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役員の入社(就任)時に必要な社会保険の手続きについて書類とともに解説

公開日:2023.11.22

更新日:2024.01.25

会社に役員が入社(就任)した場合には、法務局での登記手続きを行った後にも、様々な手続きを行う必要があります。

 

この記事では、新たに役員が入社(就任)した際に必要な社会保険」の手続きについて、詳しく解説していきます。

これから役員の入社(就任)を検討している会社は、この記事を参考に役員入社(就任)の際に必要な社会保険の手続きを進めていきましょう。

役員が入社(就任)した場合、まずは登記手続きを完了させる

こちらの記事(役員が就任したら何をする?必要な役員変更登記について)でも解説されていますが、会社に役員が入社(就任)した場合は、まず役員変更に伴う登記手続きを完了させる必要があります

 

この登記手続きは、役員変更登記と呼ばれており、役員が就任したことで登記事項を変更する旨を法務局に届け出る必要があります。役員変更登記は、役員の就任が発生してから2週間以内に手続きを行わなければなりません。期限を過ぎてから役員変更登記を行うと、過料を支払う場合もあるので注意してください。

 

役員変更登記を行う際には、登記申請書をはじめ様々な書類が必要となります。役員の入社(就任)や変更が発生した際には、以下の記事を参考に役員変更登記の手続きを進めていきましょう。

関連記事:「役員が入社(就任)したらどうする?役員変更登記の手続きのやり方や書類の書き方解説

役員が入社(就任)した場合、社会保険の手続きが必要となることがある

法務局へ役員変更登記の登記申請を行うことで登記の手続き自体は完了しますが、登記申請後にも社会保険をはじめ、入社(就任)した役員にまつわる様々な手続きが必要となります。

 

社会保険に関する手続きは、「役員が入社(就任)した場合」と「正社員が役員に就任した場合」によって必要かが異なり、正社員が役員に就任した場合(すでに正社員として社会保険に加入している場合)は、社会保険の加入手続きは必要ありません

※正社員が役員へ就任した際に、報酬が大きく増加した際にはまた別の手続き(月額変更届の提出)が必要です。その場合は、こちらの記事を参考にしてください。

 

一方で、役員が新たに入社(就任)した場合は、入社(就任)した役員が社会保険へ加入するための手続きを行う必要があります。そもそも社会保険とは、健康保険厚生年金保険を指し、正社員であれば原則加入を行う義務があります。

 

通常の正社員と同様に、新たに入社(就任)した役員も社会保険の加入対象となりますが、入社(就任)した役員の状況によっては加入しなくても良い場合があります

 

次に、新たに入社(就任)した役員が、社会保険へ加入すべきかどうかについて解説していきます。まずは、入社(就任)する役員が社会保険の加入対象かどうかの判定を行いましょう。

 

この記事では、役員の社会保険(健康保険・厚生年金保険)について解説していますが、正社員から役員になる際には雇用保険の資格喪失の手続きを行う必要もあります。必要な手続きについては、こちらの記事(雇用保険など、社員から役員に就任したら必要な社会保険関連手続き)など、役員入社(就任)に伴う社会保険・雇用保険の手続きについて解説している記事を参考にしてください。

また、以下の記事も参考になるかと思います。 

役員就任時の社会保険・雇用保険の手続き【資格喪失(取得)・随時改定】

入社(就任)した役員に社会保険の加入手続きが必要かどうかを判定する

まずは、新たに入社(就任)する役員が社会保険の加入対象かを判定していきます。入社(就任)する役員が社会保険の加入対象かどうかは、以下の項目で判断を行います。

 
  • 入社(就任)する役員(取締役)に役員報酬を支払うか
  • 入社(就任)する役員(取締役)は常勤か
 

入社(就任)した役員の社会保険への加入条件について、それぞれ詳しく解説していきます。

判定①:入社(就任)する役員(取締役)に役員報酬を支払うか

社会保険の加入有無を確認するために、まずは入社(就任)する役員に対して役員報酬を支払うかどうかの確認を行いましょう。設立から間もない会社の場合は、役員報酬を0円としている会社もあるでしょう。

 

入社(就任)した役員に対して役員報酬を支払わない場合には、その役員は社会保険の加入対象からは外れます。そのため、役員報酬を支払わない役員に対しては、社会保険の加入手続きを行う必要はありません。

 

役員報酬を決める際のポイントや注意点については、以下の記事も参考にしてください。

参考記事:「役員報酬とは?役員報酬を決める際のポイントと注意点

判定②:入社(就任)する役員(取締役)は常勤か

新たに入社(就任)する役員に対して役員報酬を支払う場合は、次に「役員が常勤かどうか」の確認を行いましょう

 

結論から伝えると、新たに入社(就任)する役員が「非常勤」の場合は、基本的に社会保険の加入対象とはならないため、入社(就任)した役員に対して社会保険の加入手続きを行う必要はありません

 

役員が「常勤」か「非常勤」かどうかは法律上で明確な違いが定められているわけではなく、勤務実態によって判断されます。一般的には、正社員と同様に毎日勤務をする役員を常勤として扱い、出勤日が少ない場合(案件に応じて出勤するなど)には、非常勤の役員として扱います。

 

勤務日数などが通常の正社員と同じくらいの場合には、常勤の役員として扱えば問題ありません。常勤役員と非常勤役員の違いについては、こちらの記事(常勤役員とは?非常勤役員との違いも解説)もあわせてご覧ください。

 

上記を踏まえると、

  • 入社(就任)する役員に役員報酬を支払う
  • 入社(就任)する役員は「常勤」の役員として扱う

この2つの条件に当てはまる場合は、入社(就任)する役員の社会保険の加入手続きを行う必要があるということになります。

入社(就任)した役員の社会保険の加入手続きに必要な書類

では、実際に社会保険の加入対象となる役員が入社(就任)した際に行う、社会保険の加入手続きに必要な書類について解説を行っていきます。

 

入社(就任)した役員の社会保険の加入手続きを行う場合は、以下の書類の提出が必要となります。

 
  • 資格取得届
  • 被扶養者異動届(扶養家族がいる場合)
  • 新規適用届(会社が社会保険に加入していない場合)
 

役員の社会保険の加入手続きに必要な書類について、それぞれ詳しく解説していきます。

社会保険の加入に必要な書類①:資格取得届

社会保険の加入条件を満たした役員が入社(就任)した際には、資格取得届の提出を行う必要があります。資格取得届とは、入社(就任)した役員が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格を有することを伝えるための書類です。

 

日本年金機構の公式サイトから、資格取得届の記入用紙をダウンロードすることが可能です。こちらのページ(社会保険 被保険者資格取得届|日本年金機構)からダウンロードを行いましょう。

 

資格取得届の記入事項については、以下の記載例を参考に記入を進めていきましょう。

社会保険の加入に必要な書類②:被扶養者異動届(扶養家族がいる場合)

社会保険の加入条件を満たした役員が入社(就任)した際には、被扶養者異動届という書類も提出が必要です。この書類はすべての役員に必要なわけではなく、入社(就任)した役員に扶養家族がいる場合にのみ提出が必要です。

 

扶養家族がいるかの判定

扶養家族の対象範囲や概要については、こちらの記事(扶養家族とは?概要や対象範囲を解説)をご覧いただければと思いますが、扶養家族がいるかどうかは以下の画像で簡単に判定を行うことが可能です。

 
 

入社(就任)する役員に扶養家族がいる場合には、以下の記載例を参考に書類の記入を進めていきましょう。被扶養者異動届の記入用紙は、以下のページからダウンロードが可能です。

被扶養者異動届のダウンロードページ|日本年金機構

 

被扶養者異動届の提出を行う場合は、入社(就任)する役員の戸籍謄本または住民票(どちらも90日以内に発行されたもの)が添付書類として必要です。被扶養者異動届を提出する際は、入社(就任)する役員から上記書類の回収と提出を忘れないようにしましょう。

社会保険の加入に必要な書類③:新規適用届(会社が社会保険に加入していない場合)

社会保険の加入の際に必要な「新規適用届」という書類は、これまでに会社として」社会保険に加入していなかった場合に提出が必要です。

正社員の従業員を雇用している場合は、すでに会社として社会保険に加入していることがほとんどなので、新たに役員が入社(就任)した際も「新規適用届」の提出は不要です。

 

正社員ではなくても、アルバイトやパートといった雇用形態の場合も、条件によっては社会保険に加入する必要があります。アルバイトやパートの社会保険の加入条件については、こちらの記事(パートやアルバイトの社会保険の加入条件とは?)を参考にしてください。

会社が社会保険に加入しているかを確認する方法

「自社が社会保険に加入しているか分からない…」という方は、日本年金機構が提供している「厚生年金保険・健康保険 適用事業所検索システム」を活用しましょう。

 

上記のシステムを活用すれば、会社住所や法人番号などの情報を入力すれば、会社として社会保険に加入しているか(加入している場合は適用事業所と呼ばれます)を確認することができます。

 

前述の通り、会社として社会保険に加入している場合(すでに適用事業所の場合)は、新規適用届の提出は必要ありません

未加入の場合は、以下の記載例を参考に書類の作成を進めていきましょう。新規適用届の記入書類は、こちらのページ(新規適用届|日本年金機構)からダウンロードが可能です。

 

添付書類

新規適用届を提出する際には、添付書類として以下の書類を提出することに注意してください。

 
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピー
  • 法人番号指定通知書等のコピー
 

2つ目の法人番号指定通知書のコピーが用意できない場合は、国税庁法人番号公表サイトを印刷して添付する形でも大丈夫です。サイトを印刷して添付する場合は、国税庁法人番号公表サイトにアクセスして、自社の法人番号が確認できるページの印刷を行いましょう。以下の資料もあわせて、参考にしてみてください。  

 

社会保険の加入手続きに必要な書類の提出先と提出期限

入社(就任)した役員の社会保険への加入手続きを行う際には、最大で上記3つの書類が必要となります。

作成した書類はすべて、管轄の日本年金機構の事務センターへ提出を行います。「資格取得届」と「新規適用届」は提出期限が定められています。そのため、すべての書類を入社(就任)した役員の役員報酬を決めた日から5日以内に提出できるよう、余裕をもって提出書類の作成を進めておきましょう。

 

提出先である日本年金機構の事務センターは、こちらのページ(全国の事務センターの一覧|日本年金機構)からご確認いただけます。

社会保険の加入手続きにかかる費用

役員変更の登記申請を行う際には、登録免許税として10,000円の費用がかかりますが、社会保険の加入手続きは登記申請とは違い、大きな費用はかかりません。

基本的には登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の取得費用(480円〜600円)や郵送にかかる費用のみなので、1,000円以内で手続きを終えることができます。

まとめ

この記事では、社会保険の加入対象となる役員が入社(就任)した際に必要な、社会保険の手続きについて解説を行いました。

役員が入社(就任)した際に必要な、社会保険の手続きのまとめは以下の通りです。

 
  • 役員報酬を支払う常勤役員が入社(就任)した場合は、社会保険の加入手続きが必要
  • 社会保険の加入手続きには、「資格取得届」「被扶養者異動届」「新規適用届」の最大3つの書類の提出が必要
  • 社会保険の手続きに必要な書類は、役員報酬の決定から5日以内に管轄の日本年金機構の事務センターへ提出する
 

冒頭でも解説しましたが、正社員が役員に就任した場合(すでに社会保険に加入している場合)は、基本的に社会保険の加入手続きは必要ありません

 

新たに役員が入社(就任)する場合は、この記事を参考に役員入社(就任)に必要な社会保険の手続きを進めていただければと思います。役員以外の従業員を雇用する際は、以下の参考にしてください。

参考記事:「従業員を雇うときの手続きのやり方・必要書類の書き方について解説!

提出必要書類の一覧

  • 資格取得届
  • 被扶養者異動届(扶養家族がいる場合)
  • 新規適用届(会社が社会保険に加入していない場合)
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のコピー
  • 法人番号指定通知書等のコピー

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