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本店移転の登記手続きで印鑑届出書が必要となるケースについて解説
公開日:2023.11.23
更新日:2024.01.30
本店移転(会社の住所変更)を行う際には、場合によって印鑑届出書の提出が必要となるケースがあります。
この記事では、本店移転の登記手続きを行う際に「印鑑届出書」の提出が必要となるケースについて解説していきます。
また、印鑑届出書の提出が必要となるケースの他にも、本店移転の登記手続きを行う際に必要な書類や注意点も解説しています。
これから本店移転の登記手続きを控えている方は、ぜひ参考にしてください。
本店移転には管轄内移転と管轄外移転がある
まず、本店移転を行う際には2つの種類があることを理解しておきましょう。
本店移転には、「管轄内の本店移転」と「管轄外の本店移転」があります。それぞれの本店移転について詳しく解説していきます。
そもそもの本店移転の概要や、本店移転の際に必要な手続きや進め方については以下の記事をご覧ください。
参考記事:「法人の住所が変わる際に必要な本店移転登記とは?手続きややり方について解説します」
管轄内移転と管轄外移転の違いとは
管轄内の本店移転と管轄外の本店移転の違いは、本店移転の前後で管轄の法務局が変わるのかによって判断します。
本店移転前後で管轄の法務局が変わらない場合は「管轄内の本店移転」となり、本店移転前後で管轄の法務局が変わる場合は「管轄外の本店移転」となります。
都道府県をまたぐ本店移転(例:埼玉県から東京都へ本店移転を行う)の場合は、管轄の法務局は必ず変わるため「管轄外の本店移転」となりますが、東京都内においても区が変われば管轄の法務局が変わる場合もあります。
そのため、本店移転を行う場合には、本店移転前後で管轄の法務局が変わるかを確認しておく必要があることを把握しておきましょう。
本店移転の管轄内移転と管轄外移転については、こちらの記事(本店移転の管轄内と管轄外の違いについて解説します)で解説しております。管轄内の本店移転と管轄外の本店移転の違いについて詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。
管轄内の本店移転と、管轄外の本店移転それぞれに必要な書類については、以下の記事でも詳しく解説されています。
参考記事:「管轄内の本店移転と管轄外の本店移転の登記申請に必要な手続き」
管轄内移転と管轄外移転かを確認する方法
管轄内の本店移転か管轄外の本店移転かを判断する際は、本店移転前後の管轄の法務局の確認を行います。法務局の公式サイトで、管轄の法務局を調べることが可能なので、自社の本店移転前後の管轄の法務局を確認しましょう。
管轄外移転の場合には登記手続きの際に印鑑届出書が必要
こちらの記事(本店移転登記で印鑑届出が必要なケースとは?)でも解説されている通り、管轄外の本店移転を行う場合には、登記手続きを行う際に必要な登記申請書などの書類とあわせて、「印鑑届出書」の提出も必要です。
印鑑届出書とは
株式会社や合同会社といった会社形態に関わらず、すべての会社は法人実印の登録(印鑑の届出)を行っています。印鑑届出書は、この法人実印の登録(印鑑の届出)を行う際に提出が必要な書類です。
個人でも実印の登録を行っている方もいらっしゃると思いますが、個人の印鑑登録は住んでいる市町村に登録を行います。
一方で、法人の実印を登録する際には、法人の本店所在地を管轄している法務局にて登録を行います。
印鑑届出書を提出(実印の登録)を行うことで、法人の銀行口座の解説や賃貸借契約を結ぶ際に使用される印鑑証明書の発行ができるようになります。
法人の印鑑証明の利用目的については、こちらの記事(法人の印鑑証明とは?利用目的や取得方法)も参考にしてください。
また、以下の記事もあわせてご覧いただくと、印鑑届出書についての理解が深まると思います。
参考記事:「印鑑届出書とは?取得方法などの基礎知識」
印鑑届出書が必要な理由
前述のとおり、法人実印の登録は「管轄の法務局」で行われています。管轄外の本店移転(本店移転にともなって管轄の法務局が変わる場合)の際には、改めて移転後の法務局へ法人実印の登録を行う必要があります。
管轄外の本店移転を行う際には、新しい管轄の法務局で実印の登録を行います。ここで1つ注意してほしいのが、管轄外の本店移転を行う場合の印鑑届出書の提出先は、本店移転前の管轄の法務局ということです。印鑑届出書の提出先を間違えないように注意しましょう。
印鑑届出書の記載例
印鑑届出書には、主に以下の項目の記入を行います。
- 本店・主たる事務所(移転後の本店所在地を記入)
- 印鑑(法人実印を押印)
- 印鑑提出者(代表取締役の情報を記入)
- 会社法人番号(法人番号から先頭1桁を削除した番号を記入)
- 印鑑(代表取締役の個人実印を押印)
印鑑届出書は、こちらのページ(印鑑届出書|法務局)からダウンロードすることができます。ダウンロードを行って、以下の記載例をもとに印鑑届出書の作成を進めていきましょう。
印鑑届出書の記入を進める際には、上記の記載例以外に以下の記事も参考になるかと思います。
参考記事:
「印鑑届出書に押印する印鑑サイズや押印箇所などの注意点を解説」
「管轄外本店移転登記後の印鑑届に必要な印鑑証明書を取得するには」
印鑑届出書の作成が完了したら、次にご紹介する書類とあわせて、本店移転前の管轄の法務局へ提出を行います。
管轄外へ本店移転をする場合に必要な書類
管轄外へ本店移転を行う場合は、印鑑届出書の書類以外にも様々な書類の提出が必要です。管轄外へ本店移転を行う場合には以下の書類が必要となるので、印鑑届出書とあわせて書類の作成を行いましょう。
書類名 | 詳細 |
---|---|
本店移転登記申請書(旧法務局管轄分) | 本店移転登記申請書とは、法務局への本店移転の登記申請の際に必要となる書類 |
本店移転登記申請書(新法務局管轄分) |
同上 |
取締役会議事録又は取締役決定書 |
取締役会議事録又は取締役決定書とは、社内の内部資料で、本店移転を決定する際の、取締役会会議における議事録 |
株主総会議事録(定款変更がある場合) |
株主総会議事録とは、会社内部の書類で、定款変更を決定する際の、株主総会会議における議事録 |
株主リスト(株主総会議事録を添付する場合) |
特別決議の決議条件が満たされているかを確認するために、添付する資料 |
委任状(旧法務局管轄分) (代理人に手続きを依頼する場合) |
委任状とは、代理人に本店移転の手続きを委任する場合に法務局に提出しなければならない書類 |
委任状(新法務局管轄分) (代理人に手続きを依頼する場合) |
同上 |
印鑑届書 | 新しく管轄となる法務局に改めて会社の印を届け出るための書類 |
印鑑カード交付申請書 | 新たに本店所在地の管轄法務局から印鑑カードの交付を受けるための申請書類 |
印鑑届出書の書き方を含め、本店移転移転登記に必要な書類の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
印鑑届出書だけでなく各書類に関して記載例付きで本店移転に必要な書類の書き方を解説しています。
本店移転登記時に必要な書類の書き方がわからない方は、ぜひ参考にしてください。
【記載例付き】本店移転登記に必要な書類の書き方を分かりやすく解説します
また、少しレアケースにはなりますが、管轄外での本店移転と代表取締役の変更を同時に行う場合における印鑑届出書の取り扱いについてはこちらの記事が参考になるかと思います。
当てはまる方はぜひご覧ください。
管轄外へ本店移転をする場合には定款の変更が必要
管轄内で本店移転を行う場合には、定款に記載されている本店所在地が変更しない場合もありますが、管轄外へ本店移転を行う場合には、定款に記載されている本店所在地が必ず変わります。そのため、管轄外へ本店移転を行う場合には、必ず定款の変更を行う必要があります。
定款の変更とあわせて、「株主総会議事録」や「株主リスト」を提出することを把握しておきましょう。
管轄外へ本店移転を行う場合の定款変更については、こちらの記事(管轄外の本店移転を行う場合の定款変更と登記について)もあわせて読んでおきましょう。
また、そもそもの定款について理解を深めたい方は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:「定款とは?法人設立時に必要な定款について解説」
管轄外へ本店移転をする場合に注意すること
管轄外へ本店移転をする場合には、必要書類の提出(印鑑届出書の提出など)と定款の変更が必要ですが、実際に管轄外へ本店移転の手続きを進める場合には、以下の2点に注意してください。
- 登記申請書を2部作成する必要がある
- 登録免許税を2回分支払う必要がある
登記申請書を2部作成する必要がある
管轄外へ本店移転を行う場合は、本店移転前後の管轄の法務局に登記申請が必要となるため、登記申請書を2部作成する必要があります。管轄内の本店移転よりも手間が増えてしまうため、専門家(司法書士)に依頼したり、オンラインサービスを利用する場合には、発生する費用が高くなる場合があるので注意してください。
また、2部作成した登記申請書は本店移転前後の管轄の法務局へ提出する必要はありません。どちらの書類も本店移転前の管轄の法務局へ提出することで、手続きを進めることができます。本店移転前後の法務局へ送らないよう注意しましょう。
登録免許税を2回分支払う必要がある
登記申請の手続きを行う際には、登録免許税という税金を支払う必要があります。管轄内の本店移転の手続きを行う場合は、手続きを行う法務局は1つのため30,000円の登録免許税が必要となります。一方で、印鑑届出書の提出が必要となる管轄外の本店移転の場合は、本店移転前後の法務局への手続きを行うため、60,000円(2つの法務局分)の登録免許税を支払う必要があります。
登録免許税は収入印紙によって支払いを行いますが、それぞれの登記申請書(本店移転前後の管轄宛)に貼付を行うため、30,000円分の収入印紙を2枚購入して、それぞれの登記申請書に貼付して提出します。
登録免許税については、こちらのページ(登録免許税のあらまし|国税庁)もあわせて見ておきましょう。
まとめ
この記事では、管轄外へ本店移転を行う際に必要な「印鑑届出書」について、解説を行いました。これから本店移転の手続きを控えている方は、自社が「管轄内の本店移転」か「管轄外の本店移転」かを確認してから、必要な書類の準備を進めていきましょう。
本店移転の登記手続きを行う際には、自分ですべての登記申請手続きを行うか司法書士へ依頼することも可能です。本店移転の登記手続きを自分で行うメリットやデメリットについては、こちらの記事(本店移転登記を自分で行うメリット・デメリット、費用について解説します)でまとめているので、あわせてご覧ください。
本店移転に関する手続きは、本店移転の登記申請だけではありません。本店移転の登記申請後には、社会保険などの労務手続きや税務署へ必要書類の提出、本店移転に伴う法人地方税に関する手続きを行います。
以下の記事では、本店移転の登記申請を行った後に必要な手続きについて、書類の提出先別に解説しています。本店移転の登記申請の手続きを終えた後は、以下の記事を参考に、必要な手続きを進めていきましょう。
提出必要書類の一覧
- 印鑑届出書
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