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本店移転登記の必要書類の書き方について解説
公開日:2023.09.08
更新日:2024.01.30
本記事では、本店移転(会社住所変更・法人住所移転・会社の引っ越し)を行った際に法務局に申請が必要となる本店移転登記申請の必要書類の具体的な書き方、書く際の注意点等を中心に解説します。管轄内移転か管轄外移転かによって必要書類や費用が変わりますので、これから本店移転(会社住所変更)を予定している方は参考にして下さい。本店移転登記の書類の提出先や、費用などが知りたい方はこちらの記事も合わせてご確認ください
本店移転とは?
こちらの記事(法人の本店移転とは?本店移転に必要な手続きや申請について)でも法人の本店移転について詳しく解説していますが、「本店の移転」とは、登記簿に記載された会社の本店住所を変更することをいいます。会社の本店所在地は法的な住所であり、会社が登記されている場所です。本店移転登記が必要になる場合は、例えば、新しいオフィスに本社を移す、別の地域に本社を設立する、または法人の所在地に変更が必要な場合等があります。個人で引っ越した際に住民票の変更を役所に届け出るように、本店を移転した際には登記上の本店所在地を変更する手続きが必要となります。また、飲食業や小売業などで働いている方は「本店」「支店」という言葉に馴染みがあるか思いますが、一般的な事業会社では「会社」「支社」と呼ばれることが多いので、「本店」という言葉に馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。ただ、呼び名が異なるだけであり、意味合いは同じです。
個人の住所は住民票に記録されています。ですから個人が住所を変更した場合には、住民票に記録されている住所に変更が生じるため、役所へ変更届を行う必要があります。これと同様に、会社の本店所在地も登記簿と言われるものに記録されています。登記簿は、事業者が会社の設立登記をした場合に、法務局により作成され、一社ごとの会社の基本情報が管理されるようになります。この基本情報には例えば「商号」や「本店住所」「資本金」「役員の氏名」などがあり、必ず登記する事項となっています。つまり、この登記簿に記載されている情報である「本店住所」に変更が生じた場合、法務局に本店移転登記が必要となるのです。
この記事では本店移転の登記申請手続きのやり方や、必要書類の作成方法について解説しておりますが、登記以外にも手続きが必要です。関連記事「本店移転の登記申請後の手続きとそのやり方について解説します」やこちらの記事で解説しておりますので、合わせてご確認ください。
本店移転には管轄内移転と管轄外移転がある
本店移転登記の手続きは、会社の本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。この管轄は例えば本店が千代田区内なら、東京法務局(本局)、渋谷区内であれば渋谷出張所のように分けられていますので適切な管轄を調べる必要があります。移転前の管轄と、移転後の管轄が同じかそうでないかによって、本店移転登記の種類は、管轄内移転と管轄外移転に分けられます。それぞれの説明は以下の通りです。
出典:法務省:商業・法人登記 Q&A 「会社の本店を移転するにはどこに登記申請をすればよいのですか?」
管轄内移転
移転前の会社を管轄していた法務局の管轄エリア内で移転を行う場合は管轄内移転となります。例えば元のオフィスが渋谷で新オフィスも渋谷の場合、元のオフィスと新オフィスを管轄する法務局は同じ(渋谷=東京法務局渋谷出張所)となるので、このような場合は管轄内移転となります。管轄外移転
移転前の会社を管轄していた法務局の管轄エリア外への移転を行う場合は管轄外移転となります。例えば、元のオフィスが渋谷で新オフィスが池袋の場合、元のオフィスと新オフィスを管轄する法務局が異なる(渋谷=東京法務局渋谷出張所、池袋=東京法務局豊島出張所)ので、このような場合は管轄外移転となります。管轄内移転か管轄外移転かを確認しましょう
本店移転登記の手続きは、会社の本店所在地を管轄する法務局で行う必要があります。「管轄内移転」に該当するか「管轄外移転」に該当するかで必要書類と費用が変わってきますので、本店移転登記申請の必要書類や費用を調べる前に、移転先住所を管轄している法務局を調べ、自身の会社の本店移転が、「管轄内移転」に該当するのか、「管轄外移転」に該当するのかについて、確認するようにしましょう。会社の本店所在地の管轄している法務局を調べるには、法務局のホームページ、もしくは、株式会社SoVaの会社移転の管轄判定ツールを用いましょう。出典:法務局「管轄のご案内」
出典:株式会社SoVa「会社移転の管轄判定」
管轄内移転と管轄外移転の違いについては、関連記事「本店移転における管轄内移転と管轄外移転の違いについてを解説」でも解説しています。
本店移転登記の必要書類とその書き方
上記でお話したように、管轄内移転か管轄外移転かによって、準備すべき必要書類やその必要書類の書き方が異なってきますので、移転先住所を管轄している法務局を調べ、ご自身の本店移転が、どちらに該当するかを把握した上で、以下の書類を準備していきましょう。また、この記事では「株式会社」が本店移転を行う際の必要書類について解説をします。合同会社が本店移転を行う際に必要な書類は、以下の記事で解説しています。参考にしてください。関連記事:「合同会社が本店移転を行う際に必要な書類について解説します」
管轄内移転の場合の必要書類
<管轄内移転時の提出必要書類の一覧>・本店移転登記申請書
・取締役会議事録又は取締役決定書
・株主総会議事録(定款変更がある場合)
・株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
・委任状(代理人に手続きを依頼する場合)
各書類がなぜ必要になるのか、書き方とともに紹介します。
書き方を紹介している記載例には、記載する際の注意事項も書かれているため、ご安心ください。
【必須】本店移転登記申請書とその書き方を紹介
本店移転登記申請書とは、法務局への本店移転の登記申請の際の必要書類です。この書類には会社名や登記変更事項の記入及び収入印紙の貼付等を行います。
必要書類のフォーマットは法務局のHPにてダウンロードすることができます。
出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
【必須】取締役会議事録又は取締役決定書とその書き方を紹介
取締役会議事録又は取締役決定書とは、社内の内部資料で、本店移転を決定する際の、取締役会会議における議事録のことです。(取締役会が設置されていない場合は、取締役決定書という書類になります)この書類に決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うか以下の書き方を参考に作成しましょう。
<取締役会を設置している場合>
<取締役会を設置していない場合>
【該当有の場合】株主総会議事録(定款変更がある場合に必要)とその書き方を紹介
株主総会議事録とは、会社内部の書類で、定款変更を決定する際の、株主総会における議事録のことです。つまり、株主総会議事録の添付が必要な場合とは、定款変更がある時です。会社法上、会社の本店所在地は定款の必須記載事項とされており、定款の変更をともなう決定は特則を除き、必ず株主総会の決議に従う必要があります。なお定款に記載する、本店所在地は最小行政区画(市町村・東京23区)までが必須とされているため、ここに変更が生じる場合は、株主総会決議に従う必要があります。つまり、元の所在地が「東京都渋谷区神南1丁目1番1号」のように、町名や番地まで具体的に記載されている場合は、必ず定款の変更が必要となり、株主総会で議決を行います。一方で、本店の所在地が「東京都渋谷区」などのように、最小行政区画(市町村・東京23区)までしか定款に記載されておらず、かつ同じ最小行政区域内に移転する場合は、定款の変更を行う必要はありません。定款は、基本的なルールのため、その内容は取締役(取締役会)の一存で変更はできないこととされています。
株主総会議事録に決まったフォーマットはないため、社内の規定に従って作成しましょう。
【該当有の場合】株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)とその書き方を紹介
定款を変更する場合の株主総会は、特別決議というものに基づいて決議されます。特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で行う決議になります。特別決議の決議条件が満たされているかを確認するために、株主リストを合わせて提出する必要があります。株主リストに決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うか以下の書き方を参考に作成しましょう。
【該当有の場合】委任状(代理人に手続を委任する場合)とその書き方を紹介
委任状とは、代理人に本店移転登記の手続きを委任する場合に法務局に提出しなければならない必要書類です。委任状に決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うか以下の書き方を参考に作成しましょう。
参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
管轄内移転の場合の必要書類や手続きについては「同一管轄内へ本店移転をする際の定款変更と本店移転登記」でもわかりやすく紹介されています。
管轄外移転の場合に必要書類
<管轄外移転時の提出必要書類の一覧>
・本店移転登記申請書(旧法務局管轄分)・本店移転登記申請書(新法務局管轄分)
・取締役会議事録又は取締役決定書
・株主総会議事録(定款変更がある場合)
・株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
・委任状(旧法務局管轄分)(代理人に手続きを依頼する場合)
・委任状(新法務局管轄分)(代理人に手続きを依頼する場合)
・印鑑届書
・印鑑カード交付申請書
管轄内本店移転の場合は通常の登記手続きと変わりませんが、管轄外本店移転の場合では、旧管轄と新管轄の登記所双方へ申請を行う必要があります。ただし、双方へ申請を行う必要があるといってもそれぞれに出向く必要はなく、それぞれの本店移転登記申請書を作成し、便宜上、旧管轄へ提出し審査を受ければよいこととなっています。
各資料がなぜ必要になるのか、実際の記載例とともに紹介します。
記載例には、記載する際の注意事項も書かれているため、ご安心ください。
【必須】本店移転登記申請書(旧法務局管轄分)とその書き方を紹介
本店移転登記申請書とは、法務局への本店移転登記申請の際に必要となる申請書です。会社名や登記変更事項、収入印紙の貼付等を行います。
旧法務局提出分については、管轄内移転の場合の本店移転登記申請書と同様となります。
フォーマットは法務局のHPにてダウンロードすることができます。
出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
【必須】本店移転登記申請書(新法務局管轄分)とその書き方を紹介
本店移転登記申請書とは、法務局への本店移転登記申請の際の必要書類です。会社名や登記変更事項、収入印紙の貼付等を行います。
書類の記載内容としては、ほとんど旧法務局管轄分と同様です。宛先の記載だけ異なる点について気をつけましょう。
この必要書類のフォーマットは法務局のHPにてダウンロードすることができます。
出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
【必須】取締役会議事録又は取締役決定書とその書き方を紹介
取締約会議事録又は取締役決定書とは、社内の内部資料で、本店移転を決定する際の、取締役会における議事録のことです。(取締役会が設置されていない場合は、取締役決定書という書類になります。)この必要書類に決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うか以下の書き方を参考に作成しましょう。
<取締役会を設置している場合>
<取締役会を設置していない場合>
【該当有の場合】株主総会議事録(定款変更がある場合に必要)とその書き方を紹介
株主総会議事録とは、会社内部の書類で、定款変更を決定する際の、株主総会における議事録のことです。つまり、株主総会議事録の添付が必要な場合とは、定款変更がある時です。会社法上、会社の本店所在地は定款の必須記載事項とされており、定款の変更をともなう決定は特則を除き、必ず株主総会の決議に従う必要があります。なお定款に記載する、本店所在地は最小行政区画(市町村・東京23区)までが必須とされているため、ここに変更が生じる場合は、株主総会決議に従う必要があります。つまり、元の所在地が「東京都渋谷区神南1丁目1番1号」のように、町名や番地まで具体的に記載されている場合は、必ず定款の変更が必要となり、株主総会で議決を行います。一方で、本店の所在地が「東京都渋谷区」などのように、最小行政区画(市町村・東京23区)までしか定款に記載されておらず、かつ同じ最小行政区域内に移転する場合は、定款の変更を行う必要はありません。定款は、基本的なルールのため、その内容は取締役(取締役会)の一存で変更はできないこととされています。
株主総会議事録に決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うなどして作成しましょう。
【該当有の場合】株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)とその書き方を紹介
定款を変更する場合の株主総会は、特別決議というものに基づいて決議されます。特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で行う決議になります。特別決議の決議条件が満たされているかを確認するために、株主リストを合わせて提出する必要があります。株主リストに決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うか以下の書き方を参考に作成しましょう。
【該当有の場合】委任状(旧法務局管轄分)(代理人に手続を委任する場合)とその書き方を紹介
委任状とは、代理人に本店移転登記の手続きを委任する場合に法務局に提出しなければならない書類です。委任状に決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うか以下の書き方を参考に作成しましょう。参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
【該当有の場合】委任状(新法務局管轄分)(代理人に手続を委任する場合)とその書き方を紹介
委任状とは、代理人に本店移転登記の手続きを委任する場合に法務局に提出しなければならない必要書類です。委任状に決まったフォーマットはないため、社内の規定に従うか以下の書き方を参考に作成しましょう。参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
印鑑届書とその書き方を紹介
管轄区域外に本店を移転すると、それまで印鑑届出をしていた法務局と、移転後に管轄する法務局が異なるため、新しく管轄となる法務局に改めて会社の印を届け出る必要があります。この際の必要書類は印鑑届書です。本店移転の際に印鑑届出書が必要となるケースについては、こちらの記事(本店移転の登記手続きを行なう際に印鑑届出書が必要となるケース)でも解説しているので、あわせて参考にしてください。
印鑑カード交付申請書とその書き方を紹介
管轄外移転時には今まで利用していた印鑑カードは使えなくなるため、新たに本店所在地の管轄法務局から印鑑カードの交付を受けなければなりません。本店移転登記が完了した後に交付申請をしても問題ありませんが、登記申請の際に合わせて印鑑カード交付申請書を提出しておくと、手間が省けます。
まとめ
会社の本店を移転したら、2週間以内に登記手続きを行わなければなりません。しかし、本店移転により様々な事務処理も発生しますから、本店移転登記手続きに時間や手間をかけていられない場合も多いかと思います。そのため、司法書士に依頼することも1つの手段ですが、自分で登記申請を行うよりもコストがかかってしまいます。ひとつ一つの必要書類の作成や手続きは決して難しいものではありませんので、抜けや漏れがないよう確認しながら準備していけば滞りなく進められる業務です。
法務局へ相談することもできるので、コストをかけずに手続きをしたい人はぜひ自分で準備・申請を進めてみましょう。本店移転登記を自分で行うメリットやデメリットについては、こちらの記事(本店移転登記を自分で行うメリット・デメリット)でもまとめていますので、あわせて参考にしてください。
また、本店移転を行なった際には登記手続きだけでなく、登記手続き後にもいくつかの役所へ届出を行う必要があります。届出が必要な役所別に以下の記事で解説しているので、本店移転を行う方はあわせてご覧ください。
関連記事
「本店移転の登記申請後に必要な税務署への提出書類について解説」
「本店移転登記後に行う社会保険などの労務手続きを分かりやすく解説します」
「本店移転の登記申請後に行うべき、法人地方税に関する手続きややり方について解説」
提出必要書類の一覧
- 本店移転登記申請書(旧法務局管轄分)
- 本店移転登記申請書(新法務局管轄分)
- 取締役会議事録又は取締役決定書
- 株主総会議事録(定款変更がある場合)
- 株主リスト(株主総会議事録を添付する場合)
- 委任状(旧法務局管轄分)(代理人に手続きを依頼する場合)
- 委任状(新法務局管轄分)(代理人に手続きを依頼する場合)
- 印鑑届書
- 印鑑カード交付申請書
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