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本店移転登記を自分でやる場合のメリット・デメリットと費用を解説

公開日:2023.09.30

更新日:2024.07.20

本店移転(会社住所変更・法人住所移転・会社事務所の引っ越し)をした場合は、法務局にて、本店移転登記が必要となります。法務局へ提出する申請書類の作成は自分で行うほか、司法書士に依頼することもできます。
本記事では本店移転登記を自分でやる場合のメリット・デメリットとその費用について解説します。

本店移転登記とは?

「本店移転」とは、登記簿に記載された会社の本店住所を変更することをいいます。会社の本店所在地は法的な住所であり、会社が登記されている場所です。本店移転が必要になる場合は、例えば、新しい事務所に本社を移す、別の地域に本社を設立する、または法人の所在地に変更が必要な場合等があります。
個人で引越しをした際に住民票の変更を役所に申請するように、法人が本店をいた際には登記上の本店所在地の変更を法務局に申請する手続きが必要となります。これを「本店移転登記」といいます。
本店の定義について詳しく解説しているサイトもありますので詳しく知りたい方はご覧ください。そのほか以下のサイトが参考になるかと思います。
法人登記の住所変更マニュアル!法務局へ提出する必要書類と費用は?
法人の住所変更に伴う手続き|必要書類から申請期限まで詳しく解説【司法書士監修】


個人の住所は住民票に記録されています。ですから個人が住所を変更した場合には、住民票に記録されている住所に変更が生じるため、役所へ届け出る必要があります。これと同様に、会社の本店所在地も登記簿と言われるものに記録されています。登記簿は、事業者が会社の設立登記をした場合に、法務局により作成され、1社ごとの会社の基本情報が管理されるようになります。この基本情報には例えば「本店住所」「資本金」「役員の氏名」などがあり、必ず登記しなければならない事項となっています。つまり、この登記簿に記載されている情報である「本店住所」に変更が生じた場合、法務局に変更の届出が必要となるのです。
この届出は自分で行うことができるほか、司法書士に依頼することも可能です。
この記事では本店移転登記を自分でやる方に向けて、自分でやる場合のメリット・デメリットと自分で本店移転登記をするときの手続きのやり方を解説しています。また、自分で本店移転登記する場合と、自分ではやらずに本店移転登記を専門家に依頼する場合の費用の違いについて解説しています。自分で本店移転登記手続きをやるか、それとも自分ではやらずに専門家に依頼するか迷われている方にも参考になるかと思います。
本店移転登記に関する全体像は関連記事「法人の本店移転登記(住所変更)とは?手続きや書類、自分で申請するやり方を紹介」など本店移転の手続きの一連を解説している記事で紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
また、自分で本店移転登記を進める場合には関連記事「【記載例まで解説!】本店移転登記に必要な書類の書き方について解説」のような、本店移転登記の手続きを分かりやすく解説している記事も参考になるかと思います。

本店移転登記を自分でやる場合の注意点

税理士_依頼_おすすめの注意点

本店移転登記には期日があり、遅れると罰則を受ける可能性があります。自分で本店移転登記手続きを行う場合には忘れずに行いましょう。

本店移転登記に必要な書類と費用


本店移転登記の手続きは、会社の本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。移転前と同じ法務局の管轄内に本店を移転する(管轄内移転)か、移転前と異なる法務局の管轄に移転する(管轄外移転)かで必要な書類と費用が変わってきますので、本店移転登記手続きのやり方や必要書類、費用を自分で調べる前に、移転先住所を管轄している法務局を自分で調べ、自分の会社の本店移転が、「管轄内移転」に該当するのか、「管轄外移転」に該当するのかについて確認するようにしましょう。
「管轄内移転」と「管轄外移転」の違いについては関連記事「本店移転における管轄内移転と管轄外移転の違いについてを解説」など「管轄内移転」と「管轄外移転」の違いを紹介している記事で解説しておりますのであわせてご覧ください。
 

本店移転登記と管轄に関するおすすめサイト

税理士_依頼_おすすめの記事

管轄内移転」に該当するか「管轄外移転」に該当するかは自分で調べることができますので、詳細については以下のサイトを参照してください。
出典:法務局「管轄のご案内」 

管轄内での本店移転登記に必要な書類と費用

本店移転登記申請に必要な書類

管轄内移転の本店移転登記申請を自分で行う場合には、以下の書類を自分で作成する必要があります。
  • ・本店移転登記申請書
  • ・取締役会議事録又は取締役決定書
  • ・株主総会議事録(定款変更がある場合)
  • ・株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
これらの書類は法務局のサイト「商業・法人登記の申請書様式」にて自分でダウンロードすることができますので、自分で法務局に出向いて取得するなどといったことは必要ありません。
こちらの書類の実際の書き方や手続きのやり方は関連記事「【記載例まで解説!】本店移転登記に必要な書類の書き方について解説」など管轄内移転の手続きの流れを解説している記事でも詳しく解説しています。以下のような記載例を交えながら各書類の書き方を詳しく解説しておりますので、自分で手続きを行う場合にはぜひご覧ください。


また、自分では手続きをやらずに司法書士に手続きの依頼をする場合には上記の書類の他に「委任状」という書類が必要です。「委任状」は役所指定のフォーマットはないので自分で自由な形式で作成して問題ありません。
参考:委任状の例 (法務局:商業・法人登記の申請書様式

本店移転登記にかかる費用

本店移転登記を自分でやる場合でもあっても、3万円の登録免許税がかかります。
また、この他にかかる費用としては、登記申請書を郵送で法務局に提出する場合の郵送費用が挙げられます。
もし、自分で本店移転登記をやらずに司法書士に依頼する場合には、上記の費用に加えて司法書士に支払う報酬がかかります。司法書士報酬の相場は後述しますが、目安としては3万円程度です。

管轄外での本店移転登記に必要な書類と費用

本店移転登記記申請に必要な書類

管轄外移転の本店移転登記申請を自分で行う場合には、以下の書類を自分で作成する必要があります。
  • ・本店移転登記申請書(旧法務局管轄分)
  • ・本店移転登記申請書(新法務局管轄分)
  • ・取締役会議事録又は取締役決定書
  • ・株主総会議事録(定款変更がある場合)
  • ・株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
  • ・印鑑届書
  • ・印鑑カード交付申請書


これらの書類は法務局のサイト「商業・法人登記の申請書様式」自分でダウンロードすることができますので、自分で法務局に出向いて取得するなどといったことは必要ありません。
書類の書き方や手続きのやり方は関連記事「【記載例まで解説!】本店移転登記に必要な書類の書き方について解説」で解説しています。
上記の関連記事では本店移転登記を自分で完結できるよう、書類ごとに以下のような記載例を用いて書き方を説明しています。自分で本店移転登記手続きを進める予定の方はぜひご覧ください。

また、この記事でご紹介している本店移転登記手続きは「株式会社」を前提に解説をしていますので、合同会社の方はこちらの記事(合同会社の本店移転登記に必要な書類とその書き方について)を参考にしてください。



また、以下の記事も参考になるかと思います。
本店移転登記の必要書類は?管轄内・外での違いや記入例も紹介
法人(会社)を住所変更する手続きは?本店移転登記の必要書類も解説

自分では手続きをやらずに司法書士に手続きの依頼をする場合には上記の書類の他に「委任状」という書類が必要です。「委任状」は役所指定のフォーマットはないので自分で自由な形式で作成して問題ありません。
参考:委任状の例 (法務局:商業・法人登記の申請書様式

本店移転登記にかかる費用

本店移転登記を自分でやる場合でもあっても、6万円の登録免許税がかかります。
管轄外移転の場合には、旧法務局提出分、新法務局提出分の本店移転登記申請書にそれぞれ30,000円分の収入印紙を貼付する必要があります。
また、この他にかかる費用としては、登記申請書を郵送で法務局に提出する場合の郵送費用が挙げられます。
もし、自分で本店移転登記をやらずに司法書士に依頼する場合には、上記の費用に加えて司法書士に支払う報酬がかかります。司法書士報酬の相場は後述しますが、目安としては5万円程度です。

本店移転登記申請を自分でやることは可能?


本店移転登記の手続きは高度な専門的知識がそれほど必要な登記ではないため、自分で手続きのやり方をインターネットで調べ、時間を掛ければ自分で行うことは可能です。
しかし、本店移転登記手続きを自分で行う場合には複雑な作業に戸惑うことは間違いありません。管轄外への移転の場合は管轄内よりも時間がかかる可能性が高く、人によっては、自分で進めた場合2、3日かかることもあるので期限には十分に注意しなければいけません。
本店移転登記の手続きは自分で手順を把握し、必要な添付書類一式を自分で揃え、管轄する法務局の審査を受け、不備なく通す必要があります。本店移転登記申請書はどのように記載すればいいのか、収入印紙はいくらなのか、どこの法務局に提出するのか、申請書以外に必要な書類は何か、どの書類に何の押印が必要か、これらの必要書類などの情報は自分でインターネットでも調べることは可能ですが、自分で調べるとなると非常に膨大な情報となり、本店移転の手続きだけでも正確な知識を身に付けるのは困難です。
時間を掛けて調べても法務局の訂正指示があれば、資料を返送してもらう、もしくは自分で法務局に出向いて、修正する必要があります。
また本店移転登記の知識を身に着けたとしても、会社の事業を進めていく上ではあまり役立つことはありません。
ですから、どのタイミングで登記が必要かを把握しておく程度の知識があれば、それ以上に詳しくなる必要はないと言えます。自分で行うことは可能と言っても、必要以上に本店移転登記手続きに手間や時間がとられ本業に支障が出ては本末転倒ですから、これらを踏まえた上で手続きのやり方を検討する必要があります。
 

本店移転登記を自分でやる場合のポイント!

税理士_依頼_おすすめのポイント

本店移転登記を自分でやることは可能ではありますが、本店移転登記に必要な書類を自分で揃えたり、必要な手続きを自分で調べて誤りなく書類を作成する必要があります。

本店移転(法人住所変更)登記を自分で申請するための必要書類とテンプレート・記入例
​​​​​​自分で出来る!本店移転手続きマニュアル

自分で本店移転登記を行う場合のメリット・デメリット

自分で本店移転登記を行う場合のメリット

✔︎ 費用を削減できる
自分で登記手続きをする場合、支払う費用は登録免許税と郵送費用(もしくは法務局までの交通費)のみとなり、司法書士に支払う報酬は発生しませんので、費用を抑えることができます。申請内容自体に質や量を左右する要素はありませんので、同じ内容であれば費用を抑えることができるというのが最大のメリットと言えます。

自分で本店移転登記を行う場合のデメリット

✔︎ 費用削減できるといっても頻繁に必要な手続きではない
オフィス移転が頻繁に発生することはあまりないため、本店移転登記は頻繁発生する手続きではありません。

✔︎ 手続きや手順の理解に時間を割く必要がある
自分でインターネットで手順を調べるところから始まり、人によっては本店移転登記の手続きに2、3日程の時間を割かれることもあるかと思います。必要書類は本店移転登記申請書以外にも複数ありますし、必ずしも記載内容も決まった雛型(フォーマット)や様式があるわけではありません。社内での決議等も行う必要がある一方で、法務局とのやり取りもしなければならず、手続きの流れを自分で正確に把握するだけでも想像以上に複雑な作業となります。

✔︎ 郵送だけで完了できず、法務局に出向くケースもある
法務局の審査は厳しいため、司法書士でも必要書類の不備で補正を受けることがあります。補正とは法務局による書類審査上で不備があった場合の通知です。補正通知があった場合は、内容によっては自分で法務局に出向いて書類の内容を訂正する必要が出てきます。

✔︎ 詳しく調べても本業には役立たない
経営者が自分で本店移転登記手続きを行ったとしても、その後の本業ではほとんど使わない知識ばかりです。そのため自分で苦労して調べ、雛型や様式などを作成しても必ずしも今後に役立つとは限りません。

上記からわかるように、費用を抑える代わりに発生する手間をどうするか?ということがポイントです。この手間の大きさや自分で本当にできるのかと、不安に思う方は、まるごと司法書士にお願いするというのは合理的なやり方かと思います。
本店移転を自分でやる場合のメリット・デメリットを紹介している記事は他にもありますので、参考にしながら自社の状況にあった選択をして手続きを終わらせましょう。
自分で本店移転登記の手続きを行う場合には以下の記事も参考になるかと思います。
本店移転登記の手続きを自分で行う方法(株式会社の場合)
また、合同会社の本店移転登記を自分で行う場合には以下の記事が参考になるかと思います。
合同会社の本店移転登記を自分で行う方法

本店移転登記申請を専門家(司法書士)に依頼する場合

司法書士に本店移転登記を依頼したときの報酬額は、3~5万円程度が相場です。この金額は、本店移転先が法務局の管轄区域内か管轄区域外かによって、変わってきます。
日本司法書士会連合会が公表している「司法書士の報酬アンケート(2018年1月実施)」の結果によれば、法務局の管轄区域外への本店移転登記の報酬額の全体平均値は47,466円(関東地区)となっています。

出典:日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」
司法書士報酬の相場(参考)
本店移転先 金額(参考)
法務局の管轄が同じ住所(管轄区域内) 6万円
(司法書士への報酬3万円+登録免許税3万円)
法務局の管轄が異なる住所(管轄区域外) 10万7000円
(司法書士への報酬4万7000円+登録免許税6万円)


本店移転を司法書士に依頼する場合の費用を解説している記事もありますので、詳しく知りたい方はご覧ください。
 

まとめ

会社の本店を移転したら、2週間以内に本店移転登記の手続きを行わなければなりません。これまで解説してきたように、本店移転登記の手続きが発生したら、自分で管轄内移転か管轄外移転を調べ、必要書類の準備から作成までを自分で行う必要があります。
これらをすべて自分で行うことで、費用を抑えることができる反面、時間がかかってしまって本業に支障が出てしまう可能性もあります。他方、司法書士に依頼する場合には自分でやる場合に比べて時間は短縮できるものの費用がかかってしまうという側面があります。
自身の会社の状況に合わせて最適な方法で本店移転登記の手続きを完了させるようにしましょう。
また、本店移転を行った場合には、本店移転登記申請だけでなく、税務署など他の役所にも書類を提出する必要があります。
本店移転登記後の手続きについては、以下の記事で解説しています。
関連記事
本店移転の登記申請後に必要な税務署への書類提出について解説
本店移転登記後に必要な社会保険などの労務手続きについて解説します
本店移転の登記申請後に行うべき手続きをまとめて解説
本店移転登記後の、法人地方税に必要な手続きのやり方について

ここまでお読みいただきありがとうございました。

IDEMAE編集部

最近では実際にオフィスを構えて法人登記を行うのではなく、住所や電話番号のサービスを提供するオフィス形態であるバーチャルオフィスで法人登記を行うケースも増えてきています。特に創業初期のスタートアップ企業ではバーチャルオフィスを利用することでコストを抑えることができるというメリットもあります。
バーチャルオフィスでの法人登記もおすすめの選択肢ですので、ぜひご検討ください。

 

参照:法務局「登記手続のご案内」
参照:税務署「税についての相談窓口」

提出必要書類の一覧

  • 本店移転登記申請書
  • 取締役会議事録又は取締役決定書
  • 株主総会議事録(定款変更がある場合)
  • 株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)

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