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商号変更(社名変更)の登記後に必要な社会保険などの労務手続きについて解説
公開日:2023.11.28
更新日:2024.01.30
会社の商号変更(社名変更)を行う際には、法務局への登記申請を行えば終わりというわけではありません。法務局への登記申請後にも、税金や社会保険まわりの手続きをそれぞれの役所へ行う必要があります。
この記事では、商号変更(社名変更)の登記申請を終えた後に必要な、社会保険をはじめとする労務手続きについて解説をしていきます。これから商号変更(社名変更)を控えている方は、ぜひこの記事を参考に商号変更(社名変更)に必要な手続きをスムーズに行っていただければと思います。
なお、以下の記事では社会保険の手続きだけでなく、商号変更(社名変更)の手続きの全体像についても解説しています。
参考記事
・事業の名称、所在地、代表者などに変更があった時に必要な社会保険・労働保険の手続きとは?
商号変更(社名変更)の登記手続きをまずは完了させましょう
商号変更(社名変更)の登記申請後に必要な、社会保険などの労務手続きを進める際には、まずは商号変更(社名変更)の登記申請の手続きを終わらせる必要があります。
こちらの記事で( 商号(社名)変更後に必要な手続きや届出先)でも解説されていますが、商号変更(社名変更)の登記申請後の手続きを進めるにあたって、多くの場合で登記簿謄本(履歴事項全部証明書)が必要になる場面があります。この登記簿謄本には変更後の新しい商号が記載されている必要があり、商号変更(社名変更)の登記申請を済ませることで、新しい商号が記載された登記簿謄本を取得することが可能となります。
商号変更(社名変更)における各役所への手続きを行う際には、はじめに法務局への商号変更(社名変更)の登記申請を行う必要があるということを把握しておきましょう。
参考記事:「商号変更(社名変更)とは?必要な手続きや登記申請のやり方を1から解説」
商号変更の登記手続きを自分で行うか迷っている方は、こちらの記事(商号変更登記を自分で行うメリットとデメリット、費用についても解説)もあわせてご覧ください。
商号変更(社名変更)の登記手続きに必要な書類
商号変更(社名変更)の登記申請を行う際には、以下の書類を準備する必要があります。
- ・株式会社変更登記申請書
- ・株主総会議事録
- ・株主リスト
- ・印鑑(改印)届出書
- ・代表取締役個人の印鑑登録証明書
商号変更(社名変更)の登記申請手続きで提出が必要な書類をはじめ、登記申請の手続きの流れややり方については、以下の記事で詳しく解説しています。商号変更(社名変更)登記の手続きを自分で行おうと考えている方は、あわせてご覧ください。
関連記事
「株式会社の商号変更登記で必要書類の書き方について解説します」
「合同会社の商号変更登記で必要な書類の書き方について解説」
商号変更(社名変更)登記の期限
社会保険の手続きを行う前に必要な、商号変更(社名変更)の登記申請を行う際には、上記の書類を作成して管轄の法務局へ提出を行います。ここで注意していただきたいのが、商号変更(社名変更)の登記申請には期限が設けられているということです。
こちらの記事(変更登記とは?変更登記に必要な手続きや期限について解説します)でも解説されていますが、商号変更(社名変更)の登記申請を行う際には、商号の変更日から2週間以内に手続きを行わなければなりません。
この2週間という期限を過ぎてしまうと、登記懈怠による過料を支払う場合もあるのでご注意ください。また、この期限は商号変更(社名変更)だけではなく、すべての変更登記(登記事項に変更があった場合の手続き)において、2週間という期限が定められています。
会社を経営していると変更登記の手続きが必要な場合も多々あるので、変更登記の手続きを進める際には2週間の期限があるということを把握しておきましょう。
商号変更(社名変更)の登記申請後に必要な役所への届出
記事冒頭でもお伝えした通り、会社の商号変更(社名変更)を行う際には、法務局への登記申請を行うだけでは不十分です。商号変更(社名変更)の登記申請後に必要な手続きについては、各役所ごとに以下にまとめているので参考にしてください。
リンク先より、それぞれの役所で必要な手続きの詳細をご確認いただけます。あわせてご覧ください。
提出先 | 書類名 | リンク先 |
---|---|---|
税務署 | ・異動届出書 | 商号変更の登記申請後に必要な税務署への手続きについて |
日本年金機構の事務センター (年金事務所) |
・適用事業所名称所在地変更届 | 本記事 |
労働基準監督署 | ・労働保険名称所在地等変更届 | 本記事 |
ハローワーク | ・雇用保険事業主事業所各種変更届 | 本記事 |
都道府県税事務所 | ・異動届出書(都道府県税事務所) | 商号変更登記の後に必要な、地方税の手続きを解説 |
市町村 | ・異動届 | 〃 |
この記事では、上記の表のなかでも社会保険などの労務手続きについて解説を行っていきます。
社会保険をはじめとする労務手続きを行う際には、
- 日本年金機構の事務センター
- 労働基準監督署
- ハローワーク
上記3つの役所へ、それぞれ書類を作成して提出する必要があります。それぞれの手続きによって提出先が異なるため少し複雑かもしれませんが、提出先ごとに解説していきますので、商号変更(社名変更)の登記申請後に必要な労務手続きを進めていきましょう。
日本年金機構の事務センターに提出する書類
まずは、日本年金機構の事務センターに提出する「社会保険」に関する書類について解説を行います。日本年金機構の事務センターへは、適用事業所名称所在地変更届という書類の提出を行います。
適用事業所名称所在地変更届
適用事業所名称所在地変更届とは社会保険の手続きに必要な書類であり、会社の名称の変更(商号変更)や所在地の変更(本店移転)などを行なった際に、日本年金機構の事務センターへ提出を行います。
この書類は、商号変更(社名変更)を行なってから5日以内に提出を行う必要があることに注意してください。作成した書類は、自社の管轄の事務センター(年金事務所)へ郵送、持参、もしくはオンラインでの申請も可能です。添付書類として、新しい会社名(商号)が反映された登記簿謄本(履歴事項全部証明書)をあわせて提出します。
適用事業所名称所在地変更届には、以下の項目の記載を行います。
- 事業所整理番号
- 事業所所在地、事業所名称、事業主氏名
- 変更年月日
2つ目の事業所名称には、商号変更(社名変更)後の会社名を記入します。また、事業主氏名には、氏名の前「代表取締役」と記入を行いましょう。
変更年月日には、株主総会の開催日(株主総会議事録に記載されている開催日)の記入を行います。事業所整理番号が分からない方は、こちらの記事(事業所整理番号とは?分からないときの確認方法)を参考にしてみてください。
実際に社会保険の手続きに必要な書類の作成を進める際には、以下の記載例を参考にしながら記入を進めていきましょう。
適用事業名称所在地変更届の記載例
社会保険の手続きで必要となる適用事業所名称所在地変更届の詳しい書き方については、こちらの記事(社会保険適用事業所名称・所在地変更届の書き方)でも詳しく解説されていますが、基本的には上記の記載例の通りの内容で問題ありません。
社会保険の手続きは、適用事業所名称所在地変更届を管轄の日本年金機構の事務センターに提出することで完了します。
社会保険の手続きで必要となる適用事業所名称所在地変更届は、日本年金機構の公式サイトより記入書類をダウンロードが可能です。
労働基準監督署に提出する書類
労働基準監督署へは、「労働保険名称所在地等変更届」という書類の提出を行います。この書類は労働者を雇用していて、労働保険に加入している場合にのみ提出が必要となるため、自分1人だけの会社や役員だけが在籍していて従業員を雇用していない会社などは、この書類の提出は必要ありません。
労働保険名称所在地等変更届
労働保険名称所在地等変更届は、労働保険が成立している事業所(従業員を雇用している事業所)が、社名の変更(商号変更(社名変更))や住所の変更(本店移転)などを行なった際に、管轄の労働基準監督署へ提出が必要となる書類です。
提出を行う際には、添付書類として会社名の変更(商号変更(社名変更))が反映された登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を提出する必要があります。
この書類は、商号変更(社名変更)を行ってから10日以内に提出を行う必要があります。また、この書類は複写式の専用用紙に記入を行うため、インターネット等でダウンロードすることはできません。書類の作成を行う際には、事前に管轄の労働基準監督署へ問い合わせて取り寄せる必要があります。
労働保険名称所在地等変更届には、以下の項目の記載を行います。
- 管轄の労働基準監督署
- 変更前の会社名(商号)
- 変更後の会社名(商号)
- 変更年月日(株主総会議事録に記載した開催日)
- 住所、氏名
- 労働保険番号
実際に労働保険名称所在地等変更届の作成を行う際には、以下の記載例を参考にしながら記入を進めていきましょう。
労働保険名称所在地等変更届の記載例
労働保険名称所在地等変更届は、返信用の封筒を同封して提出を行うようにしてください。後ほど解説しますが、ハローワークへ書類の提出を行う際には、労働保険名称所在地等変更届の控えを提出する必要があります。労働基準監督署から控えをもらえるように、提出の際には返信用の封筒を同封しましょう。
ハローワークに提出する書類
ハローワークへは、「雇用保険事業主事業所各種変更届」という書類の提出を行います。この書類も労働基準監督署へ提出する書類と同様に、労働者を雇用していて、労働保険に加入している場合にのみ提出が必要です。
雇用保険事業主事業所各種変更届
雇用保険事業主事業所各種変更届の提出を行う際には、添付書類として会社名の変更(商号変更(社名変更))が反映された登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と、労働基準監督署から返送された「労働保険名称所在地等変更届の控え」を提出する必要があります。
この書類は、商号変更(社名変更)を行ってから10日以内に提出を行ってください。提出書類は、こちらのページ(雇用保険事業主事業所各種変更届|ハローワーク)からダウンロードを行うことが可能です。
雇用保険事業主事業所各種変更届には、以下の項目の記載を行います。
- 変更年月日(株主総会議事録で決定した日付)
- 設置年月日(最初に労働者を雇い始めた日)
- 変更事項(商号変更(社名変更)後の名称を記載)
- 事業所番号
- 変更前の事業所名称(商号)
- 変更後の事業所名称(商号)
実際に労働保険名称所在地等変更届の作成を行う際には、以下の記載例を参考にしながら記入を進めてください。
雇用保険事業主事業所各種変更届の記載例
雇用保険事業主事業所各種変更届の書き方については、こちらの記事(会社の名称・所在地を変更した場合に必要な手続きは?)もあわせてご覧ください。
まとめ
この記事では、商号変更(社名変更)の登記申請後に必要な、社会保険をはじめとする労務手続きについて解説を行いました。商号変更(社名変更)の登記手続き後の社会保険をはじめとする労務手続きは、提出する書類の数は少ないものの、記入用紙を取り寄せたり提出した書類の控えを改めて提出したりと、少し複雑です。
商号変更(社名変更)の登記申請後の社会保険をはじめとする労務手続きについては、以下の流れに沿って進めていきましょう。
- 法務局にて商号変更(社名変更)の登記申請を完了させる
- 労働基準監督署から記入用紙を取り寄せる
- 日本年金機構の事務センターと労働基準監督署へ書類を提出
- 労働基準監督署から郵送された控えとあわせて、ハローワークへ必要書類の提出
もちろん上記通りに必ず進めていく必要はありませんが、記入用紙を取り寄せる際や控えを返送してもらう際には、少し時間がかかってしまうことに注意してください。
また、社会保険の手続きである日本年金機構の事務センターへの書類提出は商号変更(社名変更)から5日以内とされているので、事前に提出書類の準備を行っておきましょう。
提出必要書類の一覧
- 株式会社変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 印鑑(改印)届出書
- 代表取締役個人の印鑑登録証明書
- 適用事業所名称所在地変更届
- 労働保険名称所在地等変更届
- 雇用保険事業主事業所各種変更届
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