成を依頼する場合

専門家に税務署への書類作成を依頼する場合は、自分で税務署への書類を作成する場合にかかる、現地までの交通費、または、郵送費と合わせて、専門家への報酬の支払いが必要となります。税務署への書類の提出は基本的には税理士に依頼することになります。税理士顧問料の相場は月額3万円です。
 

まとめ


本記事では、本店移転後の税務署への届出について詳しく解説していきました。本店移転手続きは、自分でやろうとすると、本店移転登記だけでも、情報を収集したりとかなりの時間と労力を要するものかもしれません。さらに、やっとの思いで、本店移転登記手続きが完了しても、付随して、様々な事務処理が発生するのです。そのため、司法書士に依頼することも1つの手段ですが、自分で登記申請を行うよりも大幅にコストがかかってしまいます。
ひとつ一つの書類の作成や手続きは決して難しいものではありませんので、本サイトの記載例や、手続きの流れを確認しながら、抜けや漏れがないよう確認しながら準備していけば滞りなく進められる業務です。
さらに、悩んだ場合は法務局や税務署へ相談することもできるので、コストをかけずに手続きをしたい人はぜひ自分で準備・申請を進めてみましょう。
参照:法務局「登記手続のご案内」
参照:税務署「税についての相談窓口」

提出必要書類の一覧

  • 異動届出書
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

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