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商号変更(社名変更)に伴う、地方税に関する手続きのやり方について解説

公開日:2023.11.28

更新日:2024.01.30

会社の商号変更(社名変更)を行う際には、変更登記の手続きを必ず行う必要があります。商号変更(社名変更)の変更登記の手続きを行うことで、登記自体の手続き(法務局での登録)は完了しますが、会社の商号を変更した際にはその他にも、地方税などの税金や保険に関係する手続きを行う必要があります

 

この記事では、会社の商号変更(社名変更)を行なった際にあわせて行う「法人の地方税に関する手続き」について解説を行います。

 

なお、以下の記事では地方税の手続きだけでなく、商号変更(社名変更)の手続きの全体像についても解説しています。

 

参考記事

社名(商号)変更に必要な手続きは?必要書類や提出期限についても

法人地方税とは

商号変更(社名変更)後に行う法人の地方税に関する手続きを解説する前に、まずは法人地方税がどのようなものなのか理解を深めていきましょう。

 

法人地方税とは、法人の事業所がある自治体(都道府県・市町村)へ納める地方税のことです。法人地方税には「都道府県民税」と「市町村民税」という2つの種類があり、法人として必ず自治体に対して納付を行う必要があります。

 

この「法人地方税」は法人であれば必ず支払いを行うため、会社の商号変更(社名変更)を行なった際には、商号変更(社名変更)を行なった旨を法人地方税の支払先である各自治体に報告しなければならないのです。

 

商号変更(社名変更)に伴って法人地方税の手続きを行う際には、基本的には事業所のある「都道府県」と「市町村」への手続きを行えば良いですが、東京都23区内に事業所がある場合だけ少し手続き先が異なることに注意してください。

 

東京都23区内に事業所がある場合には、市区町村で分かれておらず都税事務所にまとめて法人地方税の納付を行なっています。そのため、東京都23区内に事業所がある場合には、法人地方税の手続きは都税事務所にだけ手続きを行えば問題ありません。

 

23区内の個人や法人の税金の扱いについては、こちらのページ(東京都23区内の所管区域について|東京都主税局)でも解説されています。

 

法人地方税については、こちらの記事(地方税の制度について|総務省)でも解説されています。地方税について理解を深めたい方は、あわせてご覧ください。

地方税の手続きの前に商号変更(社名変更)登記をまずは完了させましょう

こちらの記事(商号(社名)変更後に必要な手続きや届出先)でも解説されていますが、商号変更(社名変更)に伴って行う地方税に関する手続きを行う前には、必ず商号変更(社名変更)の登記手続きを先に済ませておく必要があります

今回解説を行う地方税の手続きを行う際には、商号変更(社名変更)後の新しい会社名が記載された「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」の提出が必要です。

変更後の商号が記載された登記簿謄本を取得するためには、商号変更(社名変更)の登記手続きを法務局にて先に済ませておく必要があります。

 

商号変更(社名変更)に伴って行う地方税の手続きを行う際には、まず商号変更(社名変更)の登記申請を行うということに注意してください。
会社の商号変更(社名変更)を行う際の流れや必要な書類については、こちらの記事(商号変更(社名変更)を行う際に必要な手続きや登記申請のやり方)でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

商号変更(社名変更)の登記手続きに必要な書類

まず、商号変更(社名変更)の登記手続きを行うためには、以下の書類を作成する必要があります。

 
  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 登記申請書
  • 印鑑(改印)届出書
 

上記は「株式会社」として商号変更(社名変更)の登記申請を行う際に必要となる書類ですが、合同会社の場合には株主総会を開催する必要はないため、提出する書類が少し異なります

株式会社と合同会社それぞれで提出すべき書類の書き方については、以下の記事でも解説しております。ぜひ、参考にしてください。

関連記事
株式会社の商号変更に必要な、書類の書き方について解説
合同会社の商号変更登記の際に、提出が必要な書類の書き方を解説

商号変更(社名変更)登記の期限

商号変更(社名変更)の登記手続きを行う際には、期限が定められていることに注意してください。商号変更(社名変更)だけではありませんが、変更登記の申請を行う際には、登記事項の変更があってから2週間以内に行わなければなりません

 

仮に商号変更(社名変更)を行なってから2週間以上登記申請を行わないと、登記懈怠として過料を課される可能性があります。この2週間という期限を厳格にチェックしている訳ではありませんが、無駄な出費を増やさないためにも、登記申請の手続きは期限を守って手続きを進めていきましょう。変更登記の期限や過料については、こちらの記事(登記懈怠?登記申請を怠るとどうなる?)でも解説されているので、あわせてご覧ください。

商号変更の登記申請を自分で行うか迷っている方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。以下の記事では、商号変更の登記申請を自分で行う場合のメリットとデメリットを解説しています。

関連記事:「商号変更登記を自分で行うメリットとデメリットについて解説

商号変更(社名変更)の登記申請後に必要な役所への届出

次に、商号変更(社名変更)の登記申請後に必要な手続きと各役所への提出書類について解説していきます。前述のとおり、商号変更(社名変更)の登記申請を行なった後には、各役所に対して商号変更(社名変更)を行なった旨を知らせる必要があります

 

商号変更(社名変更)の登記申請を行なった後は、以下の役所に対して必要書類の提出を行います。

商号変更(社名変更)の登記申請を行なった後に必要な書類
提出先 書類名 期限
日本年金機構の事務センター(年金事務所) ・適用事業所名称所在地変更届 登記終了後、速やかに
労働基準監督署 ・労働保険名称所在地等変更届 登記終了後、速やかに
ハローワーク ・雇用保険事業主事業所各種変更届 登記終了後、速やかに
都道府県税事務所 ・異動届出書(都道府県税事務所) 登記終了後、速やかに
市町村 ・異動届 登記終了後、速やかに
 

多くの役所へ必要書類の提出を行うため、提出忘れなどが発生することもあります。それぞれの役所での手続きは、ご自身を含め従業員の方の保険や税金に影響する手続きです。提出を忘れることがないように、それぞれの役所に提出が必要な書類の対応を行なっていきましょう。

こちらの記事(商号変更(社名変更)を行う際に必要な手続きについて解説します)では、商号変更(社名変更)を行なった際の手続きを流れに沿って解説されていますので、あわせて参考にしてください。

 

この記事では、商号変更(社名変更)に伴う地方税に関する手続きについて解説を行うので、「都道府県税事務所」と「市町村」へ提出する書類について次章で解説していきます。

商号変更後に行う、税務署への届出や社会保険などの労務手続きについては、以下の記事で解説しています。提出書類なども詳しく解説しているので、あわせて解説してください。

関連記事
商号変更の登記申請後に行う、税務署への提出書類について
商号変更後にやるべき、社会保険などの労務手続きについて解説

都道府県税事務所へ提出する書類

まずは、都道府県税事務所へ提出する書類について解説します。商号変更(社名変更)に伴って、地方税に関する手続きとして異動届出書」という書類を都道府県税事務所へ提出する必要があります。また、添付書類として「登記簿謄本」もあわせて提出する必要があります。

 

提出先である自社の都道府県税事務所を確認したい方は、こちらの記事(管轄の都道府県税事務所の確認方法)から確認を行いましょう。

異動届出書

前述の通り、会社は地方税の支払いを行っているため、この異動届出書はどの会社でも必ず提出する必要があります。

異動届出書の提出を行う際に注意していただきたいことは、提出する用紙は各都道府県ごとに異なるということです。提出書類の様式は統一されていないため、自社の所在地の書類を取得する必要があります

 

〇〇県 異動届出書」とインターネットで検索することで、書類がダウンロードできるページが見つかると思うので、自社の管轄の自治体へ提出する書類を探してみましょう。

 

東京都の場合の異動届出書の記載例を以下に掲載しています。少し書類の様式は異なるかもしれませんが、記入する内容については大きく変わらないので、以下の記載例を参考にしながら書類の作成を進めていきましょう。

 

地方税に関する異動届出書については、こちらの記事(法人の異動事項に関する届出の提出方法について)もあわせてご覧ください。

 

異動届出書(東京都)の記載例

異動届の記載要領についてはこちらでも細かく紹介されています。

添付書類

都道府県税事務所には、異動届出書の添付書類として登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を提出する必要があります。

登記簿謄本

異動届出書の添付書類として登記簿謄本を提出する際には、商号変更(社名変更)が反映された(新しい会社名が記載された)登記簿謄本を提出する必要があります。

登記簿謄本は、法務局での商号変更(社名変更)の登記申請を済ませてから取得を行うようにしましょう。

 

法人の登記簿謄本を取得する際には、こちらのページ(会社・法人の登記事項証明書等の請求について|法務省)にもあわせて目を通しておきましょう。

市町村へ提出する書類

商号変更(社名変更)に伴って、地方税に関する手続きを行う際には、管轄の市町村へも書類を提出しなければなりません

記事の冒頭でも少し触れましたが、東京都23区内に事業所がある場合には管轄の区も含めて、都税事務所へまとめて地方税の納付を行います。

そのため東京都23区内に事業所がある場合には、次に紹介する書類を提出する必要はありません

異動届出書

市町村には「異動届出書」という書類を提出します。都道府県税事務所と同じ名前の書類のためややこしいですが、提出する書類は異なりますので注意してください。

 

都税事務所へ提出を行う「異動届出書」と同様に、市町村によって提出する書類の様式が異なります。

〇〇市 異動届出書」などで検索を行えば、該当の市町村へ提出する書類を取得することができます。提出書類の取得ができたら、以下の記載例を参考に記入を進めてください。

以下の記載例は、東京都(23区外)の場合の異動届出書です。

 

異動届出書(東京都23区外)の記載例

添付書類

都道府県税事務所へ提出する際と同様に、添付書類として登記簿謄本(履歴事項全部証明書)をあわせて提出する必要があります。

登記簿謄本

市町村へ異動届出書を提出する際も同様に、商号変更(社名変更)が反映された登記簿謄本の提出を行なってください。

登記簿謄本の取得については、以下の記事もあわせてご覧ください。

 

参考記事

法人の登記事項証明書等を取得される方へ|法務省

法人の登記簿謄本とは?登記簿謄本の種類や取得方法について解説します

 

役員・従業員が居住する市町村へも書類の提出が必要

商号変更(社名変更)に伴う地方税に関する会社としての手続きは、都道府県税事務所と市町村に対して「異動届出書」を提出すれば完了します。

 

ただ、従業員を雇用しており、従業員の住民税を特別徴収(天引き)している場合には、該当する従業員ごとに手続きを行う必要があるので把握しておきましょう。住民税の特別徴収については、こちらのページ(個人住民税と特別徴収について|東京都主税局)も参考にしてください。

給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書

住民税を特別徴収を行なっている従業員を雇用している場合には、「給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書」を提出する必要があります。

 

この書類も、市区町村に応じて書類の様式が異なります。「〇〇市 特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書」と検索をして、提出書類の準備を行ってください。

提出先は、該当する役員や従業員がその年の1月1日時点で住んでいた各市町村です。会社として1枚提出すればよいわけではなく、それぞれの従業員ごとに提出を行う必要があります。作成を行う際は、以下の記載例を参考に記入を進めてください。

 

給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書の記載例

商号変更(社名変更)の地方税に関する手続きにかかる費用

これまで解説を行ってきた各役所への手続きを行うことで、商号変更(社名変更)に伴う地方税に関する手続きは完了します。最後にこれらの手続きで発生する費用を解説していきます。

商号変更(社名変更)の地方税に関する手続きは、以下の費用が発生します。

 
  • 登記簿謄本の取得費用
  • 各役所への郵送費
 

こちらのページ(法人登記における主な登記手数料|法務省)でもまとめられていますが、登記簿謄本を取得する際には480円〜600円の手数料がかかります。書面請求やオンライン請求など、請求方法や受け取る方法によって金額が異なります。

 

各役所への郵送費用については1通100円前後で郵送できますので、この記事でご紹介した書類をすべて送付する場合でも、300円前後の費用で済む形となります。

まとめ

この記事では、商号変更(社名変更)後に行う地方税に関する手続きについて解説を行いました。

商号変更(社名変更)後に地方税の手続きを行う際には、

  • 都道府県税事務所
  • 市町村(東京都23区内の場合は不要)
  • 役員や従業員が居住する市町村(場合による)

上記3つの役所へ手続きを行う必要があります。

 

特に3つ目の「役員や従業員が居住する市町村」については、住民税を特別徴収をしているかを判断して、該当する従業員分の書類を作成する必要があります。従業員が多い場合には時間がかかると思いますので、事前に準備を行なって、それぞれの役所への手続きを行なっていきましょう。

提出必要書類の一覧

  • 異動届出書(都道府県税事務所)
  • 異動届出書(市町村)
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書

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