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合同会社の本店移転登記手続きのやり方について詳しく解説!
公開日:2023.11.22
更新日:2024.01.30
会社の住所変更を行った際には、本店移転の登記手続きを行う必要があります。株式会社や合同会社といった会社形態に関係なく、会社の住所変更を行った際には本店移転の登記手続きを必ず行わなければなりません。
この記事では、合同会社が本店移転を行った際に必要な本店移転登記手続きについて、必要な書類とやり方について詳しく解説していきます。
合同会社の本店移転登記手続きを行う際には、株式会社とは異なる書類の提出が必要となります。
株式会社の本店移転登記手続きとそのやり方については、以下の記事で解説しています。株式会社を経営していて本店移転を行う方(控えている方)は、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:「株式会社の本店移転登記とは?必要な手続きや書類について解説」
合同会社の本店移転登記とは?
本店移転とは、登記簿謄本に記載されている会社の住所(本店所在地)を変更することを指します。合同会社のみならず、いずれの会社も本店所在地として会社の住所を必ず登記しているため、会社の引っ越しなどに伴って住所が変わる場合には登記事項の変更(本店移転の登記手続き)を行わなければなりません。
みなさんも引っ越しをした際には住民票の変更などを行うと思いますが、合同会社も同様に住所を変更した場合は「本店移転登記」を行う必要があるのです。
合同会社の代表社員の住所を本店所在地として登記していることもあるため、その場合には代表社員の引っ越しに伴い、合同会社としても本店移転の登記申請を行う必要があります。
合同会社の本店移転登記と株式会社の本店移転登記のやり方の違い
前述のとおり合同会社や株式会社といった会社形態に関わらず、本店移転登記手続きはどの会社も行う必要がありますが、合同会社と株式会社とでは本店移転登記手続きのやり方や必要書類が少し異なります。
本店移転の登記手続きを行う際は、株式会社と合同会社とでは主に以下の2点が異なります。
- ・会社内部の手続きのやり方
- ・法務局へ提出する書類
合同会社と株式会社の本店移転登記の手続きのやり方の違いについて、詳しく解説していきます。
合同会社の本店移転登記と株式会社の本店移転登記のやり方の違い① 会社内部の手続き
合同会社と株式会社とでは、本店移転を行う際の会社内部の手続きのやり方が異なります。
本店移転を行う際には、まずはじめに会社内部で「移転先」を決定します。
株式会社が移転先を決定する際には、株主総会を開催して特別決議によって移転先を決める必要があります。(定款の変更がある場合)
一方で、合同会社が本店移転を行う際には、株主総会を開催することはなく、社員=出資者の同意や業務執行役員の過半数の一致を得ることで移転先の決定(定款の変更)を行うことが可能です。
合同会社の本店移転登記と株式会社の本店移転登記のやり方の違い② 法務局へ提出する書類
前述のとおり、合同会社と株式会社では会社内部の手続きのやり方が異なるため、合同会社が本店移転登記を行う際に法務局へ提出する書類も異なることに注意してください。
株式会社の本店移転登記の場合は、株主総会決議が必要となるため、株主総会を開催したことを証明するための「株主総会議事録」や、会社の株主の構成を示すための「株主リスト」といった書類の提出が必要となります。
合同会社の本店移転登記の際には、「総社員の同意書」や「業務執行社員の決定書」という書類の提出が必要となります。ここで言う「総社員」とは出資者のことを指し、従業員ではないことに注意してください。
この記事では、合同会社の本店移転登記手続きの解説するので、株式会社で本店移転を行う方は以下の関連記事をご覧ください。
関連記事
「株式会社の本店移転登記の必要書類の書き方を解説」
合同会社の本店移転の登記手続きを申請する場所は?
合同会社が本店移転の登記申請を行う際には、自社の本店所在地を管轄している法務局で手続きを行います。初めて合同会社の本店移転を行う場合は、合同会社として設立登記を行った法務局が管轄の法務局となります。
法務局の公式サイト(管轄の法務局のご案内|法務局)から、住所をもとに管轄の法務局を探すことができるので、自社の管轄の法務局が分からない方は確認してください。
合同会社の本店移転を行う際には、移転前後で管轄の法務局が変わる場合とそうでない場合があります。同じ管轄の区域内で合同会社が本店移転を行うことを「管轄内移転」と呼び、2つの管轄をまたいで合同会社が本店移転を行うことを「管轄外移転」と呼びます。
合同会社の管轄内移転と管轄外移転のそれぞれの詳細や違いについては、以下の記事でも解説されているのであわせてご覧ください。
参考記事:「本店移転の管轄内移転と管轄外移転について分かりやすく解説」
合同会社の本店移転登記手続きのやり方と流れ
では実際に、合同会社が本店移転の登記手続きを行う際の流れとやり方について解説していきます。
合同会社が本店移転の登記手続きを行う際は、基本的には以下の流れで行います。
- 1. 会社内部で必要な手続き
- 2. 法務局への登記申請手続き
それぞれの手続きのやり方について、詳しく解説していきます。
会社内部で必要となる手続きとそのやり方
合同会社が本店移転を行う場合は、まず最初に合同会社内部で本店移転先の決定を行います。本店移転先によっては、定款の変更が必要かどうかが変わります。
合同会社において定款の変更が必要になる場合には、総社員の同意によって定款を変更する必要があり、合同会社の総社員の同意があった旨を証明するために「総社員の同意書」という書類を作成します。
合同会社において定款の変更が必要ない場合については、総社員の同意は必要なく、業務執行社員の過半数の一致によって決定する必要があります。
法務局への登記申請手続きとそのやり方
会社内部で必要な手続きを終えたあとは、次に法務局への登記申請手続きを行います。本店移転を行った日から2週間以内に登記申請を行う必要があるので、期限を過ぎることがないように余裕をもって手続きを進めていきましょう。
合同会社の本店移転の登記申請に必要な書類と費用
移転前と同じ法務局の管轄内に合同会社が本店移転をする場合
移転前と同じ法務局の管轄内で、合同会社が本店移転を行う場合には以下の書類が必要となります。
合同会社の本店移転登記申請に必要な書類
- ・登記申請書
- ・総社員の同意書
合同会社の変更登記申請書は、こちらのページ(合同会社変更登記申請書|法務局)からダウンロードを行うことが可能です。合同会社の本店移転に必要な書類の作成を行う際には、以下の記載例を参考に記入を進めていきましょう。
合同会社の本店移転登記申請書の記載例
合同会社の総社員の同意書については、法務局が用意しているテンプレートはありませんが、以下の記載例を参考にすれば簡単に作成が可能です。ぜひ、参考にしてください。
合同会社の総社員の同意書の記載例
合同会社の本店移転登記にかかる費用
合同会社が管轄内で本店移転をする場合は、登録免許税として3万円の費用がかかります。登録免許税は、直接支払うわけではなく、登記申請書に3万円分の収入印紙を貼付して提出することで支払いを行います。
収入印紙は法務局や郵便局などで購入できるので、事前に準備をしておきましょう。
移転前と異なる法務局の管轄に合同会社が本店移転をする場合
移転前と異なる法務局の管轄に合同会社が本店移転を行う場合(管轄外移転)は、登記申請の際に以下の書類が必要です。管轄内移転と比べて、必要書類が増えるので注意してください。
合同会社の本店移転登記申請に必要な書類
- ・登記申請書
- ・総社員の同意書
- ・改印届出書
- ・印鑑カード交付申請書
法人実印の印鑑登録を行なっていますが、本店移転(住所変更)を行なった際には、印鑑登録で記載している住所も変更する必要があります。
以下のリンクより、それぞれの書類のダウンロードを行うことができます。
書類をダウンロードしたら、以下の記載例を参考に書類への記入を進めていきましょう。
改印届出書の記載例
印鑑カード交付申請書の記載例
合同会社の本店移転登記手続きに必要な書類についてはこちらの記事などのように自分で本店移転登記手続きを行う場合の必要書類について解説している記事も参考になるかと思います。
また、こちらの記事(合同会社の本店移転登記の必要書類を記載例とあわせて解説)では、合同会社が本店移転登記を行う際に、提出が必要な書類の書き方について解説しています。記載例とあわせて書類の書き方を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
合同会社の本店移転登記にかかる費用
合同会社が管轄外で本店移転をする場合、本店移転前後どちらの管轄の法務局宛にも登記申請書を提出する必要があります。そのため登録免許税も2回支払う必要があり、管轄外の本店移転の場合には6万円の費用がかかります。
管轄内の本店移転や管轄外の本店移転に関わらず、本店移転登記手続きは専門家(司法書士)へ依頼することが可能です。こちらの記事(自分で本店移転登記を行うメリット・デメリットと費用について解説)では、本店移転登記を自分で行うメリットやデメリット、費用についても解説しているので、本店移転登記を自分で行うか迷っている方は参考にしてください。
合同会社の本店移転登記の申請後に必要な手続きとそのやり方
上記の書類を提出することで、合同会社の本店移転の登記申請は完了します。合同会社の本店移転登記申請自体は完了しましたが、合同会社の本店移転を行った際には登記申請後にも様々な手続きが必要です。
この記事では詳しい解説は割愛しますが、登記申請後に必要な手続きとそのやり方を紹介します。
本店移転登記手続き後に必要な手続きについては、こちらの記事(本店移転登記手続き後に必要な手続きとそのやり方について解説)でも解説しています。あわせてご覧ください。
税務署への手続きのやり方
税務署には、「異動届出書」と「給与支払事務所等の開設・移転廃止届出書」を提出する必要があります。
本店移転登記申請後に税務署への必要な手続きは、以下の記事でも解説しています。詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
参考記事:「本店移転の登記申請後に税務署へ提出が必要な書類について解説」
年金事務所への手続きのやり方
年金事務所へは「適用事業所名称所在地変更届」の提出を行います。この書類は、社会保険(健康保険や厚生年金保険)について必要な手続きです。
管轄外の本店移転の場合は、変更前の所在地を管轄する年金事務所へ提出が必要です。
管轄内と管轄外それぞれの手続きについては、以下のページから詳細をご覧いただけます。あわせてご覧ください。
参考記事:「管轄内で本店移転を行う場合の手続き|日本年金機構」
参考記事:「管轄外で本店移転を行う場合の手続き|日本年金機構」
労働基準監督署への手続きのやり方
労働基準監督署へは「労働保険名称所在地等変更届」の書類の提出が必要となります。労働者を雇用しておらず、役員のみの会社など労働保険に加入していない場合は、労働基準監督署への書類の提出は不要です。
添付書類として、本店移転後の住所が反映された登記簿謄本とあわせて、移転後の管轄の労働基準監督署へ書類を提出します。
ハローワークへの手続きのやり方
ハローワークへは「雇用保険事業主事業所各種変更届」の提出が必要となります。1つ前にご紹介した労働基準監督署への提出と同様に労働保険に加入していない場合には、書類の提出は必要ありません。
提出をする際には、本店移転後の住所が反映された「登記簿謄本」と労働基準監督署へ提出した際に返送される「労働保険名称所在地等変更届の事業主控え」の2つの書類を、添付書類として提出します。
そのため労働保険に加入している会社は、労働基準監督署へ必要書類を提出した後に、ハローワークへの書類の提出を行いましょう。
年金事務所や労働基準監督署、ハローワークなど、本店移転後の労務手続きに必要な書類については、以下の記事でも解説されています。あわせて、参考にしてください。
参考記事:「本店移転登記後に必要な労務手続きについて解説」
都道府県税事務所への手続きのやり方
移転前と移転後の都道府県税事務所へ、それぞれ必要書類の提出を行います。
移転前の都道府県税事務所には「異動届出書」を提出する必要があり、一方で移転後の都道府県税事務所には、「法人設立設置届出書」を提出する必要があります。
移転前後の都道府県税事務所へは、添付書類として「定款」と「本店移転後の住所が反映された登記簿謄本」をあわせて提出します。
市区町村への手続きのやり方
市区町村へ提出する書類についても、移転前の市区町村には「異動届出書」、移転後の市区町村へは「法人設立設置届出書」の提出を行います。市区町村へは添付書類として「本店移転後の住所が反映された登記簿謄本」をあわせて提出します。
都道府県税事務所と市区町村への提出書類は、どちらも同じ名前ですが書類の様式は異なります。書類の作成を行う際は、各自治体のホームページから書類を取得できるので、インターネットで「〇〇県 異動届出書」、「〇〇市 法人設立設置届出書」などで検索して、記入する書類をダウンロードしましょう。
本店移転登記手続き後に各役所へ添付書類として提出が必要な「登記簿謄本」の取得方法については、こちらの記事(本店移転登記手続き後に必要な登記簿謄本の取得方法について)で解説しています。
登記簿謄本の取得方法について知りたい方は、参考にしてください。
まとめ
この記事では、合同会社が本店移転を行った際に必要な、本店移転登記手続きのやり方や書類について解説をしました。前述の通り、合同会社の本店移転登記手続きには、2週間という期限が定められています。期限を過ぎてしまうと過料が課される可能性もあるため、余裕をもって合同会社の本店移転登記手続きを進めていきましょう。
提出必要書類の一覧
- 登記申請書
- 総社員の同意書
- 改印届出書(管轄外の本店移転の場合)
- 印鑑カード交付申請書(管轄外の本店移転の場合)
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