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会社設立時の資本金はいくらが最適?平均額や設定方法について解説
公開日:2023.11.23
更新日:2024.01.30
これから新しく会社設立を検討している方や、個人事業主から法人成り(会社設立)を予定している方で、会社設立を行う際にどのくらいの「資本金」を設定しようか迷われている方もいらっしゃると思います。
会社設立を行う際には、資本金を必ず設定しなければいけません。この記事では、そんな会社設立を行う際には必要不可欠な「資本金」の最適な金額について、資本金の平均額や設定方法を交えながら解説していきます。
これから会社設立を控えている方や会社設立を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います。
この記事では、会社設立時の最適な資本金について解説をしていきますが、会社設立の流れや手続き、提出書類については、以下の記事で解説しています。これから会社設立をする予定のある方は、ぜひあわせて参考にしてみてください。
参考記事
「会社設立の流れとは?会社設立にかかる費用や提出書類について詳しく解説」
「会社設立を行う際に提出が必要な10種の書類を記載例とあわせて解説」
「会社設立は自分でできる?会社設立を自分で行う場合の費用や必要書類について」
資本金とは事業を行うための元手
まずは、そもそも「資本金」とはどのようなものなのかについて解説していきます。
こちらの記事(資本金とは何?資本金の基礎知識)でも解説されていますが、資本金とは会社として事業を行うための元手となるお金です。
会社設立を行い、事業を進めていくためには様々な資金が必要となります。前述の通り、会社設立を行う際には必ず資本金を設定する必要があります。会社設立から間もない場合には、すぐに利益が出ないことも多くあります。そのため、この最初に設定した「資本金」が会社設立後の運転資金の基本となるのです。
資本金は最低1円からでも会社設立できる
2006年以前であれば、会社法により資本金の下限が規定されていましたが、現在は資本金の下限は定められておらず、資本金が1円以上あれば会社設立を行うことが可能です。
(参考:会社設立の資本金にまつわる会社法の改定について)
資本金の下限規定がなくなったため会社設立のハードルは下がったものの、低い資本金で会社設立を行うことは会社設立後のリスクにも繋がるため、あまりおすすめできません。詳しくは後述しますが、会社設立後の運転資金として、一定以上の資本金を設定するようにしましょう。
なお、資本金1円でも会社が設立できるようになった経緯については独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているJ-Net21というサイトでも解説されています。
資本金はその会社の信用力を表す
こちらの記事でも紹介されている通り、会社設立時に設定する資本金は、会社としての信用力に繋がります。もちろん会社の事業内容や実績によって会社としての信用力を得ることも可能ですが、特に会社設立の際には資本金の金額が会社としての信用力に大きく関わってくるので、注意しておきましょう。
会社設立時の資本金の額は、主に以下のタイミングで見られることが多いです。
- 会社として取引を開始する際
- 金入機関から借り入れを行う時
会社同士の取引が始まる際には、多くの会社(特に大企業)で「与信調査」が行われます。与信調査とは会社として信用できるかを目的に調査を行うことで、取引時にお金をしっかりと払ってもらえそうか、商品の納品をしっかり行なってくれそうかなどを判断します。
会社設立を行なった後に、金融機関から借り入れる形で資金の調達を行いたいと考えている方も多いと思います。金融機関から借り入れを行う際には、返済能力が見込める会社の方が高い金額を借り入れることが可能です。
あくまで目安ではありますが、金融機関から借り入れを行う際の金額は「資本金と同額から2倍程度まで」と言われることがあります。
もちろん事業内容や事業の収益性によっては、借りれない場合や多く借りられる場合もありますが、資本金の金額が借り入れを行う際の1つの目安となっていることが多いので、会社設立を行う際には把握しておきましょう。
※日本政策金融公庫の創業融資など、それぞれの制度で融資限度額が定められている場合もあります
会社設立時の資本金と借入の関係性や、資金調達方法については以下の記事もあわせてご覧ください。
参考記事
「借入による資金調達は資本金が関係する?会社設立時に知っておきたい資本金について」
資本金が低い場合のリスク
会社設立時に設定した資本金が低い場合には、上記のような取引・融資に関するリスクや、会社設立時は多くの利益を残せない場合も多々あるため、会社の資金がなくなってしまう(資金のショート)といったリスクも考えられます。
もちろん無理のない範囲で資本金を設定するべきですが、会社設立時に資本金を設定する際にはこういったリスクなども考慮しましょう。
会社設立時に資本金が低い場合のリスク
- 取引をしたい会社と取引ができない
- 希望通りの融資額を調達できない
- 会社設立時に利益を残せず、資金がショートしてしまう
資本金が低い場合のリスクについては、こちらの記事(少ない資本金で企業は大丈夫?起業に必要な資本金の金額とは)も参考になるかと思います。
資本金の平均額は300万円程度
では、会社設立時にはどのくらいの資本金を設定するべきなのでしょうか。
すでに設立されている会社の資本金を見てみると、会社の資本金の平均額は300万円程度です。(参考:法人数および資本金の内訳|国税庁)
会社設立を行う際は、この300万円を基準に資本金を設定しても良いですが、会社設立を行なった際の状況や予想される費用によっても最適な資本金は異なります。
会社設立時の資本金の平均額についてはこちらの記事でも詳しくまとめられていますので、気になる方はぜひご覧ください。
それぞれの会社によって最適な資本金は異なりますので、最適な資本金の設定方法や注意点について詳しく解説していきます。
資本金の設定方法と注意点
会社設立を行なった際に、自社にとって最適な資本金を設定するために、以下の項目を検討してから、資本金の設定を行いましょう。
- 初期投資と半年分の運転資金を資本金として用意する
- 許認可を得るための最低資本金額で決める
- 消費税の納税義務が発生しない金額で決める
最適な資本金を設定するにはいくつかの観点から設定することになります。
この記事では上記の3点を中心に解説しますが、その他の観点については以下の記事も参考になるかと思います。
参考記事:
資本金はどう決める?会社設立時に知っておきたい資本金の基礎知識
会社設立時の資本金はいくらにすべき?金額の決め方、払込方法を解説!
初期投資と半年分の運転資金を資本金として用意する
会社設立を行なった際には、設立初期から大きな「売上」や「利益」を上げることは難しいでしょう。そのため、会社設立を行なってから、ある程度の期間は売上などがないことを予め想定して、資本金の額を決めることも重要です。
会社設立時に3ヶ月から6ヶ月ほどの運転資金として、資本金の額を決定することも一つの選択肢です。
参考記事
「会社設立時に必要な資本金の金額について」
「会社設立の費用はどのくらい?株式会社の会社設立と合同会社の会社設立の費用をそれぞれ解説」
会社設立時には、毎月どのくらいの費用が最低限発生するのかを考慮して、資本金の金額の検討を進めていきましょう。
許認可を得るための最低資本金額で決める
基本的には、会社設立や運転資金として資本金の金額を決めれば問題ありませんが、特定の業種の場合には、設定する資本金の下限が決められていることに注意してください。
例えば、「建設業」や「有料職業紹介事業」などの場合には、500万円以上の資本金が必要となり、「労働派遣事業」を行う場合には2,000万円以上の資本金が必要となります。
建設業における資本金について解説している記事や有料紹介事業における資本金について解説している記事もありますので、該当する方はあわせてご覧ください。
業種によって必要な資本金が異なる場合があるので、自社の業種に資本金のルールが定められているのかを事前に確認しておきましょう。
消費税の納税義務が発生しない金額で決める
会社設立の際に設定する資本金の金額によっては、「課税事業者」の扱いとなってしまうため、消費税の納税の免除を受けることができません。
具体的には、会社を設立した際の資本金が1,000万円以下の事業者の場合は、消費税の納税義務が免除されます。(参考:消費税の納税義務の免除について|国税庁)
他方、会社設立時に1,000万円以上の資本金を設定してしまうと、会社設立初年度から消費税を支払う必要があります。会社設立時の資本金を1,000万円以上に設定する場合には消費税の納税義務が発生することに注意しましょう。
会社設立後には、期間内の売上によって消費税が免税されるかどうかが判断されます。会社設立後の消費税の免税については、こちらのページ(消費税の納税義務の免除について|国税庁)も参考にしてください。
会社設立時の資本金の払込方法は?
会社設立を行う際には、資本金の金額を決めた後に実際に払込を行う必要があります。また、会社設立の手続きの中で資本金を払込んだことを証明する書類を提出する必要があります。
資本金の払込についてはこちらの記事も参考になるかと思います。
会社設立のなかで、資本金にまつわる手続きについて詳しく見ていきましょう。
発起人個人の口座を用意して資本金を払い込む
資本金の金額を決定したあとは、まず資本金の払込を行います。資本金の払込を行う段階では、会社としての銀行口座を開設することはできません。そのため、発起人(会社を設立し出資した人)の個人口座へ、資本金の払込を行います。
発起人個人の銀行口座・通帳のコピーをとる
発起人個人の銀行口座へ資本金の払込を行なった後は、その払込を証明するために
- 通帳の表紙
- 通帳の1ページ目(口座番号や名義人が記載されているページ)
- 振り込んだ内容が記載されたページ
のコピーをとりましょう。
払込証明書を作成する
資本金を振り込んだ口座の通帳のコピーをとった後は、「払込証明書」の作成を行い、管轄の法務局へ提出を行います。
払込証明書には、払込を行なった日付や金額などの基本的な情報をはじめ、通帳のコピーも添付します。払込証明書を作成する際には、こちらの記事(払込証明書の作り方とは?作成方法を解説)や以下の記載例もあわせてご覧ください。
払込証明書に押印する印鑑については会社実印です。印鑑についての詳細はこちらの記事でも解説されておりますので、詳しく知りたい方はご覧ください。
また、ネット銀行などを利用していて紙の通帳がない場合は、以下の画像を参考にWebの振込明細ページを印刷して、提出を行いましょう。
まとめ
この記事では、会社設立の際に必要不可欠な資本金の最適な金額や平均額、設定方法について解説を行いました。
1円以上であれば会社設立は行うことはできますが、解説した通り資本金の額が低い場合には様々なリスクがあります。一方で、消費税の納税免除や許認可を受ける際の資本金のルールが決まっています。
会社にとって最適な資本金の額は異なりますが、自社の状況や将来を考えたうえで、資本金の金額を決めていきましょう。
この記事では、会社設立を行う際の資本金を中心に解説しましたが、会社設立後にも会社としてやるべき手続きは多くあります。
これから会社設立を行う方は、以下の記事で解説している会社設立後の手続きについても、事前に把握しておきましょう。
参考記事
「会社設立後に行う税務手続のやり方と提出書類を詳しく解説」
「会社設立を行った後に必ずやるべき社会保険の手続きについて必要書類とあわせて解説」
「会社設立後は労働保険の手続きも忘れずに!手続きと提出書類についてまとめて解説」
提出必要書類の一覧
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